第7話

座して死を待つだけ?

というか、この人が私達を現世に戻した瞬間私たちは死ぬ。

待って待って、何で私こんな突拍子もない話信じてるの…。

冷静にならなくちゃ。

まずこの人から聞き出せる事は聞き出してみて様子を…。


「ねぇもう、助からないの?」

私は10歳になったばかりのスヤスヤと眠る弟に目をやりながら消え入りそうな声で聞いた。


「残念ながらね。

はぁ…。だからさ…問題はそこじゃない。

君たちを生きたまま連れて来た僕の失態をどう隠し、どう現世に連れ戻るか、重要なのはそこ。

バレちゃうと僕ヤバいんだよね。わかるその辺」


本当に悪魔なの?

この人から感情が感じられない。


「そう。ひどいね、アンタがミスをしなければ私たちはこんな苦しみ…」

怒りが込み上げてきた。


「苦しいの?」

冷ややかな声だった。


「そう言う意味じゃなくて!

なんというか…アンタのせいで2回も死ぬ思いを!」

感情的になって声を荒げてしまった。


「人は何度も死ねないよ。

それにアンタって呼び方ひどいね。

さっきまでは結構丁寧だったのにね、それは僕が悪魔だから?それともミスしたから?

死ぬ原因はトラックの運転手の居眠りだよ?

僕は悪くない」


そう言う事じゃ…

そう言う事じゃないじゃない…

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