第6話

え?トラックと正面衝突?

じゃあ最後に見たあの灯りは。


「トラックのヘッドライト…」

溢れるように私の口から言葉が漏れる。


「そういう事。いいね?

だんだん思い出してきたね。

で?その…どう?信じられそうかな?」


男が嬉しそうに笑顔で促してくる。


「じゃあ私たち家族は…」


「ストップ。死んでない、まだね。この後死ぬんだよ。現世に君たちを戻したら、そうだな、約1秒ぐらいで死ぬかな。

さっき言ったでしょ?僕ちょっと急いじゃったわけ。

で、君たちが死に切る前に地獄に連れて来ちゃった的な。

お父さんお母さんは天使が連れてっちゃった、だから確実に先に死んで天国にいるんじゃないかな?

多分だけどね、変な罪犯して魂の査定に引っかかってなかったらの話だけど」


もし仮に、その話が全部本当だとしたら…

「私が今生きてるって言ってるこの時間はどうなってるの?」


「あぁ、やっと信じる気になってくれたの?

そうだね。地獄に生きてる人間が来る事は基本ない。

だからこの異様な事態に対して現世での君たちの時間は止まってるって言うのが一番わかりやすいかな。

戻った瞬間に進む。

それは変えられない事実、いいね?

生きたまま連れて来られたとは言え、もう生きているとはほぼ言えない…みたいな感じかな?」


じゃあもう私の、私たちの運命は変えられないってこと。

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