第5話

なるほど…とはならない。

私にはこの人の言葉全てがまだ嘘としか思えない。


「信じてないんだよね?わかるよぉ。いきなり悪魔ですだの、地獄ですだの言われたってね。

でも、ジョシュア君だっけ?彼。嫌味な名前だね。

おたくらキリスト教徒?

僕から翼をむしり取った奴の息子と同じ名前とはねぇ。まさか君マリア、とか言わないよね」


「私はメアリー…です」

妙に肩身の狭い気がしたのと多少の恐怖を感じた。


「まさかの大まか正解か。まぁいいや、よくある名前だし。

でもさぁ地獄に生者を連れて来ちゃった事への対処についてなんだけど、そこを話さなきゃ行けないわけよ、そこだけがどうでも良くない、わかる?」


夢だ、きっとこれは悪い夢なんだそうに違いない。


「夢じゃないよ」

心を見透かされてるのかそれともただ勘が鋭いのか…

男の明るい瞳が私を冷ややかに見た。


「最後に覚えてること、思い出してみなよ」


最後に覚えてる事。

眩しい光。それからえーっと…荷物が…?

あれはなんだったんだろう。


「明るい光が見えてそして…」

その先を思い出せない。


「そこは最後だ。その少し前、君たちは車に乗って家路に着いていただろ?

その帰り道。君たち一家はトラックと正面衝突した。一家は全員死亡。残念だけどね」

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