聖女の生まれ変わりがおっさんですみません〜Sランクパーティを追放され、婚約を破棄されてから早20年が経ちましたが、皆が探していた救国の聖女は俺だったらしいです

ありあんと

第1話

「男の癖に香水なんてつけてんじゃねえよキモイんだよ

お前はもうクビだ!貧乏くさい面を2度と見せるな!

お前の代わりはもう決まってるんだ!出ていけ!」


リーダーのボルゾイにいきなりクビを宣言され、涙目でシェズは抗議した


「そんな!香水なんて使ってない!それに俺がいなくなったら炊事洗濯掃除縫い物雑用日曜大工庭木の剪定税金の納付確定申告ギルド報告書作成ご近所付き合いお歳暮挨拶状作成はどうなるんだ!」


「そ、そんなものは何とでもなるんだ!もっとパーティに役立てなかった事を後悔してももう遅い!」


こうしてシェズは、国一番と評判のSランクパーティを追い出された


回復魔法の名手としてパーティに貢献していたつもりだったのに


婚約者の公爵令嬢になんで言えば良いんだ


そしてその日の夕方


「シェズ・ソレイル!

貴方との婚約は破棄させて頂きますわ!

あのSランクパーティのメンバーだからそのうち王様から爵位でも貰うだろうし有名人の妻として周りに自慢しまくろうと思っていたのに!

男の癖に香水を使ってお花みたいな匂いをいつもさせてキモイですわ!」


婚約者のリリアンヌから婚約破棄された


涙目でシェズは抗議した


「そんな!香水なんて使ってない!それに俺がいなくなったら、ドレス宝石選び招待状作成手紙の校閲客への料理提供の手筈旅行手配外国客の通訳税の納付確定申告はどうなるんだ!」


「そ、そんなものは何とでもなりますわ!もっとワタクシにふさわしい男になれなかった事を後悔してももう遅いのですわ!」


こうしてシェズは、国一番の美女との婚約を破棄された


20歳の事である


その後なんやかんやで、パーティはダメになって解散し、公爵家も没落したらしい。

ザマァ


それから20年の月日が経った


シェズは田舎で診療所を開き、細々と暮らしていた


持病の癪でお困りの最近ボケ始めた、ベティばあさんの最低90歳診察をしている


癪ってなんだろう


そんな時、扉が開かれた


ばーん!


「こちらにシェズ・ソレイル殿はおられるか」


けったいなピカピカの鎧を着た白髭の偉そうなジジイが、なんか言ってる


「おお!何と神々しいのか!40年間探し続けましたぞ!聖女様!」


このベティばあさんのことかな?ジジイの方が20は年下に見えるぞ

このババア見かけによらずやるな


「さあ、国王がお待ちです!一緒にいきましょう」


ベティばあさんが重々しく頷き、その手を取る


「何だこのババアどけ!」


ジジイがババアを押し退けた!


「何てことしやがる!お前の聖女だろうが!」


ジジイが魂を込めて否定した


「違います!救国の聖女よ!聖女と呼ばれるに相応しいのはシェズ様、貴方様しかおりませぬ!」


やばいジジイが来ちまった。ここは精神病は扱ってないんだ

穏便に退去いただきたい


「何か勘違いをしている様ですね

シェズはこっちのババ…ご夫人だ

俺はベティだ」


ベティばあさんが立ち上がり重々しく言った


「ワシがシェズじゃよ」


「ふざけんな!お前らサッサと聖女を連れていけ!おっと傷は付けないように気をつけろよ!」


ジジイがいつの間にか居たらしい部下に命じて、シェズはお城へ連行された


そしてシェズは最近デザイン変わった紙幣に描かれてるのよりだいぶ老けてるし、太っててカエルっぽい見た目の王様と謁見することになった


「偉大なる我らが指導者にして、祖国統一の綺羅星、偉大なる王よ、僭越ながら、俺…ワタクシめが聖女と言う主張は、蓋けだしとち狂ってると申し上げねばいけないと主張しておきたいです」


シェズは40歳男性である

婚約破棄されてから変わらぬ信頼の独身である

結婚しないのか、いつするのかと、ちくりちくりと言ってくる周りをのらりくらりと交わし続けた歴戦の戦士だ


王様は重々しく言った

「占いでそうらしいと出た」


その後、大臣らしい人から詳しく聞いたところによると、この国では100年に一度聖女が生まれて、聖女が祈ると花は咲き、緑が溢れ、人々は笑顔で挨拶を交わし、税収アップ、犯罪率が低下し、老人はピンピンコロリ、魔物は少子化で減り、富国強兵、天下布武、それはそれは大層な有り難みのある存在らしい


しかし、およそ140年前


誰もが予想していなかったことが起きた


聖女が長生きして105歳まで生きてしまった


そのせいで何かが狂って、新しい聖女の生まれ変わりが見つからず、国力が衰え、なんやかんやで今に至るらしい


早くお祈りしないと国がやばいのだ


聖女の証拠としてシェズは生まれつき良い感じの匂いがすると言うことだ


男である理由は知らん、とのことだった


「シェズ!会いたかったわ!私にふさわしい男になって戻ってくると信じていたわ!」


この声はリリアンヌ!?


そこには筋骨逞しい全身を鎧に身を包んだ女戦士がいた


「おお!救国の戦士リリアンヌ!」


その雄々しい姿を見て王様が声を掛けた


「偉大なる我らが指導者にして、王政の太陽、魔王を討伐して参りました!これです」


よく見ると血がポタポタ垂れる生首を持っていた

カーペットが赤いから血の汚れが目立たなくて良かった


王様がなんか嬉しそうだ


魔王が死んだのがなんか嬉しいらしい


「リリアンヌよ、褒美をとらそう」


リリアンヌは筋肉を軋ませながら跪いた

生首は床に直置きしてた


「シェズと結婚したく存じます」


おめでとう!リリアンヌ!

おめでとう!シェズ!


そんな感じで結婚することになった


ボルゾイについてはどうなったのかはよく分からなかった


こうして世界は平和になった

めでたしめでたし

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聖女の生まれ変わりがおっさんですみません〜Sランクパーティを追放され、婚約を破棄されてから早20年が経ちましたが、皆が探していた救国の聖女は俺だったらしいです ありあんと @ari_ant10

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