第12話 漆野圭6「アンラッキー7」

半ラッキー7


「ラッキー7?今時そんな事言う」

「私は、圭のそういうリアリストなところは嫌いじゃないよ。でもサプライズは必要だと思うの」と砂羽が言う。

「でもさ、そういう迷信に惑わされる人生に勝機はあるの?科学的根拠のない統計に、人生をかける意味があるの」

「じゃあ、なぜ7は縁起が良いの」

「知りませんよ」

「私は、一週間に関係していると思う」と砂羽。

「神様がこの世界を作るとき、一週間かけたから、だから7は縁起が良いなんて言うの」

「おしいな。私の見解では、神様は6日で世界を作った。7日目はあー、あー、疲れた、疲れた、と言ってお休みする。7日目はお休み、今日は休みだ。休みは楽しいな、楽しい休みはラッキー」

「で、ラッキー7?」

「そう」

「嘘くさ」

「だって今だって、7人しか並んでないんだよ。7番目、これは絶対ラッキーでしょう」

「それは一番前の人が、いなくなって、たまたま、今7人と言うことでしょう」

「でも、その一瞬の刹那の7人の中に並ぶことが出来た。これはラッキーだよね。」

「砂羽は、どうしても7はラッキーだと思いたいのね」

「だから、7を褒め称えることで、気持ちは晴れ晴れとするんだよ。

7は良いな。

7は素晴らしい。

7は最高。

7は美しい。

7は人類の救い」

「後の方は意味わかんないよ砂羽」

「信じる物は救われる」

「でもさ」

「でも何よ」

「見て、売店に並んだのが7人。焼きそばパンの残りが7つ。焼きそばパンが買えるんだよこれをラッキーと言わずしてなんだって言うのよ。

あっおばちゃん、あたしも焼きそばパン」

「あいよ。最後の一つ、ラッキーだね」

「ありがとう」と砂羽が列を離れる。

「あたしも、焼きそばパンが・・。おばちゃん、ないよね」

「ごめんねー」とおばさんの声が高らかに響く。

あたしは心の中で叫んだ。

「砂羽、アンラッキー7じゃないか」

「じゃあ半分あげるよ。これで半ラッキー7だね」

「ええー」

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