リンデルン国境ピレィリー山脈 Ⅱ

ワイバーンの群れを始末する事になったがどう始末するかな?

肉とか素材を取らないとだから

首チョンパで良いかな?ふむ┅


山道へ続く街道から見える小高い丘の上空に何匹ものワイバーンが飛び交っている

あの丘に根城を作ってるのかな?

元々ワイバーンは1つの所に住み着く習性はないのに?

恐らくだが子を産む為に安全なあの場所を選んだのだろうか?

この辺りは餌となる魔物が多く敵もいないからな


なんでも1匹のワイバーンに何十人も投入してやっと勝つ程度だとか、アイツ等が強いのか?ヒト族が弱いのか?しかし!

大人しく子を産んでりゃ良いものを道行く者を襲うのは頂けない


街道から林へと抜け丘を目指し群れへと近づくと相手に気づかれたのか!

空からなら見えるか┅┅フフ

来てくれたが助かると言う物だ


ギャァーア! バサバサァ!


急降下で襲ってきたワイバーンに対してすかさず光魔法のビームショットを撃ち込む!


ビシュ! プシュ!


頭を撃ち抜かれたワイバーンが意識を失い落下する

既に死んでるが落ちてしまえば勿体ないと急いで駆けて収納する

手をかざせばシュルッと消える


レベルMAXとなってるアイテムBOXと空間収納はかなりの距離でも収納可能になっていてとても便利になってる

しかしその事を知らないケンジ

何時もの様に収納してる

少し考えれば分かるのだが?

200mも離れてるのに何故収納できるのかと┅┅


攻撃開始となって次々に襲ってくるが指鉄砲の構えでビームショットを放ち撃ち落として行く

ビームの穴なら体に付くキズが小さく面積も少ない後で怒られる事も無いだろう

収納するのを忘れず丘の上を目指す


丘の上には群れの中でも一際大きなワイバーンが後生大事に卵を抱いてこっちを睨んでる


護衛なのか3匹のワイバーンが静かに降り立ち守る様に戦闘体制

あの大きいのはクィーン?なのかな┅┅普通のメスとは違うよね?


するといきなりクィーンがブレスを放ってきた!

ワイバーンってドラゴンと同じなの!ブレスなんて!

アッ!ウワァア!ヤバイ!


ゴオォォォオ!ズッシャァァア!


炎のブレスがケンジを包む!

ブレスの跡に残るのは黒く焼かれた地面が1本の道の様になってる

護衛の3匹はいかにも勝ち誇った様に空に向かって雄叫びをあげてる┅┅┅


ヒャア!危なかったって?髪の毛が少し焼けたか?

ふむ?なんとも無い┅┅無いな

普通は死んでるけど?

ああ!攻撃耐性だっけ!それに無効とかもあったな

遺跡で貰ったこのローブのお陰もあるんだな

流石!ゴッズ級ってのは凄いんだな

じゃあ俺のターンだ!フフ┅


雄叫びをあげてる3匹に向けてビームショットを連射!

ピシュ!ピシュ!ピシュ!と眉間や顔を射貫く!

何も言わず崩れ行く3匹!

空で飛んでる奴等は何が起こったのかわからない様子


「子育て中だが悪いな!だが悪さする奴は許せない!大人しく立ち去るなら見逃そう!

どうする!待ってやるぞ!」


クィーンは首を傾げ空を見上げると一鳴きする ギャォオオン!

そして卵を足で掴み翼をゆっくり羽ばたかせ飛び立つ

その後を残った5匹がついていった┅┅┅聞いてくれたか


結局32匹を倒し群れは立ち去ったから良いかな

それにしても結構襲ったんだな、馬車の残骸やらヒトを喰った後が多いぞ

ここに運んだんだな┅┅

やっぱ翼竜でもヒカリ物を集めたりするんだ、ご丁寧にハダカでクィーンの所に積んでるとは


卵を温めてた場所に戦利品の数々を積んで献上したのかな?

金貨や宝飾品とかあるんだけど?

馬車の残骸には樽が無数に転がってる、多分商隊とかの馬車かな?

ヒト族の盗賊と変わらんぞワイバーン達!


子育てだったから情けを掛けたのは良かったのかな┅┅


金銀財宝?を収納、樽も塩や油にエールとか使える物を収納

大方収納したら辺りを焼き払う

臭いを消すには焼くのが良いからな、ファィアーを何発か地面目掛けて放ち丘の上一帯を焼いた

ちゃんと浄化魔法も掛けておいたから大丈夫だろう



「終わったの?」

「うん、子育ての為にいたんだ、だから立ち去るなら何もしないって言ったら飛んで行ったよ

それで良かったのかな?」

「ウフフ♪ケンジ様は優しいからねぇ~♪良いと思う」

「私も!聞き入れて去ったなら知能があるワイバーンでしょ?無闇に悪さしないと思う」

「凄かったです!あれはなんでしょう?光が飛ぶような攻撃でした!」


「あれは光魔法のビームショットで最近はあればっかし使うよ、だって光魔法は最強の魔法だからね」

「えっ!そんな!だって光魔法は回復と浄化しか┅┅」

「そうそう!血界とかで攻撃に向かない魔法でしょ?」

「ビーム?そんなの初めて聞いたわ」


「やっぱり┅┅魔法に関しては野営してから話すよ、アイツ等たんまりお宝を貯えてた、かなりの旅ビトや商人を襲ったようだ

早めにキャンプしてワイバーンを解体しよう、今夜はステーキだよ」

«ブヒッ!肉!ステーキ!ブヒッ»

«ワイバーンの肉はオークよりも旨く柔らかい、楽しみだ»

「そうよね!高級肉だよねぇ~私も楽しみ~♪」


「フェリスったらウフフ♪チャコの事を言えないわね」

「ワイバーンの革は服に向いていて防御に優れてます、肉と革に血は素材としてもレアですよ」

「へぇ~シンシアは素材とかに詳しいんだね、じゃあ解体する時に教えてよ」

「ハイ!是非!一緒ですね?ウフ」


『ちょっと!ケンジ!なによあれ!なんでアンタがワイバーンを簡単に始末するのよ!心配した私が馬鹿みたいじゃない!』

「シルフィ?心配したのか?それはありがとう、でも大丈夫って言ったよね?」

『馬鹿な冒険者ってのはそう言って死ぬのよ!それをあんなにホイホイと!ホント何者!フン!』

「まぁ良いじゃないか、ほら?プリンでも食べて休めよ」

『プリン!ホント!いやぁ話がわかる奴ねぇ~!プリン♪』


チョロイ!お子ちゃまだねぇ~


その後は何事もなく進み山へ向かう街道は次第に狭く細くなって山道らしくなった

面白いのが街道は整備されてるからか道幅も広く路面もそれなりになめらか

しかし山へと昇る道へ来ると整備してない山道に変わる


境い目のその場所周りは広い空地となっていて野営の跡が沢山あった

これから苛酷な山道へ向かうからかここでゆっくりするのが定番みたいだ

誰もいないようだからここで解体する事にして奥に場所を取った


「ここは皆が利用するみたいね」

「この先は細い山道みたいよ、ずっとあの高い山に向かってるわ」

「ケンジ様は解体がお上手ですけどスキル持ちですか?」

「うん♪こうして自己流に解体してたら獲得したんだ、スキルってさ?料理とかも普段作ったりしてたら獲得するんだ、剣術とかも同じだよ」


「そんな簡単に?」

「うん!スキルってのは技術なんだよ、剣術とかは鍛練とか魔物討伐したら獲得できる、使ってみて使えたらスキル獲得となるんだ、なにも神が与える物じゃないんだよ」

「それは初めて知りました┅┅」

「あのね?そんな事を言うのは私達だけにしてよ?それを教会とかのヒトが聞いたら異端者に認定されるから」


「はぁ~教会はなにやってるんだか、それって鑑定の儀とか成人の儀式とかでスキルを決めるから?」

「シンシアが詳しい筈よ」

「ハイ!スキルは神が授けた才能でして私達の国では8歳の時に認定の儀式がありました

教会では鑑定の水晶でステータスを確認して職業やスキルを見るんです

その職業とスキルは与えられた物ですからそれに従い運命が決まるのです」


「おいおい!じゃあその儀式でわかった職業にしかつけないのか?」

「そうですけど?」

「そんなの常識じゃない、シンシアの時代と今も同じよ」

「そうですよ、職業を変えたかったら教会にお金を払って可能な職業にして貰うしかありません」


「ハッ┅そんな馬鹿な事になってるのか┅好きな職業や望む職業に就けないとは┅」

「多くの平民は村人ですが冒険者となって活躍すると自然と変わるようです、農家も最初は村人ですよ」

「ジョブチェンジかぁ┅不便な世界だし理不尽だ、勝手に決められるなんて馬鹿な事を┅┅」


思い掛けず嫌な事を知ったがこれがこの世界の常識で理なんだろう

だから迂闊な事を言えば異端者となるってなぁ┅

何時の世も理不尽は罷り通るし残酷な事もある


不条理な事は沢山あってそれを覆す事は難しいと来てる

世の中の混沌や不条理に理不尽は歴史となって残るだけ

戦争とかはその代表だ、この世界では身分制度がそうだしね


差別や不平等に価値観の違いで人は路に迷い悩む

世の中が何不自由なく平和になる事は不可能だと思われる

それは神も望まないだろう

混沌から生まれた宇宙は未だに広がり続けてる


そのホンの一欠片の星で下らない生き物が足掻いてる

何故か知能と知性やらを得た傲慢で欲張りな人間とか言う生き物は自らを破滅へと向かわせ短い命を謳歌してる


この異世界の方が弱肉強食と言う理で出来てる事が却って潔い

まぁ信仰と言う生き物の弱点に点け込む輩はどこにでもいる

宗教とは信仰心を操り良い様に扱う麻薬と同じ


ズッポリとハマるとなにも見えなくなる

宗教と信仰は表裏一体ではなかった筈だが?

それだけ命が弱くなった証で人はすがる事で安寧を得る

それが信仰心とは欠けはなれた物でも救われる事を願い宗教に頼る


この異世界でも教会と言う力が絶大で対象となる神、創造神を崇め祈り願う事で安寧と希望を求める


神は下界に関与もなにもしないのに┅┅まぁ何もできないのが神だがね?

だから使徒を使う、イエス・キリストとかムハンマドなんかがそうで神では無い!2人とも人間だし!


キリストは復活したから神では!となってるけど異世界では蘇生術が普通にあるから神様だらけだね


ムハンマドは神の啓示を聞いてアッラーの使徒となったからまだイスラム教が真実味がある


ブッダの教えは人間の欲でねじ曲げられ神の様な扱いの仏となってしまった┅┅彼は不本意だろう

三蔵法師もだ、大乗仏教教典はいきなりブッダ滅後500年後に持て囃され出所は未だに不明┅┅


確かブッダ死後のインド地方ではイスラム教が国を覆ったとなってる

ブッダの教えは全てを棄て無になる事で悟りを開き苦しみから解き放たれた命となる


まぁ裕福な王族や商人達はそんな戯れ言を聞く訳もなく暗躍して大乗経典を500年掛けて自分等に良い様に仕立て上げたんじゃないか

な?


権威、地位、財産、優遇とかを棄てるなんて馬鹿げた事は無理!

それで仏様の教えを聞けば救われるとなったのかな?アハハ♪


所詮宗教なんてのはご都合主義の偽善なんだ

ジョン・レノンの歌にもあるよね?この世の中に宗教や人種差別が無かったら平和だと

イマジンだったっけ┅┅

まぁこれは個人的見解なんだが┅



「┅┅ケン┅ケンジ┅ケンジ様!」

「あっと!うん?」

「もう!さっきから聞いてるのに!」

「なんか心ここに有らずでしたね?」

「ウフフ♪また意識の散歩かしら?どこに行ってたのかな?フフ」

「悪い!それで?なんだった?」

「もう!この革と血をどっちに収納するの?」

「ああ、それはフェリスのバッグにお願い、ワイバーン自体も5匹くらい入れといて、ソフィアのにも5匹だよ」

「全部でどれくらい倒したの?」

「32匹だったかな、2匹は解体して後は売り払うとしよう」


「じゃあ今夜は部屋で寝るとしてもお風呂は外が良いわ」

「なんで?中に有るだろ?」

「そりゃ外で伸び伸び入るお風呂が良いに決まってるでしょ?」

「確かにだね、解体が済んだら風呂は用意するから」

「ええ!お願い!ステーキは決まりだから後はスープとサラダね?パンが残り少ないのよねぇ?」

「ハイハイ、パンも焼くから」


«主!森に行っても良い?»フェル

«じゃあ私も行くとするか»クロ

«私は暗くなるまで偵察するわね»エリザ

「あまり遠くには行くなよ」

«««ハ~イ!»»»

«ブヒッ!まだだじょぉ~肉!»

「まだ明るいし夕飯には早いぞ、チャコもそこらを歩いて鍛練しろよ」

«必要無いじょ~この姿が良いのだじょ~♪ブヒッ!»


『このブタは生意気ね!シンシアに甘えてばかり!痩せなさいよ!』

«フン!だじょ!ブヒッ!»

「チャコちゃんは可愛いですよぉ~このプヨプヨが良いのです~ぅ♪ウフフ」

「シルフィはシンシアには見えないし話せないからな、チャコや他は見えるし話せるのは神獣と聖獣だからだね」

「精霊様はボンヤリとしか┅」

『あのね!シンシアや他もアンタのツガイでしょ?契りを交わせば精霊や妖精も見えるし話せるわよ、まだ交尾してないんでしょ?』

「バカ!当たり前だ?結婚もしてないんだぞ!」

『あれれ?このメス達の匂いは発情してるのに?アンタは?えっ?発情してない!なんでよ!こんなにメスが発情してるのよ!』

「それは┅┅ゴメン!俺が悪い?のか?トホホ┅」

『フゥ~ン┅┅ヘタレなの?ねっ?ヘタレ!アッハハ♪』

「このロリ助平めぇ!乙女はそんなふしだらな事は口にしないんだぞ!」

『フン!交尾できないヘタレには言われたく無いわよ!見なさいよ!3匹のメスがムンムンと発情して臭い匂いしてるんだから!もう駄目!先に行くから!』


行っちまいやがった┅┅

そんなに欲しがってるのか?

発情してるのは知ってたが?匂い?フェロモンかな┅

でもなぁ┅このフニャフニャばかりはどうしたら良いのか?

やっぱり不能?転生なのに大人だから?


でも気持ちは何故かエロでは無いし、欲情もしてない

願望はあるけどムラムラとか無いなぁ~

あんなに魅力的なカラダなのになんでフニャフニャ?はぁ~



ヘタレだから!自信無いから!

お馬鹿だから!悩め!阿呆ぅ~♪




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る