リンデルン国境ピレィリー山脈 Ⅰ

改造快適馬車は国境街道を進む

荷台ではマッタリと寛ぎ俺はカレーを作る事に専念してた

一通りの作業を終えて煮込む寸胴鍋は香しい匂いが漂う

そして米を研いで炊飯、土鍋でコトコト炊く

香辛料が揃いヨーグルトも買えたのは良かった

隠し味に醤油を少し┅┅好みだが


「ねぇ?この先は魔物が多いんでしょ?」

「そうみたい、でもシンシアの能力上げが優先よ」

「私に出来ますか?」

「シンシアの能力は聖属性よね?ケンジ様が言うには聖属性は強い攻撃魔法も多いってよ、それに魔力量も多いから他の魔法も使える筈だって」

「他のも?でも使った事が無いのに┅┅」


「そりゃあ聖女様扱いだからねぇ~治癒しかして来なかったから戦いはなかったでしょ?でもこれからは冒険者として戦うのよ」

「ウフフ♪シンシアには隠れた能力が多いから楽しみね」

「隠れた能力┅┅はぃ┅」

「ケンジ様に任せれば良いの、貴女の才能を伸ばしてくれるし、無敵になれるのよ、私達もそうだったからね~」

「そうよ?ケンジ様の言う通りにして来たのよ私達は、出来ればこの身も任されたいのに┅」

「あ、あのぉ?お二人はやっぱりケンジ様に身を捧げてるのですか?」


「う~んそれは少し違うかな┅私達は奴隷なの、私は酷い扱いで顔や体を潰されボロボロだったのを治して貰い買われて┅」

「ソフィアは酷い状態だった、死んでもおかしくなかったの、私は珍しい種族だったから幼い時から奴隷として売られて来た、そして性奴隷としての扱いをされたのをケンジ様に助けられたの」


「わかった?私達は身を捧げる前に奴隷としてケンジ様の物なのよ、それをあの方は普通に扱い私達を奴隷なんて思って無いの、捧げるなんておこがましい事よ」


「そうなんですね┅ではお二人共ケンジ様が買い主ではなくて1人の男性として見てるのですか?」

「それも違うかな┅命を救って貰い生きる事を許して貰った、好きに生きる事もね、でもケンジ様がいない毎日は考えられないの、もうあのお方無しで生きるなんて考えられないの」

「私も同じよ、今やっと成人して体も許せるの、ずっと一緒に生きる事が私の幸せなの」


「幸せ┅┅私は┅」

「ウフフ♪シンシアもケンジ様に惚れてるでしょ?それで良いのよ、変に身を捧げるとか良いの、貴女の気持ちを大事にすればどう生きるか決まる事よ」

「私の気持ち┅┅好きです!ケンジ様を見た時からずっと好きです!」

「それで良いの、その気持ちでどうするか分かるでしょ?ウフフ♪」

「ええ┅凄くわかります!」


そんな事を話してるなんて知らないですぅ~

フニャフニャ駄目男ですから!


«どうやら魔物さんのお出迎えよ»

「エリザ!どんな様子?」

«ブレードウルフの群れ30です»

「ブレードウルフねぇ、ザコは燃やしてしまいましょ」

「何の取り柄も無いのよね、素材も肉もザコだもの」


「私も戦います!」

「そうね、シンシアのレベルアップには良いかも」

「ケンジ様!シンシアで良いですか?」

「うん?良いと思うよ、フォローしてね」

「「ハイ!」」


馬車は停まりソフィアとフェリスにシンシアが出た

ブレードウルフは挟む形で別れ群れのボスが先で唸ってる


「シンシア!弓で!」

「ハイ!」


シンシアの武器はボウガン、力が弱い彼女に適した武器だ

アーチェリーはああ見えて結構重い仕様で扱いも難しい

レベルの低いシンシアでは無理でボウガンなら軽く狙い易い

そして改良と改造ボウガンだから威力倍増で木をぶっ壊す程だ


ビシュ! シュッ! ビシュ!


次々に放つシンシアのボウガン矢は街道脇のウルフをバタバタと倒して行く

それを見てボスウルフは指示する

残ったウルフ達は直ぐにボスの元へ戻り構える


「次はレイピアでの戦闘よ!」

「ハイ!」


レイピアを構え走って迎え打つウルフを切るシンシア!

しかしいかんせん力が弱い、キズは付けるが毛に阻まれ襲ってくる

それを交わしどうにか刺し致命傷を与える

肩で息をする彼女は劣勢だ


「シンシア!魔法を使うのよ!」

「ハイ!┅┅ウィンドカッター!」


シュル!シュル!シュパァー!


弱い!まだ未熟な魔法攻撃で遅く交わされる


「交代して!」


ソフィアが縮地でウルフ達の群れをバッタバッタと切る!

そしてボスウルフだけとなり対峙


ガゥル! ガアァァア!

シュパァーン! ドサッ┅―


呆気ない終わり、ボスの首がゴロンと転がり戦闘は終わった

シンシアははぁはぁと息をして辛そうだ


「まだまだね┅┅やっぱりゴブリン辺りが良いのかしら?」

「4本足はまだしんどいかな?」

「はぁはぁ┅力不足です┅もう腕が上がらないです┅」

「う~ん体力も無いわね、基礎体力と魔法訓練かな┅」

「シンシアは休憩中に鍛練しないと駄目ね、走り込みとか」

「彼女の事を知らないと駄目ね、聖淑女よね┅こりゃ初めから鍛えないと」

「ケンジ様はどうするつもりかしら?」

「聞いて見ないとね?」


シンシアの初戦が散々な結果で終わりソフィアとフェリスは大変だと改めて思ったのだ

旅の途中での能力上げはかなり難しい事で下手したらケガしたり死ぬかも知れないと思った

それは絶対に避けなければ┅┅

ケンジは何時もケガとか危険な事を嫌うから┅┅


シンシアのステータスを確認しよう


名前 シンシア (第32代フリエル)

年齢 20歳(435歳) レベル 3

称号 聖女(聖淑女) 救国の乙女

HP 180000 MP 320000 器用 5

体力 2 運 6

固有スキル

神聖魔法 聖回復 神聖浄化

状態異常絶対耐性

スキル

風属性魔法 2 光属性魔法 2

弓術 1 剣術 1 生活魔法 2

床作法 3 料理 1

ギフト

【アイテムBOX】【神聖術】

【聖蘇生術】

加護

生命神ヴィランの加護

美と光の神アフロディアの加護

???ケンジの加護


┅┅┅突っ込み所満載なんだが?

聖女はわかる、しかし?

救国の乙女ってのはなんだ?

そりゃルタルニア王国の為に生贄になってたからなぁ

でもそれは終わった事だ、なのに救国ってのは?

称号ってのは過去の物が続くのか?わからん!


そしてHPとMPがすげぇ多いのはなんだ?

生贄だから死なない為なの?

それに比べて体力少な!

お嬢様だからかな?箱入り?

淑女だもんなぁ~

固有スキルは殆んど治癒や癒しだな、変わったスキルだ┅

攻撃力が無いのは知ってた、うん知ってたよぉ~残念!


この床作法っては必要なのか?

淑女の嗜みには程遠いと思うけどね?生贄にも関係ねぇし!

政略?聖淑女をエサに王族とかに送り込むとか?

代々の聖淑女がそんな役割だったのかな?う~ん┅┅


聖蘇生術はその物ズバリで生き返せるって事か、神聖術は要鑑定だな、加護もおかしな事になってるな┅┅なんで?

俺の加護に???ってのは?

これは俺のステータス確認だね


シンシアの能力は凄いってのは理解した、でもまだ未熟な物だ

400年以上も眠ってたんだから仕方ない

レベル3ならこんな物か

でも潜在能力は高くてこの先は化物まっしぐらだと思える

はぁ~ソフィアにフェリスも同じだよね?


今でもかなりの化け物なんだが?

なんで俺の周りはこんなに化け物ばかりなの?

エリザやフェルにクロも化け物だしね┅┅┅チャコは?


フフフ♪俺が駄目な分周りが強いってのは助かる♪

皆が頭が良くて性格も良し!

それに器量良しと来てる、なんの不服が有ろうか!


絶世の美女に囲まれ伝説の魔獣も仲間だぞ!

冒険者の旅と異世界スローライフは約束された物だ!


シンシアの事はソフィアとフェリスに任せておけば良い

女同士で仲良くしてくれるのが良いからな


俺は好きな事をやってりゃ良いか

王国に着いたら何かしら分かるだろう

さて、シンシアの事を話すとしますか┅┅


«この先にワイバーンの群れがいます»

「ホント!エリザ!こっちに来て!危ないわよ」

«ウフフ♪ではお任せしますね»

「そうじゃなくて!フェニックスに成ったら駄目よ!」

«えっ!どうして?»

「アナタは私達の從魔なの!誰かに見られたら駄目なのよ!」

«ええ!では逃げます!»


だねぇ~小鳥じゃワイバーンの餌食だよ

あれが冒険者ギルドで言ってた奴か、巣を作ってるんだったな

街道近くは迷惑だ、始末するかな


「あれは俺が始末しても良いのかな?」

「ケンジ様が出るのですか?」

「シンシア?ケンジ様は早く始末してあの料理を食べたいのよ」

「ウフフ♪そうよ、ずっと作ってたでしょ?それにとても楽しそうにねぇ~♪」

「ええ┅とても良い薫りでした、気になってはいましたが┅」

「なんでも故郷の料理だって、やっと食べれる!ってはしゃいでたわよ」

「でも翼竜の群れは脅威ですけど?あれは1匹でも大変なのですよ?それをお一人で?」


「どうって事無いわよ、ケンジ様ならチョチョいチョイよ」

「それより収納するのが大変よ、落ちて来たら収納ね!」

「あの肉は食べれるの?」

«ブヒヒィ!あれはご馳走!肉!»

«ワイバーンの肉は美味しく回復もするので魔物達でも狙う獲物です»


«あれは空だから仕留めるのが難しいんだ!まだこの体だから┅»

«フェルには難しいわね、クロと私なら簡単よ»


「そうよね、飛んでる奴は厄介よね?」

「それに数も多いわ、大丈夫かしら┅」

«クク!主なら心配無用!黙って見てれば良い»


クロの確信は何故なのか?知らないが迷惑な奴は駄目だからね

ここは3人の為にお手本を見せるかな、光魔法の使い方をね!


フフフ┅


『もう!戻って来たらなにやってんの!ワイバーンの群れと戦うですって!バッカじゃ無いの!』

「おっおお!シルフィ!いきなりなんだよ?」

『なんだじゃ無いわよ!この状況はなんなの!』

「見りゃわかるだろ?」

『ぐぬぬ!馬鹿!馬鹿!あんなのアンタが適う訳無いじゃない!早く逃げなさいよ!』

「イヤイヤ!逃げるのは難しいと思うぞ、相手は飛んで来るんだからな、まぁ心配してくれるのは嬉しいけど俺には守る仲間がいるからな」


『だから逃げるんじゃないの!まともに行けば全滅よ!』

「まぁ見ててよ、あんな偽ドラゴンなんかに負けないから、それより連れて行った連中は無事か?」

『あの子達は気にいって楽しくしてるわよ、あっ!それと世界樹が会いたいってさ、暇な時に会いに行ってよ』

「世界樹?なんか面倒事かな?」

『お礼したいんだって、あの爺さん死にそうだったのよ、それが何故かピンピンしてたのよね?くたばり損ないの爺さんの事は適当で良いのよ』 くたばり損ないって┅┅


『それよりどうすんの!』

「そりゃ始末するさ、迷惑千万な奴等だからな、シルフィはソフィア達の所でな!」

『あっ!ちょっと!もう!知らない!』


少しは運動不足が解消するかな┅┅フフフ♪肉ねぇ~♪





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