最果ての町ダレガル!

「ここまで長かったわね」

「やっとだね、でも用心だけはしよう!ソフィアとフェリスはバレないように!」

「そうね┅┅きっとエルフだと知れたら捕まるわね┅」

「私も獣人と知れたら┅」


「買い取りは俺とシンシアで回るよ、2人は俺と一緒ならどうにかなる、でもなるべく出歩かない方が良いだろうね」

「悪いわね┅」

「何も手伝いが┅┅」

「良いよそんな事は、買い取りだけだから、それより必要な物を考えてよ、足りなくて困るなんて嫌だから」

「うん!書き出しとくわ」

「私も考えるね」


キッチリと変身術を掛けヒトの姿に変わった2人は誰が見ても美人なヒト族、美人過ぎるのは問題かな?

入場門に並んでると冒険者や商人がヒソヒソ声で3人の事を離してる


「スゲェ美人だぜ」

「スタイルもスゲェ!」

「あの男の彼女達なのか!許せん!」

「あの銀髪の子が良いなぁ~」

「俺は金髪の姉さんが良い~」

「あのおっぱいは罪だよなぁ~」


と、まぁ好きに話してる、美人過ぎるから目立つのは仕方ないが少し困る

これで変な貴族とか目につけられたら不味い!

ここは大人しく部屋に入って貰って隠そう!


「次!」

「はい!商業ギルドカードです」

「ん?4枚?」

「「「私達のです!」」」

「おお!┅┅そこの3人も商人なのか?」

「商人の勉強してる最中です!」

「ではお前が教えてるんだな?」

「アハハ、一応商人の端くれですので、まぁこれで┅」

(銀貨5枚をそっと掴ませる)


「そ、そうか┅よし!通って良いぞ」

「ありがとうございます」


よし!上手く行った!次は宿探しだな、ここは一番良い宿を取るぞ


街中で露天の串焼きを買う


「串焼きを4本下さい」

「おぅ!俺の串焼きは特製だから驚くなよ!アッハハ!」

「肉は何ですか?」

「へっ!そりゃあ定番のオークだ、こっちはチト高いがロック鳥の串焼きだぁ!」

「ロック鳥ですか?それならそっちも4本!」

「ヘッヘェ!わかってるねぇ♪このロック鳥は中々珍しいからな、ホイ!全部で銀貨5枚と銅貨2枚だ」


「値段を聞いても?」

「そうだったな、オーク肉が銅貨3枚でロック鳥は銀貨1枚だ」

「へぇ~ロック鳥は高いんですね」

「今は獲れてるから安いんだ、寒い時期は銀貨3枚もする、今が食べ頃だぜ!」


「そうなんですね、あっ!この町一番の宿を知ってますか?」

「町一番?知らないのはもぐりだぜ、あの大通りを行った先に教会が有る、その先に有るのが高級宿の【最果ての館】だ、あそこがずっと町一番だな」

「最果ての館ですか、ありがとうございます!又串焼き買いに来ます!」

「おぅ!兄ちゃん!頼んだぜ!アッハハ!」


言われた通りに大通りから先に見える建物を目指す

そこには大きく無い看板、良く見ないと通り過ぎるくらいの大きさ

でも構えはしっくりした感じで重厚感がする


「ここが一番の宿らしいよ」

「なんか豪華と言うより落ち着いた佇まいね」

「どっしりした感じね?」

「良い感じしかしないな、入るぞ」


「いらっしゃいませ!」

「部屋をお願いします」

「はい、ありがとうございます、4名様ですか?」

「はい、でも他にもいるんです、この子達なんですが┅」

「┅┅┅黒ネコ┅┅ああ~可愛い!まぁこの子も!ヒャア!子ブタちゃん!もぅもぅ!カワイイ!」


「女将さん!落ち着いて!すみません!可愛いのに目が無くて、女将さん!しっかり!」

「はぁはぁ┅そうでした!ハイ!どうぞ一緒に!カワイイ!」

「アハハ┅ありがとうございます」

「あのぉ┅┅もし宜しければその子達と仲良くしても?┅」

「ええ!良いですよ♪私達もこの子達を気にいってくれるなんて嬉しいですから♪」


「まぁまぁそれは楽しみ♪」

「では一番良い部屋をお願いします、広さは大丈夫ですか?」

「それでしたら放れをご用意しますね♪4人様とこの子達がゆっくりできますよぉ~お風呂も内風呂と露天がありますし、食事もお運びしますね~♪」

「それは助かります、馬車は?」

「こちらで預かります」

「あっ!私も一緒に行きますね、この子達は専用の食事しか食べないので」

「まぁ!大切にしてるのですね、では一緒にどうぞ」


案内されたのは一軒家?放れと言われたがこれは凄い!


「こちらは独立した部屋になりますから周りの音は聞こえません、中に部屋が3つありますしベッドも揃えてます、お風呂は何時でも入れますから、夕食は7の時にお持ちしますので、それと後で少しの時間┅┅あの子達と┅」

「アハハ!どうぞ遠慮なく」

「ありがとうございます♪」


ホントに好きなんだな、まぁ動物を飼う習慣が無いから珍しいんだろう、テイマーくらいだもんな

それにこんな高級宿に冒険者は泊まらないか┅┅


普通の2人部屋が1泊銀貨5枚なのにここは大銀貨2枚だもんなぁ

独立した部屋┅┅金貨8枚かぁ!


しかし3部屋の広い事!主寝室並みが全部とは┅

居間も広い!20畳はあるね♪

内風呂も広くて綺麗だし露天も最高!これで料理も美味しいだろうから幸せ~ブイ!

«ブヒッ?ブイ!»


最果ての町と言われるだけあって辺境伯領都の影響が少なく貴族もいない

冒険者達が多くギルドが強い権限を持ってるようだ

冒険者ギルドと商業ギルドに薬師ギルド各々がこの町を仕切ってる感じで代官は税金だけを扱ってるのは滑稽だ


衛兵も元冒険者が多くなんだか殺伐としてる

しかし、魔物が多いこの辺りの村は冒険者を頼りにしてる

まぁ助けてくれる事が多い事で冒険者様と慕ってる


商人は魔物素材や薬草が多く手に入るとあって集まってるし、商業ギルドも競うように買い取りしてる、薬師ギルドもレアな薬草には破格値を付け買い取ると言う事で冒険者達は稼げる町として集まるのだ


「すみません!買い取りお願いしま~す」

「ハイ!では登録カードをお願いします」

「俺は冒険者登録してないのですが買い取り出来ますか?」

「えっ!そうなんですか?買い取りは出来ますが冒険者登録してないと買い取り価格がお安くなってしまいますが?冒険者登録します?」


「う~ん┅安くなるべくってのはどれくらいですか?」

「持ち込みは支払い額から25%引かれます」

「そんなに┅では辞めます、商業ギルドでお願いするか┅」

「あ、あの!冒険者登録すれば問題無いですよ?」

「冒険者登録は王国でする事にしてるんです、商業ギルドのカードは持ってるので、では失礼します」

「あっ!ああ~!」


仕方ない、しかし25%は無いよなぁ~こりゃ薬草は薬師ギルドにしとくか┅


「おい!おめぇなんで冒険者登録しないんだ?」

「はっ?勝手でしょ?」

「なんだと!こっちが優しく聞いてるのにその返事はねぇだろうが!」

「そう言われても?そもそも貴方には関係無い事ですよね?」

「そうだがな┅しかしだ!ここは冒険者ギルドだぜ?登録しちまえばなんも問題ねぇだろう?」

「いやぁ、俺はこれから王国へ行くんで帝国で登録するのは嫌なんですが?」


「そうか┅おめぇも王国行きか┅そんなに帝国が嫌か?」

「当然でしょ?糞みたいなヒト至上主義で亜人種差別の国なんか」

「ブッ!馬鹿!でけぇ声で言うな!しょっぴかれるぞ!確かに理不尽なこったが冒険者には旨い国なんだぞ?魔物が多く高く売れるし鉱物だって豊富だ、稼いで貯めこんだら他所の国へトンズラだがな」

「アンタも出てく算段なら俺に構わないでくれ、明日には国境を目指すんだ、時間が惜しい」


「そうか┅悪かったな、だが今は辞めたが良いぞ、最近あの山奥にワイバーンが棲みついてるようだ、それも群れを成してな、国境越えの奴を襲って進めねぇって訳だ」

「ワイバーンねぇ┅情報は有り難く頂戴する、じゃあな」

「フン!死ぬなよ!」


なんだったのか?変なお節介野郎だな?


「主様?なんかジロジロ見られて気持ち悪いのですが?」

「早く出よう、ここに用が無くなったから、ジロジロ見るのはシンシアが綺麗だからだよ、相手にしなくて良いぞ」

「綺麗だなんて┅ケンジ様は狡いですぅ~」

「だって本当だから、次は商業ギルドだ、急ごう!」

「ハイ!」



「ギルマス?なんであんな事を?」

「いやな、アイツは魔力を隠してやがった┅登録してくれりゃ実力が分かったんだが┅」

「魔力を隠す?なんでそんな事を?」

「それだけの魔力を持ってるって事だ、他にも何か隠してるみてぇだったしな、ありゃあ相当の実力者だ、しかし勿体ない事をしたな、買い取りに出る魔物はCクラス以上だったろうな」

「そんなに┅ではAクラスのも?」

「持ってるだろうな、後で商業ギルドに問い合わせしとけ、フフ、ワイバーンの問題は無くなるかもな、アッハハ!」

「それ程とは┅┅」


商業ギルドでは流石!カードが有るから問題なく買い取りできてホクホク、それに薬師ギルドでもレアな魔物の買い取りが出来ると教えて貰いビックリしたが冒険者ギルドよりも高く買うらしい


薬師ギルドはレア素材の魔物を冒険者ギルドに依頼するらしいから直接持ち込みは歓迎すると言う

これは良い情報だった、王国でも冒険者ギルドだけではなく薬師ギルドを利用する事にした


薬師ギルドでは薬草と残りのAクラス魔物を買い取りして貰い助かった、次も頼むと言われたが帝国を出ると言ったらがっかりしてた

Aクラス魔物は中々でないようで品薄らしい

なんでかワイバーンをと頼まれたのは今話題だからか?

適当に応え買い取りを終えマジックバッグの魔物がすっかり片付いたのは良かった


両方で金貨100枚近く受け取ったけど?まぁ良いっか~♪


「買い取りは済ませたよ、みんなで買い物に行こう」

「良いの?」

「大丈夫みたいだよ、冒険者ばかりであまり気にしてない様だ、それに変身術を見破る奴なら気にしないと思う、ここは王国行きが多いからね」

「そっか、じゃあ行きましょ!」


フェリスとソフィアの顔がパァ~ッと晴れた顔に変わったのは申し訳なく思った

理不尽な差別主義で窮屈な思いをさせてるのは愚かなヒト族


自分もヒトだから変な罪意識が出る

なんでかヒトと言うか人間って奴は差別を悪いと思わない所がある

無意識に差別して常識的に差別をいけない事だと言う矛盾


昔ブラジル人の友人が言った言葉が印象的だった


『黒人差別はしてないがどうしても拒否するんだ、あの醜い顔が受け入れる事が出来ない┅』


この世界の亜人種差別は単なる傲慢でヒト族だけが優れている

そして神が選んだのは自分達だからと主張する

これもすり替えで神の名を振りかざし優位にする為に言ってるだけ


なんでも教会もヒト族主義が多数で大陸中にその意識が浸透してる

聖職者が平等で無いのは腐敗しか無い

政治と宗教が癒着すれば世の中は荒み人々は道を間違う

これは歴史が物語ってる事で中世ヨーロッパや近代でも何度も繰り返した悲劇?喜劇?だ


「うわぁ~ここの市場は広~い!」

「品も豊富みたい♪」

「種類事に区割りされてるのは助かるね、ここは野菜関係で向こうは肉だね、あっちは魚で奥は穀物、隣が雑貨かな?調味料とかはあそこだね」

「ねぇねぇ?どうする?」


「野菜はフェリスとシンシアに任せて魚は俺とソフィアで、あっ!果物は皆で見よう」

「肉はどうするの?」

「普段見ない物を買おうかな、教えて貰うのも良いね」

「じゃあ各々買って肉は一緒ね?」


マジックバッグは各自持ってるから山脈越えの分を十分買える

時間停止機能は凄く助かるんだ


«主!肉は鳥類を多く買って!»

「鳥?」

«ここら辺は珍しい鳥が多いのです、そしてとても美味しいの♪»


フェニックスのエリザが鳥肉好きとは?


「珍しい鳥かぁ?どれどれ┅」


ロック鳥、コカトリス、ハーピー、ワイルドバード、キラーターキー、スハルドチキン、コッコ


確かに豊富だね┅┅ハーピーも食べるの?


「な、なぁ?ハーピーって食べるのか?」

«ウフフ♪ハーピーの胸肉は美味しいですよ~»

「うっ┅でもなぁ┅あの姿の胸肉だろ?なんかなぁ┅」

«ヒト姿ですがハーピーは鳥魔物ですよ?ヒト族もハーピー肉を好んで食べます!»


「┅┅そりゃあ翼部分とか足なら分かるが┅」

«なに言ってるんですか!ハーピー肉はヒト部分が一番美味しいんですよ!柔らかくて脂が甘いんですよ~♪»

「┉┅┅┅無理┅┅」


仕方なくエリザ達の為にハーピー肉を買ったが┉この罪悪感が~!

俺は食わんぞ!


他にコカトリス肉とコッコを多めに買った

コッコはニワトリと同じで玉子も売られてる、玉子も多めに買った


なんか疲れたので奥の調味料とかを見に行くと穀物売場で米を見つけた

やはり米は普及してなく飼料扱いで安く買えた

陸米で少し長くタイ米に近い品種と日本で栽培されてるのに近いのが雑草扱いされてた

粒は小さいが間違いなくジャポニカ種並みだ!

雑草と言われてるだけあってかなりの量が肥料用にあった


ホクホク顔で買い込み胡椒やハーブ類を買い込んだ

米が見つかったのでカレー用にターメリックやクミンなども買った

多くの香辛料が揃ってたので手当たり次第買い込み試しに醤油や味噌も探した


「おばちゃん?黒い液体の調味料とか知らないかな?」

「黒い液体?有ったかねぇ~?」

「後は茶色ぽい塊で珍しいのとか?」

「アンタ~!黒い液体とか知らないかい?」

「黒い液体?これじゃねぇか?茶色の塊と言うのはこれかな┅」


奥からゴソゴソと探して持って来てくれたオヤジさん

陶器の壺に入ってたのは┅┅

醤油だ!そして味噌も!凄い!


「コイツは東の国特産らしい、ここらはコイツを欲しがる冒険者が少しはいるんだ、でもな?隣のリンデルン王国じゃあ普通に売り買いしてるんだぞ」

「へぇ~それは良い話しを聞いた、その東の国ってのは遠いんですか?」

「ああ、船で行くらしい、俺はコイツを王国の商人から買ったが東の国から王国へ船が来て商売してるらしいぞ、帝国じゃあこの辺りでしか売れねぇからな」

「そうなんですね、じゃあ全部お願いします!」

「そ、そうか┅全部って良いのか?結構な値だぞ?」

「ええ!やっと見つけたんですよ!」

「わかった!こっちも助かる、中々売れねぇ品だからな、全部持ってけ!」


いやぁ良かった!醤油に味噌!オマケにソースを持ってホクホク♪

確かに高く金貨7枚も払った

オヤジさんとオカミさんはさっさと店をしまいホクホク♪

お互いWin-Win♪まぁ皆は呆れてたけどねぇ~


問題なく過ごしあの心配はなんだったのか┅

どうもこの町では亜人種への偏見は少なく時折王国から冒険者パーティーの中にエルフや獣人が一緒に来るらしい

なんでも国境越えの街道や山脈に出る魔物を狩ってこの町で買い取りして貰うんだとか


最果ての町は帝国に影響されず独自に生活する事を良しとしてる

フェリスやソフィアが普通にしても問題はなかったようだ

でも用心に越した個とは無いからそのまま変身して朝には何事もなく町を出たんだ

でもなぁ~宿の女将さんが┉┉


「チャコちゃん~!行かないで!」

「女将さん!駄目ですって!」

「お願い!チャコちゃんを私に頂戴!後生だから!」

「もう!すみません、何時もこうなんです、お構い無く出立して下さい」

「はぁ?大丈夫ですかね?では今のうちに出ますね、ありがとうございました」


「グスッ┅┅チャコちゃん┅┅」

«ブヒッ!我は使命がある!許せ!ブヒヒィ!»

「えっ?今のは?┅┅チャコちゃんが喋った!アア~ァア!私の思いが通じたのねぇ!チャコちゃん!」

「バカ!もう!ヤバイ!行くぞ!」


っとまぁ┅一悶着があった次第で┅┅

チャコは約束を破った罰で夕食抜きの刑をエリザとフェルから宣告され今は死んだ状態

こればっかしは仕方ない、残念子ブタは丸くなって床をゴロゴロしてる┅┅クロさん?足で蹴るのは辞めてあげて┅┅



さぁ!山越えだ!






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る