フレンガル辺境伯領ダカータ Ⅲ
チャコが扉をパンパン!と叩くのは面白いけど何故か必死?
「なぁチャコ?なんで必死なんだよ?」
«ブヒ!だから!主に良いのを教えてんだじょ!ブヒヒィ!»
まぁ確かに凄く重厚な造りの扉だしこの扉は青銅で出来てる
この世界には無い金属ではあるしぃ┅┅┅なんで?それに?
扉から魔力を感じたのは俺だけではなかった
「凄い魔力を感じるわね」
「これだとモンスターが中にいるかもね?だってこの魔力、なんか変だもの┅」
「そうだね、普通の魔力とは違う感じだ、それにこの扉は古代の金属かも知れないな」
「そぅそぅ!それよ!この扉が威圧してる感じだもの、でもよく古代の金属だと分かったわね?」
「そ、それは鑑定したからだよ┅アハハ┅青銅って言う金属だよ」
「青銅┅初めて聞くわ、どうするの?」
「ここまでチャコが必死なんだから入って見ようよ?」
「うん!面白そう♪」
「あっ!でも最初は俺とチャコだけで入るよ、中が安全だと確認したら呼ぶから」
「エエェ~!それだとドキドキ感が無いわよ!もぅ!」
「チャコちゃんは大丈夫かな?」
「う~ん?確かに武力0のようだしなぁ┅」
«主!我がお供します!»
«お前では足手まといだ!私が行く!大人しく待ってろ!»
«そうね┅クロが適任よ、フィルは後で奥方様達と一緒が良いわね、私はここでアンとリンを守るから»
「エリザの言う事が最適かな、クロは斥候も出来るし探索には向いてるようだ、フェルはチャコの面倒を頼む、こいつてんで弱いからな、じゃあ開けるぞ」
ギギィギィ! ガァア! バタン!
扉を引き開ける、観音開きだから片方ずつ開くと階段が有った
それはとても立派な階段で大理石のような石で作られてた
「行ってくる、一応用心だけはして置いてよ、中から何か出て来るかも知れないからな、それと絶対に入らないように、これは約束だよ」
「ハイ!待ってるから、でもケンジ様も用心してね?」
「危険だと判断したら逃げて、お願い┅」
«フン!私が一緒なのだから主にケガなどさせない!ここで待ってて!»
「アハハ♪クロは頼りになるな、じゃあ行ってくる」
«ブヒ!お宝!あるの!ブヒヒィ»
「「「«««ハイハイ!»»»」」」
階段を進むと進路順に明かりが灯る、これはライトの光┅
そして降りて行くと通路が伸びて進めと言う感じだ
何故なら通路の明かりが誘導する様に灯るんだから
その明かりに案内される様に進むと広い空間に出る
«主?さっきから音が聞こえるが?なんだか悲しい響きに感じる┅»
「そうだな、俺もそんな感じに聞こえる、しかしこの空間は┅」
そう!広い空間は吹き抜けのようで円柱状に上へと繋がってる
その上から明かりが射し込みこの辺りをハッキリと照らす
ツルツルの豪華な大理石の柱がズラリと並び真ん中に台が1つ置かれてる
凄く神聖な雰囲気が漂い昔見たギリシャ神殿の部屋を思い出した
この柱は数えると13柱┅┅
神々の数と同じ、その中でも1つが大きく真ん中に控えてる
恐る恐る台へと近づくと金色の光が上から射し体を包む
«こ、これは!主!»
「大丈夫だ!なんとも無い、クロは平気か?」
«ええ┅しかし体がなんだか軽くなったようで┅»
台を見るとそこに開かれた書物がある
それにはこう書かれてた┅古代語
『天より招かれたる者 この場に来たり そのお方の力により解放されるであろう我が同胞
永き苦しみはそのお方により祓われ安寧を得る 残された物は統べて委ねられ価値となる
我等一族の悲願が叶うお方に託す事が幸せならん
ルーニャ歴18000年 ルタルニヤ王ハールニブル 巫女カールニ
聖淑女フルエリ 』
ふぅ~なんか凄く疲れる文章だな
ルーニャ歴ってのは星が出来てから1万8000年後って事からまぁ2000年以上前か┅┅
確か魔大戦が1000年前だからずっと前になるな┅
ルタルニヤ国なのか?王だからなぁ┅
これは歴史を調べないとわからん
巫女と聖淑女かぁ?巫女は分かるが?シャーマンの類いだから占いとか予言とかだよな
聖淑女ってのが┅┅聖女でいんでないかい?
でもこの世界の聖女は旦那がいるからなぁ┅
淑女って事はそのなんだ、処女って事かな?
聖処女?かな┅┅いかんいかん!
それだけ神聖なる女性って事かな
«主!気をつけて!ヒャア!»
読み終えた書物がハラハラと消えると地震が襲った!
あの綺麗な柱が倒れ粉々に砕ける!そして明かりが閉ざされ凄い音が響く!
ゴォォォオオ! グシャグシャ!
ガガァァアアン!
「クロ!崩れるぞ!巻き込まれるな!」
«主!あの奥へ!»
クロが言った先に通路があった
そこへ急いで飛びしっかりとクロを抱いて着地!
さっきの広い空間は瓦礫の山で埋もれてしまった
«戻り道が失くなりましたね?この先を進むしか無いようです»
「そうみたい、でも明かりは有るから行ってみよう」
«主が見てた本には何か書かれてましたか?»
「ああ、古代語で何やら物騒な事が書いてあったぞ」
«物騒な?でもあの金色の光は優しく感じたのけど?»
「どうやらここは古代の城と言うか神殿かも知れないな、あの文章は王様が書いたみたいだ、なんでも解放されるとかだから閉じ込められてるのかな?」
«なんか凄く大事な文章みたいですね?主に関係するのでは?»
「アハハ!それはないよ、さるお方が解放するみたいだ、そしてそのお方にここの統べてを任せるってさ、崩れたけどこの先に何か有るんだろうな、だってこの通路も凄く丁寧な造りだぞ?」
«確かに┅┅それに貴重な鉱石で造られてますね?»
「そうなのか?その鉱石って何か知ってるのか?」
«もぅ!鑑定持ちでしょ?なんで主は鑑定を疎かにするかな!この通路は全てアダマンタイトで敷き詰めてありますよ?
それとあのライトの台座はミスリルです、こんな贅沢な事は無いんですからね!»
「そうだった┅すぐ忘れるんだなぁ鑑定┅┅そうかそんなに凄い事なんだなこの通路は┅┅」
アダマンタイトは凄く硬い鉱石、加工には特殊な技術が必要とされる、ミスリルもだがこうもふんだんに使われてるのは奇跡としか言えない
今では超希少鉱石となってるアダマンタイトが壁や通路に使われてるってのは?
昔は豊富に有ったんだろうね?
「でもな?昔は貴重な鉱石じゃ無かったかもな、取り付くして今は少なくなったってのが真実かも知れないだろ?だって2000年前だからなぁ┅」
«えっ!この神殿は2000年前!それは凄い!ヒャア!凄い!»
まぁこれが普通の反応かな?
それに2000年前でもアダマンタイトやミスリルは貴重な鉱石だからとは考えない鈍感┅┅
なんか普通に流してるケンジの頭はやはり天然?なのか?はぁ~
進むに連れ段々と部屋がある場所へときた
そこはロビーの様に豪華で広くラウンジみたいな場所も有る
部屋が壁に幾つも有りまるでホテルみたいだ
«主?部屋を見てみる?なんか有りそうだけど»
「ここまで来たんだホテルみたいだし部屋を見てみよう、出口が見あたらないからな、泊まるかも知れないだろ?丁度良い部屋ならそこで考えよう」
«ホント呑気なお方ですね?まぁ出口はなんとなく分かるけど»
「そうか!やっぱりクロと一緒で良かった、それで?出口はどの辺りだ?」
«それがモヤモヤして┅»
「見る限り部屋と壁しか無いよな?出口と言うか通路も見あたらないけど?」
«なんか風の流れが曖昧なんだが┅»
「そうか、じゃあとにかく部屋を見よう!」
そして1つずつ部屋を開ける
その部屋は埃もなく綺麗な客室のようでベッドも真新しい感じ?
広くて寝室と居間が有る豪華な部屋だ
次々に開けて行くも皆同じで今すぐでも使える部屋ばかり
ロビーのカウンターを見るとそこには部屋番号に名前が記されてる
満室なんだが?誰もいないし骨も無い┅┅骨って!
«主!こっちに階段!地下へ行く階段!こっち!こっち!»
呼ばれて行くとそこには階段が有って下へと続くんだが?出口?
降りて行くととても嫌な感じがする┅┅幽霊とか?
«向こうに檻があるよ、そこから魔力を感じるけど┅»
「そうだな、凄い魔力だな┅一応用心してくれよ」
階段下の通路を進むと檻が並ぶ?
そしてその奥に大きな檻┅┅
「これは!」
«見ちゃ駄目!»
そこには鎖で繋がれた美少女が!なんでハダカ!
でもスゲェ!綺麗な顔におっぱいがぁ!プルン!
ハダカで手足を繋がれ眠ってる?死んでるのか?動かない┅
«主┅┅なんかおっぱいばっかし見てませんかね?»
「そ、そんな事は無いぞ!でも目のやり場に困るな┅大事な所もハッキリと┅」
«見ちゃ駄目!失礼でしょ!でもなんで檻に?»
「とにかく助けよう!なっ!」
«┉┉┉┉なんか?»
「いいから!檻を破るぞ」
出入り口の扉に手をあてると!
ビリビリ! ヒャァァア!
痛い!痺れる!
«主!大事無いか!»
「はぁ~痛い!┅┅なんだよこれは?凄い電圧だぞ┅まだ痺れてる」
«フムフム┅これは雷魔法が張り巡らせてるのかな?ほりゃ!»
ビカビカ! ピカッーッ!
「馬鹿!やめろ!ヤバイぞ!」
«ヒャア!不味い!主!離れて!»
檻の鉄格子に電流が走る!その電流が床を伝いこっちに迫る!
慌てて逃げる!どこか!
ええーい!お返しだ!雷魔法で返せ! サンダー!
ぶつかる雷が火花を散らす!
バシバシハシィ!
«はぁはぁ┅┅助かった┅のかな?»
「治まったようだ┅マッタク!考え無しに無茶するなよ」
«すみません┅しかしあれでは助けられないけど?»
「そうだな┅何とか雷を止めないと┅」
«あれは魔道具で動かしてる筈、その魔道具を壊せば┅»
「魔道具かぁ┅どれどれ┅う~ん?あれかな?」
繋がれた美少女の隣に何か黒いのが見える、それから魔力を感じるのだが?
«あれですよね?でもどうするか?»
「弓で弾くかな?でも普通のは無理のようだし┅┅そうだ!ダンジョンの宝箱から出た弓なら┅」
«あの魔弓ですね?確かにあの弓なら行けるかも?»
「駄目元でやってみるか┅」
収納から弓を出して試してみる
「弓なんて余り使わないからな┅先ずは試しだ」
構えて壁を向く、そして魔力を流がすと弓が光りだす
矢がそこに有る様に引く構えをすると金色の矢が現れ輝くのだが?
そして思いっきり引いて放つ!
シュルシュルシュル!ドガーン!
「はっ?┅┅┅凄いな?」
«そ、それなら行けるかも┅┅»
では今度は本番!構えて黒い箱を狙う!そして光の矢が見えない速度で箱を弾く! ガシャーァン!
箱が粉々に砕け跡形も無し┅┅
«主の力は底なしなんだな┅┅»
「イヤイヤ!偶々だよ!まぁいいから!本当に雷は無くなったのか?な?┅┅」
恐る恐る扉に指をあてる┅┅
なんとも無い!やったぁ!
「ふぅ~大丈夫みたいだ、檻を開けるぞ」
ガシャと扉を開けて中へ入る、それでも彼女は眠ったまま┅┅
しかし近くで見ると更に驚くんだなぁ┅┅なんと彼女の周りに結界が見える┅┅面倒くさ!
「スゲェ念入りなんだな┅彼女に近付けない様に必死みたいだ」
«ヒト族みたいですな、でも鎖に繋がれてるのは罪人でしょうか?»
「どうかな?体にはキズ1つ無いぞ、それに汚れても無いし┅どれくらい繋がれた状態なんだか?」
«この結界は面倒ですな?これも魔道具なのか┅┅»
すると奥から何か声がする?
『ククク┅我の眠りを妨げる愚か者が現れるとは┅┅我の生贄に興味あるのか?』
「お前は?」
『フフン!下等なヒト種が良くもここへ来れたものだ、我の眷属はどこにおるのだ?』
«主!コヤツヒトでは無い!モンスターでも無い!»
「そうだな┅思い付くのは悪魔だろ?魔人?そんな所か?」
«何を呑気な!それならヤバイです!»
『ハン!我を悪魔だと!ふざけるな!我は神だぞ!この贄を喰らい力を得るのだ!邪魔立てするな!』
「ほぅ~?神が生贄を喰らう?それはおかしいぞ!この少女はヒト種だ!それを喰らう神などいるか!もしいたらそれは邪神しか無
い!」
«邪神!┅┅アワアワ┅»
『邪神だと!我を邪神扱いするのか!我は破壊神なるぞ!それを邪神だと?他の神達はどうした?何故現れん!この我が目覚めたのだぞ!』
「なぁ?ここは地上なんだがな?神って神域に居るんだろ?お前は神域では無くて滅びたこの場所に封印されてたんじゃ無いか?」
『封印だと┅┅┅そう言えば原初神様からお叱りを受けた┅┅アフロディアが何かしたようだ┅┅思いださん┅┅』
「なんだアフロディアが封印したのか、カーさんに叱られたならよっぽど酷い事をしたんだな?それで?生贄を用意させたのか?この子は生贄になるのを承諾したのか?」
『何を馬鹿な事を!生贄は捧げる物だ!ヒト種の事など知るか!この我に魂を捧げる事に意味があるのだ!』
「オイオイ?馬鹿な事を、お前さんがこの世界に何を成せるのだ?破壊神だったが封印されたのだからこの世界には仇成す物だな?
生贄はヒト種に敵対する物の仕業と見た、恐らく魔人かな┅そもそもこんな牢獄に閉じ込められてるんだぞ?ならばお前は悪としか言えないだろうが!」
『ククク┅確かに┅┅我を閉じ込め自由を奪った!だが我を支持する物もおるのだな?その生贄がその証拠だ┅┅ならば喰らい力を得るとしよう!ガァッハハ!』
「バ~カ!させるかそんな事!この子は俺が助ける!そしてお前を封印する!」
『ククク!ヒト種ゴトキが神に勝てると思うのか?思い上がりも甚だしいわ!お前の魂も我の力となれ!』
なんか知らんけど破壊神と戦う羽目になってしまった┅┅
おい!アフロディア!何とかしろよ!
カーさん!あんたもだ!俺に余計な事をさせんな!馬鹿ぁ!
勝てるのか?┅┅知らんけど┅
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