ダンジョン終了

シュパーン! ポワ~ン

ギャギャギヤァ!スパーン!


1階層を難なく進んで行く俺の後ろをシルフィは何もしないで付いてくる

鍛練と訓練の成果を確認する為に敢えて手を出さない様に頼んだ

ゴブリンを簡単に倒しドロップ品や宝箱を収納

ボス部屋もアッサリとクリア!

そして2階層へと足を踏み入れた


「シルフィ、ここも俺が試してみる、どこまで殺れるか┅」

『フン!アンタならあのオークも簡単に倒せるわよ、それだけの実力は有るんだからね!少しは自信持ちなさいよ!』

「そうか?それなら良いけどな┅┅やっぱりオークは強いからなぁ┅」


イジイジと重い足を引き摺る様に進む、それをシルフィはイライラしてるようだ┅┅

果たして殺れるのか?はぁ~


そして現れたオーク!酷いヨダレを垂らして向かってくる

そんなに俺が食いたいのか!このぉ!豚野郎!ジュパーン!


えっ?なんで?胴体が2つ?

ポワ~ン┅┅ドサドサ


『ほらね?あのオークを真っ2つよ?アンタは既にオークを越えてるの!分かった!』

「越えてる┅┅あの訓練と鍛練は無駄じゃなかった┅┅よし!」


それからは早かった、シルフィとの連携もあって次々に倒して行く

ドロップ品に宝箱の品がいっぱい獲得できた!


『帰ったら分厚いステーキにしてよね!たんまり肉を獲得したでしょ!良いわね!』

「ヘイヘイ!ステーキでも焼肉でもバーベキューでも良いぞ、野菜も食べろよ」

『葉っぱなんて要らないわよ、ステーキとスイーツ!良いわね!』


色気より食い気のシルフィ┅┅やはりお子ちゃま┅┅┅残念!


ボス部屋に現れたのは見た事の無いオーク?イヤイヤ!

図鑑ではオークキング?ロード?


【ブラッデイオーク】死の森奥に棲むオーク オークロードやオークキングが変異した種 獰猛で凶暴 Sランク 火魔法を使う


『アイツは魔法を撃って来るからね!体も硬くて素早いわよ』

「紫色のオークなんてのがいたのか?あの額のコブはなんだ?」

『あれは魔石よ、あれが有るから魔法が使えるの、とにかく用心しなさい!これまでの奴とは段違いに強いからね』

「そうだな┅┅でもオークなんだろ?じゃあ勝てるさ、その為に努力したからな」

『フッ┅努力したって無理なもんは無理ってのも有るのよ、でもアンタの努力は努力じゃなくて無謀って言うのよ!バッカじゃないの!』

「アハハ!まぁ良いや、先制攻撃でフアィヤーボールを撃つぞ」

『じゃあ私がそれに加勢するわよ!狙いは外さないでね!』


フアィヤーボール!

ゴォォオオ!ドカーン!

ブヒィーィィイ!


ヒャアァー!凄い熱風がぁ!

あっ!シルフィ!掴まれ!


パタパタと強い熱風に逆らってるシルフィが飛ばされそうにしてる

それをガシッと掴み抱き寄せる


オークの腹に穴が空いて燃えてる?凄い断末魔の叫びを上げて霧となって消えてしまう┅┅


『少し力を入れすぎたわね┅┅』

「普通のフアィヤーボールだったけどな┅」

『エヘヘ♪私が追加したから凄い事になったのよ、あんなの上級以上の魔法よ、ほら?壁が溶けてるでしょ?』


上級以上って┅┅帝級魔法ってのがそうだったな?

しかしシルフィの援助ってのが精霊魔法なんだよな┅

こんなの恐くて使えないぞ、初級魔法なんだからな!フアィヤーボールなんだから┅┅


宝箱は溶けてる壁を避けて出口に現れた┅┅なんで?

ドロップ品はやはり肉の塊、そして剣が出た、ミスリルソードだ

そして宝箱からはマジックバッグの特大と魔法書


収納してから休憩、このダンジョンにはセーフティエリアが無い

まぁ最下層自体がどれくらいかも分かって無いけど


パクパクとハンバーガーを食べてるシルフィ、もうすっかり食事する事が当たり前になったようだ

精霊って何も食べないんだけど?

それに食べたら出す物があるだろうに?

トイレへ行った所を見た事が無い


「なぁシルフィ?そのぉいつも食べてるけどオシッコとかウンチとかどうしてるんだ?」

『なによそれ?ああ!トイレの事ね、私は精霊よ!トイレとか必要無いわよ、この食べたのは大気に出てしまうからね』

「栄養とか水分とか必要無い訳だな?」

『馬鹿ね、精霊は霊体なのよ、生き物とかと違ってるでしょ?

食べても分解して体から出すのよ、だからお腹いっぱいとかならないの、味を楽しむだけよ』

「実体が無いからかぁ┅┅透けて見えるもんな┅┅不思議なもんだ、跡形もなく消えてしまうなんて┅┅」


食べてるのを見てると口から咽へと行って体の中をグルグル回ってるハンバーガー

そして無くなってしまうから不思議だ┅┅

霊体だから透けてる、ビニールみたいな感じ、でも触れると肌色の体になる

その時は完全にヒトと代わらない体なんだよなぁ?

つまり俺が触れると実体化する?

どんな原理なのか?わからない


「次へ行こう!」

『3階層ね♪ゴブリン、オークと来たらオーガかしら?』

「多分そうだろ、オーガって怖い顔した鬼なんだろ?」

『なによそれ?鬼?オーガが進化したのは確か鬼じゃ無くて鬼人とかだったわ』

「やっぱりか、頭良いんだろ?」

『オークよりはね、戦い方を考えて来るから面倒なのよ』

「へぇ!それは凄いな、でもさ?ゴブリンにオークって2足歩行だろ?オーガもだ、なんかヒト型ばかりと戦ってるな」

『良いじゃない、外の世界じゃヒト族とかと殺し合いするんだから、盗賊とか戦争とかね』

「そうだったな┉┉命が軽い世界だった┉┉人殺しかぁ┉殺れるかな?まぁ大丈夫だろう、相手が悪人なら魔物と代わらないだろ」

『魔物より質が悪いわよ、アンタなら関係なく殺れる筈よ』


階段を下へと歩いて行く

そして3階層へ出るとそこには大きなブラックホールが!

なんだよこれ?


『どうやらまだ3階層が出来て無いようね、製作中って感じかな』

「これがそうなのか?確かに出来立てのダンジョンだけど時間掛かるんだな」

『ウフフ♪このダンジョンコアは親切みたいよ、普通はドロップ品や宝箱なんて出来てからなのよ、魔物も消えたでしょ?あれも本来なら無いの、全部が出来てからダンジョン仕様を施すのが当たり前なんだけど』

「製作中のダンジョンに入ったのに親切にしてくれたんだな、こんな経験は2度と無いだろう、ダンジョンコアさん!ありがとう!」

『ダンジョンコアさんって┉これでおしまいね?攻略はずっと先になるわ、さぁ帰りましょ!』

「戻るのか┉┉」

『ほら!あそこに転移陣が有るわよ、あれで帰れるわ、きっと私達が邪魔なんでしょうよ、早く帰れって事よ』

「そうか、それは助かるけどね、お邪魔してごめんなさい!」


転移陣に乗ると直ぐに光ってフワッとしたら入り口だったのは驚いた、これが転移┉┉便利だな!

俺も転移とか出来たら良いな、空間魔法だったか?欲しい!


ダンジョン攻略はお預けとなったが意味の有る経験だった

これでどうにか冒険者となって生きて行けるかも┉そんな感じかな


このダンジョンはいつか又帰って来たら攻略しに来ようと決めた

その時はもっと強くなってるからね、そして優しいダンジョンコアを見てみたい┉┉待ってろよ


『お帰りなさい!ケンジ様?おケガとかしてませんか?』

「ニア、ありがとう!大丈夫だよ、それにダンジョンはおしまいだよ」

『そうですか♪良かった、シルフィ様もご苦労様でした♪』

『ニアはお気楽で良いわね、それにしてもすっかり変わったわね?まるで妖精の郷じゃない、3種族全部が集まるなんていつ以来かしら?』

『そうですね♪やっと全種族が一緒に暮らせる様になりました、これもケンジ様のお陰です!』

「俺は何もしてないよ、気に入って貰えたらそれで良いさ」

『ハイ♪とても好きです!とても安らぎます!そして好きです┅┅』


妖精達の楽園とまではまだ遠いかも知れないけど良かった

ここなら安心して暮らせるだろう、それにアフロディアの結界も有る

精霊達も多く良き仲間みたいな感じだしね、良かった┅┅


さて?本格的にここを出る用意をしよう!

町へ行って本当の異世界生活の始まりだ!

だけど問題はこの森を出るのに歩いて行くのか?

確か3ヶ月は歩かないと森を出られないとか┅┅死ぬな

どうしよう!誰か助けてー!


まっどうにかなるでしょ┅┅

支度しようっと♪


ここへ来て既に3年近く、ずっと毎日鍛練と訓練、勉強も沢山

この場所に馴染んだ体は逞しく魔力量も凄く増えてる

もう人間では無くなりヒトとしての成りをしてる

魔力とマナを備えたヒトとしてこの世界に順応した存在

でもヒト族では無い、ヒト?種である

この意味が異世界人の特徴だとはまだ知らないケンジ

アフロディアの企みと創造神ガルーダの茶目っ気でケンジの生き様が変わってしまってる

どんな異世界生活なのやら?



『ピクシー族の長シンファです』

『ハニー族の長ミンハです』

『アクア族の長クアリマです』

「丁寧にありがとう」

『イエイエ、ケンジ様のこの場所を私達に解放して頂き感謝してます、言わばあなた様が私達全妖精族の長なのです』

「そんな事は無いよ、それに俺はここを出て行く身だしね、この場所は変わらずこのままだから安心して暮らせば良い」

『出て行きなさるのですか?』

「ああ、俺もここに来て3年近く、でもまだヒト族の町とか行った事が無いんだ、こう見えてヒト族だろ?だから行って見たいんだ」

『確かにケンジ様はヒト族、町へ行かれるのも当たり前┅┅』

『このままと言う事はあの結界は残るのですね?』

「ああ、あれはアフロディアが張った結界だ、そしてこの場所は俺の故郷みたいな所だ、出て行ったきりとはならない、帰って来るからね」

『それを聞いて安堵致しました』

『ここはケンジ様の聖域、そこに住む事が許された我ら妖精族達は永遠の郷を得たのです、我等の長に違いありません、留守の間はこの地をお守り致します』

「またそんな事を、転移の魔法とか覚えたら何時でも来れるからね、その時までは頼んだよ」


『ケンジ様なら直ぐに収得為さるでしょう、この世界では転移魔法は誰もなし得ていません、ですがケンジ様なら┅┅フフフ』

「後5日したら出て行くよ、蜂蜜はニアがキラービーと仲良しになったから大丈夫だし、川も綺麗になってる、何か不便とか要望は無いのかな?」

『何から何までありがとうございます、1つだけお願いがあります、もし町で妖精を見かけたならこの場所を教えて下さい、郷を出たもの達は何も知りませんから』

「了解!必ず教えるよ、それに捕らえられてる妖精を見つけたら解放するよ、これは約束だ、卑劣な奴等を許せないからな」

『ありがとうございます┅』


そして5日後いよいよ町へ向かう時が来た


『ねぇケンジ?私が森の外まで連れて行ってあげるわよ、森を出たら歩きだからね!』

「運んでくれるのか?助かるよ」

『私は町の近くまで一緒に行ってあげるから感謝しなさい!』

「そうか、ありがとう」

『町へは入らないからね!嫌いなのよ、だからアンタも珠には町の外で私を呼ぶのよ、美味しい物が食べたいからね』

「ハイハイ♪町にも来れば良いじゃないか、ヒト族には見えないんだし、町には美味しい物が沢山有るぞ」

『う~じゃあケンジが町で落ち着いたら行っても良いわよ!

良い?ちゃんとした場所を見つける事!安宿を転々とするなんて真っ平だからね!分かった!』

「ヘイヘイ♪じゃあみんな!しばらくの別れだ達者でな!」

『私も森の外近くまで一緒に行きます!』 「ニア┉良いぞ!」


シルフィの風魔法で飛び立ち空の旅となった、飛んで行けば1日で森の外へ行ける

ニアも一緒に飛んで付いて来る

妖精達が手をあげて見送ってくれてる、精霊達はしばらくは一緒だったが戻って行った


故郷と言える死の森、たった3年近くでも凄い3年だった

転生して姿が変わって違う世界へと来てしまった

記憶が無ければ普通のヒト族として生きれるんだがどうもそれは無しみたいだ


誰の企てか知らないが記憶を持って転生したけど転移と同じみたいだ

チート能力は制限されてるからまぁラノベの主人公やアニメの主役とは違う

ゴブリン程度に四苦八苦するんだぜ?そんなヒーローはいません!

今もか弱い精霊シルフィの世話になってる能無しなんだ


アフロディアがお金を用意してくれてたのは助かる

それにマジックバッグの性能がチートなんだがねぇ┉┅┉リセット機能付き!


アフロディアが用意したマジックバッグの品物は使ってもリセットされて無くならないってのが判明した時は飛び上がって喜んだものだ┉┉

とても便利機能で物を増やせるなんて!

ダンジョンで獲得した特大バッグもそれなりの機能で有り難いけど流石にリセット機能はなかった

時間停止機能付きで特大だからかなりの収納が出来る

普段使いはこの特大バッグでアフロディアのバッグは整理してリセットオンリーとした

だから塩や胡椒に醤油とか凄く増やせた

面白いのは一定期間収納してると持ち物となってリセットされる事が分かった

だから石鹸とかシャンプー、リンスを大量ゲットした

町では風呂付きの宿を探そう!

お金は充分持ってるからね♪

リセット増で金貨が沢山♪お金持ち♪働らか無くて良いんじゃね?


イヤイヤ!ズルは駄目だ!このお金は何か有った時の貯蓄!

いざと言う時に頼りになるのはお金だから!これは身に染みて分かってる!


人よりもお金!これ真実!

金が有ればどんな時も困らないし安心だ!

人ってのは裏切るから┉┉


町へ行って冒険者ギルドと商業ギルドへ登録!

それから始まる冒険者生活!

異世界を生き抜く為に頑張るぞ!



始まりの時だ┅┅┅




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る