しおりん、モウモウの秘密を知る?
ある穏やかな日曜日の朝、栞は本を読みながらベッドでくつろいでいました。
いつものように、モウモウは彼女の膝の上で丸くなっていました。
突然、モウモウが口を開きました。
「ねえ、栞。その本、面白い?」
栞は驚愕のあまり、本を取り落としてしまいました。
「え? モウモウ、今、喋った?」
モウモウは平然と答えました。
「うん、喋ったよ。どうしたの? 驚いた顔してるけど」
栞は目を丸くして、自分の耳を疑いました。
「ど、どうして……いつから喋れるようになったの!?」
モウモウは尻尾を優雅に振りながら答えました。
「ずっと喋れたよ。ただ、人間語で話すのは面倒だったからね」
栞は混乱しながらも、科学者としての好奇心が湧いてきました。
「すごい! でも、どうして今日突然……?」
モウモウは少し考えてから答えました。
「君が最近、量子もつれの研究をしてるのを見てたんだ。あれ、面白そうだなって思ってね。ちょっと議論したくなったんだよ」
栞は驚きつつも、モウモウと量子力学について議論を始めました。
彼女は徐々に状況に慣れ始め、モウモウの知識の深さに感心していきました。
「へえ、モウモウってすごく賢いんだね。こんなに深い話ができるなんて」
モウモウは得意げに喉を鳴らしました。
「まあね。猫は人間が思っている以上に多くのことを理解しているんだよ」
二人(一人と一匹)は夢中で話し込み、気がつけば日が暮れていました。
「あ、もうこんな時間だ」と栞が言うと、モウモウは「そうだね。そろそろ寝る時間かな」と答えました。
栞はベッドに横たわり、「おやすみ、モウモウ」と言いながら目を閉じました。
次の瞬間、栞は目を覚ましました。朝日が窓から差し込んでいます。
栞は混乱しました。
「あれ……夢だったのかな」
栞は少し寂しそうに呟きました。隣では、モウモウが静かに眠っています。
「やっぱり夢か。でもモウモウが喋れたら面白いだろうなぁ」
栞はモウモウを優しく撫でました。
モウモウは目を開け、いつものように「ニャー」と鳴きました。
「おはよう、モウモウ」
栞は安心して微笑みました。しかし、その時……
「おはよう、栞」
モウモウの声が聞こえた気がしました。
栞は驚いて振り返りましたが、モウモウはただいつものように彼女を見つめているだけでした。
「気のせい……よね?」
栞は不思議な表情でモウモウを見つめ返しました。モウモウは意味ありげに目を細め、尻尾を軽く振りました。
その日から、栞はモウモウの仕草や表情をより注意深く観察するようになりました。時々、モウモウが人間のように理解しているような気がして、栞は不思議な気持ちになるのでした。
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