しおりんの大ピンチ!?
ある平和な日曜日の午後、扇華が栞の家を訪れると、普段は静かな家から栞の慌てた声が聞こえてきました。
「大変だー! 大変だー!」
心配になった扇華は急いで栞の部屋に駆け込みました。
「しおりん!? どうしたの? 何があったの?」
栞は頭を抱えながら、部屋中を走り回っていました。
「扇華! 大変なの! あたしの、あたしの最新の理論がー!」
扇華は栞の肩に手を置いて落ち着かせようとしました。
「ゆっくり話して。何が起こったの?」
栞は大きく深呼吸をして、説明を始めました。
「あのね、栞が昨日考えついた量子もつれに関するアイディアがあるでしょ? それを書いたメモが見つからないの!」
扇華は少し安心しました。
「あー、そういうこと。きっとどこかにあるよ。一緒に探そう」
しかし栞は首を横に振りました。
「でも、それだけじゃないの。そのメモ、裏にモウモウの可愛い寝顔を描いておいたの……!」
扇華は思わず吹き出しそうになりましたが、真剣な表情を保ちました。
「なるほど。それは大変、大変……だね(ぷぷっ)」
二人でメモを探し始めて10分後、栞が突然叫びました。
「あった! ここだ!」
メモは栞のパジャマのポケットから出てきました。
栞は安堵の表情を浮かべ、扇華に向かって恥ずかしそうに笑いました。
「ごめんね、騒いじゃって……」
扇華は優しく微笑みました。
「いいよ、しおりん。大切なものだもんね」
そう言いながら、扇華はメモの裏に描かれたモウモウの絵をちらりと見ました。確かに可愛らしい絵でしたが、栞の慌てぶりを考えると、少し大げさな反応だったかもしれません。
しかし、それが栞らしさだと扇華は思いました。
天才的な理論と猫の絵が同じ重要度を持つ。
それこそが、彼女の愛すべきところなのです。
「ねえ、しおりん。その理論のこと、聞かせてくれる? それと……モウモウの絵ももっと見せてくれる?」
栞は嬉しそうに頷き、二人は午後のひとときを過ごしました。モウモウは二人の会話を聞きながら、のんびりと日向ぼっこを楽しんでいました。
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