2024年7月上旬 スケジュール


2024年7月上旬。


1ヶ月前に怒られた(注意された)ことを引きづりながら、それでもなんとか働いていた。


頭の中では、


(私は仕事ができないんだなぁ)


という思いを引きづりながら。



あの一件の後、上司は私とのスケジューリングや打ち合わせを細かく行うようになった。


仕事の進捗、次に何をしなければならないのか。


できるだけ私が話しやすいように、会議室をとって打ち合わせをしてくれていた。


都度話すきっかけをくれた上司の計らいに心の中で感謝した。


その反面、上司と話すことが億劫で仕方なかった。



ある打ち合わせ中に1つ、上司から話があった。


「プロジェクトのスケジュール、入力するの苦手?」



スプレッドシートはURLを知っていれば誰でも文字の編集ができるサービスで、【仕事の進捗状況や予定を入力する】私と上司の決まりだった。

「〇〇の会議があるから、いつまでに△△を進めて〜」という、仕事をしていく上で

自分の抱えている仕事量を可視化する、大事なことの1つだ。


私は、イベントや会議の日程を、なんとなく入力して埋めていた。


あくまで、

【イベントや予定がある予定日】

だけ、入力した。



「いやぁ〜まぁ〜はは・・・」


得意の引きつった笑顔で、意味のない言葉を返す。


(((毎日生きるのにも精一杯なのに、予定なんて立てれない)))


心の中で言い訳をした。



「絶対苦手だべ(笑) まぁ、大事だから埋めてね」


上司からそれ以上の尋問はなかった。




スケジューリング。


社会人としては大事でもあり、基礎的なスキルの1つである。


(わかっちゃいるよ、わかっちゃ)


そう思いながら、スプレッドシートを開き眺める。


手と頭は、拒否しているかのように動かなかった。


向かいの席の歳の近い先輩や同僚の笑い声が、妙に気になるようになった。



その数日後、私は会社に行けなくなった。



















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