火置ユウ1
次は、彼女が自己紹介する番だ。なんたって、気になることが多すぎる。
『魔法使い』で『時空の穴』からやってきた彼女。
『見たこともない服を着て』『殺人犯を怖がらない』彼女。
ウェーブした黒いセミロングの髪。白い肌に宇宙色の目。
クールな表情で動じない、かと思えば僕の悲劇に心を痛める、掴みどころのない不思議な女の子……。
ちょっと、ワクワクしている自分がいる。新しく買ったファンタジー小説の表紙を開く直前みたいな気分だ。
……さあ、何から聞いていこうか。一番気になっていた『魔法について』から、聞いてみようかな。
「……魔法使いって、どういうことなの?手から炎を出したり、氷を出したりするわけ?テレビゲームのキャラクターみたいに」
「うん、平たく言えば、そういうことになる」
さも当然という風に、彼女は答える。そこには、なんの迷いも感じられない。
「……本当なんだ。信じられないよ」
「今日はまだ魔力が世界と馴染んでいないから無理だけど、明日は軽い呪文ならできると思う。見せてあげる」
「…………うん、楽しみにしてるよ」
「……で、何が知りたいの?私、自分から自分の話をするのがすごく苦手なんだよね。あなたから聞きたいことを質問してくれない?」
「……それじゃあ、君はここに来る前はどこにいたの?」
「別の世界にいた。この宇宙はね、自分達がいる世界だけでできているんじゃないのよ。たくさんの世界が共通した時空の中に存在しているの。
それぞれの世界は、それぞれの
「……信じがたい話だ」
「……何度も言うけど、見たでしょ?時空の穴から私が出てくるところを。…………そういうことよ」
「…………明日実際に魔法を見れたら、また少し認識が変わるかもしれない」
「そうだね、楽しみにしてて。……でね、私の仕事は『時空の魔女』として世界に生じた時空の
『時空の
空はなぜ青いのか。恐竜はどうやって絶滅したのか。そういった科学的な常識を説明するみたいに、彼女は話す。
『時空の
少し不安になって、僕は火置さんに尋ねる。
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