右園死児報告甲 報告六号 牧野周平の遺産

報告案件 牧野周平の遺産

報告者 戸島六郎(廃棄案件資料)


 かつて、政界の大物である鹿田丸雄三幹事長に寄生した超小型死児を、秘密裏に拷問、処分したと思われる、牧野周平なる人物の発言が暴露案件として出回ったことがあった。

 この牧野周平なる人物は、右園死児報告を検閲する権限を非公式に政府から与えられた、官僚であった。この男は直属の粛清部隊さえ所有し、自身がノイズと判断する情報を報告体系から消去、あるいは隠蔽していた。その活動は軍上層部も容認していた節がある。

 このような人物の存在が許されたのは、一部の権力を持った老人達の英雄信仰が原因である。明治政府以降、根源的対策のしようがない右園死児に対する防衛システムのほとんどを一人で担った、あの三田倉九の再来を、政府と軍の代表者達が強く望んでいたのだ。

 そうして見出された怪物的才能が牧野周平であり、彼は我が国の右園死児対策を陰から誘導、操作していたのだ。牧野周平はすでに死亡しているが、彼が秘匿していた重大情報は再編された調査班夜烏が、長野県の彼の別邸内地下室から回収した。

 現在、エツランシャ撃破につながる情報を洗い出しているが、資料名やデータ名がことごとく右園死児に設定されているため難航している。調査班全員が死亡した場合にそなえ応援を頼みたい。手の空いている者は熊沢慎太郎に直接連絡を取られたし。

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