報告二二号 刀剣

報告案件 刀剣

報告者 軍内部捜査局


 静岡県の民家から日本刀が発見された。鑑定書には雲次の銘が記されていたが、茎の部分を確認すると右園死児の銘が刻まれていた。民家を解体していた業者が工期が遅れることを恐れ隠蔽を図ったが、匿名の通報により露見。業者と刀剣は確保された。

 刀剣の脅威度を測定するため、ブラインドマン部隊に実験室内での素振り、試し切りを要請。ブラインドマン(橋田四郎はしだしろう)が六度の素振りを実行した結果、血圧が消滅。藁斬りを行うと切断した藁から白煙が上がり、九秒後に発火した。

 実験結果を報告された軍研究局監督官山口悠太郎やまぐちゆうたろうは、本案件に強い興味を持ち、実験の指揮を希望。彼の指揮のもと計一二六回の実験が行われ、刀剣には別個体の右園死児を効果的に破壊する機能があるとし、刀剣を使用するための専用のブラインドマンの製作を計画した。

 しかしながら山口悠太郎の実験計画には多分に私的好奇心が含まれると非難が集まり、またブラインドマン部隊を三チーム以上機能不全にした責任を問われ、山口悠太郎はその任を解かれた。刀剣は現在、軍収容施設内にて封印され、研究は凍結されている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る