報告二一号 死児

報告案件 死児

報告者 神谷修二(探偵) 冴島将吾(軍調査班員)


 報告三号 油絵 報告一二号 右園宮 の神谷修二と、報告一五号 蛆主宿儺 の冴島将吾による共同報告。山野を継続調査していた神谷の元に、冴島が蛆主宿儺の情報を持ち込んだ。

 二人は和鏡の彫り文字を解読整理、考察し、山野をかつて右園宮と呼ばれた癖地くせちと仮定。平安時代の貴人の住処、墓所とした。その上で報告三号 油絵 に描かれていた風景が、どの地点から観測されたかを座標推定。南方の丘の中腹にそれを定め、草木に隠された人工の洞窟状の空間を発見。

 この時点で高齢の神谷の体調に変状が起きたため、冴島が単独で調査。堆積した泥土を除去しつつ土中を進み、数時間後に全長八メートルほどの生物のミイラを発見した。土中に横たわった人間に似た形状の生物を二人は『死児』と呼称。軍に通報した。調査班が現地に到着した際、冴島の毛髪は白色化していた。

 この報告は報告者の過分な私見が混入しているため、冷静かつ公正な解釈態度が求められる。和鏡の彫り文字その他の資料は所定の手続きをもって閲覧されたし。

 発掘されたミイラからは右園死児的現象が確認されたため、施設収容された。また、山野の土地所有者は現時点で消失している。

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