報告二三号 遺体
報告案件 遺体
報告者
低俗な記事を書く目的で戦前に封鎖された都市下水路に侵入した取材班が、道に迷い五二時間遭難した末に廃棄地下路線に落下、報告者を含む三名を残して死亡した。三名は路線をたどり、廃棄車両を発見。乗り込んだ。
三名は座席に座ったまま白骨化している遺体を目視。情緒を乱した一名が遺体を損壊すると、損壊した部位と同じ身体部位を喪失した。胸部前面が消滅した一名は即死、他二名が急ぎ車両を脱出し路線を逃走すると、数分後に胸部の無い遺体と遭遇。地面に座すそれをやり過ごすと、さらに数分後同じ現象が起きた。
進路を先回りする人骨をやがて一名が踏みつけ、右足首から先を喪失。失血死した。最後の一人となった報告者は地を這い、遺体をけっして傷つけぬよう前進。約一〇時間後に現役の地下鉄路線に合流し、駅員に救助された。しかし遺体は地上においても報告者を追跡し、最終的に軍が報告者もろとも収容した。
遺体は生きた人間に損壊された場合にのみダメージを記憶し、それ以外の事由による損壊は再出現時に修復される。報告者の協力のもと遺体の移動原理を解明しようとしたが、遺体はその姿を目視、録画されている限り動作しないことが判明した。
この性質により、自動監視システムを構築することで報告者の救出に成功した。遺体は現在軍収容施設内にて封印されている。この遺体の素性は未だ不明だが、右園死児的現象をきたすことから本調査報告体系に整理された。
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