第36話 テレビ電話

家に帰ってきた俺はメッセージが数件届いていたので返信していく事にした。


(咲)やっほー♪私はさっき家に着いたよー♪

和樹は今何してるのー?


…このメッセージだいぶ前に来てるな。

心愛先輩とナンパ男に遭遇したなんて書いても意味分からんやろうしなー。ここは無難に返信しておくか。


(和)外をブラブラ歩いてた。さっき家に着いた所だ。


そう返信するとすぐにメッセージが返ってきた。


(咲)テレビ電話してもいーい?


その直後、電話がかかってきた。


「あ、和樹ー♪やっほー!」

「まだ返事書いて…って何だよその格好は…!!」

咲はバスタオルを身体に巻いているだけの状態だった。


「お風呂入ってたんだよね~」

「…早く服を着なさい」

「え~…暑いからヤダ~!もしかして和樹

なんか意識しちゃってるの~?」

「いや…してないからな!そんな格好でずっといると風邪ひくぞ」

「和樹、顔赤いよ~?和樹がエッチな目で見てくるから服着るねっ!」

「…見てねぇよ!」

咲は一瞬画面から消えたがすぐに服を着て戻ってきた。


「お待たせ~!そういえばあれからずっと外歩いてたの?」

「まぁ、外歩いてたっていうか先輩とナンパ男に遭遇してたって言うのが正解だな」

「そうなんだ~!先輩って学校の人?」

「ああ。斉藤心愛っていうん…」

「斉藤心愛!?知り合いなの、和樹!?」

咲が心底驚いたような顔をしている。


「咲、先輩の事知ってるのか?」 

「学校で超有名じゃん!男子から告白されまくってるけど全部断ってるらしいし!」

「そんな人だったのか…。他に何か情報はあるか?」

「うーん…あ!めちゃくちゃ成績良いみたいだよ!ほらっ!前に何か表彰されてたじゃん」

「覚えてないなぁ…」

「そもそも和樹は学校に来てなかったんじゃない?」

「アハハ…」

「なんで和樹がそんな人と知り合いなの?」

「前にポスター貼りを少し手伝っただけだぞ」


「で?斉藤心愛と何話したの?」

…ん?何か咲の雰囲気がめちゃくちゃ怖いんだが!質問というよりこれは尋問だな!

下見とはいえパンケーキ一緒に食べに行くとか絶対言わない方が良いな、これ。


「て、テストお疲れ様とかそんな話だよ。

ショッピングモールで俺達の事見かけたって言ってたわ」

「ふーん…」

「ちょうど俺達が服を見ている時に見かけたらしくてさ、可愛い子とデートかって聞かれたわ」

「ちなみに和樹はなんて答えたの?」

「普通に友達ですって答えたぞ」

「…はぁ。まだまだ道のりは遠そうだなぁ」

「ん?道のり?」

「なんでもないよ。それより今度のデートの話なんだけどね!お父さんが遊園地のペアチケットをくれたんだよね~♪」

「へ~!お父さんが?」

「うんっ!会社の人にもらったんだって!」

「そうなんだ」

「だから行き先は遊園地に決定っ!」

「せっかくのペアチケットなのに他の友達と一緒に行かなくていいのか?」

「和樹と一緒に行きたいのっ!」

「そう言ってくれるなら一緒に行かせてもらうぜ」

「うんっ!予定確認しといてね!」

「おう」

「じゃあまたねっ!おやすみ♪」

「おやすみ~」


咲との会話が終了し、スマホを確認すると桜からもメッセージが届いていたので返信をしていくのだった。

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