第34話 下見
「彼女ですか?あぁ、それは…」
「実はね~、今日ショッピングモールで後輩くんを見かけたんだよねっ!女の子と一緒にいたでしょ?あんな可愛い子とデートなんてやるね~♪」
俺の話を遮って先輩は一人で話しだした。
「先輩?ちょっといいですか?」
「ん?」
「デートじゃなくて友達数人で遊びに行っただけですよ」
「え?でも女の子と二人で服見てたでしょ?誤魔化そうとしてもムダだよっ!」
「まぁそれは見てましたけど。その時たまたま二人で居ただけですよ」
「本当かな~?」
先輩がニヤニヤしながらこちらを見ている。
「なんなら俺の友達に確認とってもらってもいいですよ?」
「べ、べつにそこまでしなくても大丈夫だよっ!」
俺の思わぬ反撃に先輩はオロオロしだした。
「それに可愛い女の子と二人でいてデートって言うなら、今のこの状況がまさにそうだと思いますよ?」
「デデ、デートじゃないからねっ!」
先輩は顔を真っ赤にしている。
「分かってますよ」
「…本当に君はさらっと可愛いとか言えちゃうよね」
「え?何て言いました?」
「なんでもないよっ!」
先輩はなぜか顔を真っ赤にして俯いているが誤解はとけたし、良かった良かった。
「そういえば先輩はショッピングモールに何か用事があったんですか?」
「用事は特になかったんだけどねー。試験も終わったしご褒美に期間限定出店のパンケーキを食べに行ったんだー♪」
「へー…パンケーキですか。お店はまだしばらく出店してるんですか?」
「うん。まだしばらくあのショッピングモールで出店してるらしいよっ!」
…パンケーキか。咲や桜と二人で出かける約束をしてるしその時行くのもアリだな。
「あれれ~?その顔はもしかして女の子を誘って食べに行こうって考えてるのかな~?」
「はい。出かける約束をしているのでその時にでも行こうかと思って」
「…本当に女の子と行くんだ。へー…。」
ん?先輩のテンションが急に下がったような気がするぞ。
「あの~…心愛先輩?何かテンション下がりました?」
「さ、下がってなんかないもんっ!」
「…そ、そうですか」
それから学校の話などをしたりしている内にすっかり夜になった。
「暗くなったし家まで送らせて下さい」
「別に大丈夫だよっ!小さい子じゃないんだから~!」
「先輩に何かあったりしたらイヤなので。送らせて下さい。いいですよね?」
「そ、そこまで言ってくれるなら送ってもらおうかなぁ」
「はい、行きましょう」
「さっきのパンケーキのお店の話だけどさ、ちゃんと下見しておいた方が良いよっ!」
「…下見ですか?」
「うん。一回食べておけば美味しいんだって相手にちゃんとオススメ出来るでしょっ!あと、お店の雰囲気も分かるしね」
「…なるほど。確かにそうですね」
(下見しておくのも良いかもしれないな。でも俺のこの風貌で一人で店に行くのはちょっとなぁ…。じゃあ正人でも誘って…やめとこう)
「あの~先輩?」
「ん?」
「下見付き合ってくれませんか?」
「え?私!?」
「是非お願いしたいんですがダメですか?」
「ううん!全然良いよっ!私もまたパンケーキ食べたいしっ!」
先輩はガッツポーズをしている。よっぽど美味しいパンケーキなんだろうなぁ。
「ありがとうございます。良かったら連絡先交換してくれませんか?また予定とか相談したいので」
「もちろん良いよっ!はいっ!」
そう言って先輩はスマホを出してきたので、
連絡先を交換させてもらった。
「家すぐそこだからここまでで大丈夫だよっ!送ってくれてありがとう♪」
「いえいえ。じゃあまた学校で」
「うん!またね~♪」
それから家に帰ろうと歩いていた時だった。
「やめて下さいっ!」
どうやら俺はまだ家に帰れないみたいだ。
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