第32話 話しかけられた

「お!和樹、委員長~!」

桜の服を選んで服屋を出ると、正人がこちらに向かって手を振っている。

「お~」

こちらも手を振り返すと正人が小走りでやってきた。後ろから咲も疲れきった顔をしながらやってきた。


「委員長の服は何か見つかったのかい?」

「ええ。とても素敵なモノが見つかったわ」

桜はチラリと俺の方を見て微笑んできた。


「…ふ~ん。和樹ったらやるじゃ~ん!」

咲が俺の横にやってきてニヤニヤしながらそう言ってきた。


「やるって何がだよ?」

「私はしっかり見てたよ~!桜、和樹の方見て笑ってたじゃん!何したのよ、こいつめ~!」

咲はそう言いながら俺の肩を小突いてきた。


「…特に何もしてねーよ」

「そういう事にしといてあげる♪」

「咲はずいぶん疲れた顔してるな」

「…まぁね。正人に連れ回されたのよ…。」

「あ~…おつかれさん」


それから俺達は四人で色々な店を見て回り、

あっという間に帰る時間になった。


「今日は楽しかったよ~♪またどこか遊びに行こうねっ!」

「ええ、機会があれば是非」

咲と桜は今日一緒に出かけた事でさらに打ち解けたようだ。


「いや~!楽しかったね、和樹!」

「おう。またみんなでどこか行こうぜ」

「うんっ!」「ええ」「ああ!」


その後、それぞれ用事があるとの事で駅前で解散し、帰り道を歩いているとメッセージが届いた。


(あ、咲からだ)

「今日は楽しかったね♪今度は二人でデートだからねっ!忘れないでよ~!!」


「忘れてねぇよ。どこ行くかまた相談しようぜ」

「うんっ♡」

咲とのやり取りを終えるとまたメッセージが届いた。


(桜からだ)

「今日は楽しかったわ。二人で出かける約束忘れないでよ」

「おう。楽しみにしてるよ」

桜とのやり取りを終えるとまたまたメッセージが届いた。


(正人からも来たよ…)

「今日は楽しかったよ!今度男同士でどこか出かけようよ!」

「機会があればな」

「絶対だからなっ!」


こうして正人とのメッセージのやり取りも終わり、家の近くまで来た時だった。


「後輩く~ん!」

後ろから声が聞こえたような気がするな。

…気のせいか。

「無視しないでよ~!!」

気にせず歩いていると彼女は俺の前に立ち塞がってきた。


「なんで声かけてるのに無視するのっ!」

「まさか自分に声かけてきているとは思わなくて」

「周り誰もいないよね!?」


斉藤心愛先輩が俺に話しかけてきたのだった。

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