第31話 選んでくれる?3
「桜はどんな服が欲しいとかあるのか?」
「…そうね。いつも落ち着いた色の服が多いからあまり着ない明るい色の服が欲しいと思ってるの」
「明るい色か~。なるほど。」
「…私には似合わないかしら?」
「そんな事ないと思うぞ?桜なら何着ても似合うと思うが」
「あなたさらっとそういう事言うわよね…」
桜の頬がほんのりと赤みを帯びていた。
「それでどこから見て回る?」
「そうね…あっちの店から見て回ろうかしら」
「おう」
…うん?桜が向かっている店ってさっき咲と一緒に行った店じゃんか!
さっき咲の彼氏みたいな感じで一緒に服選んでたのに、今度は別の女の子となんてちょっとやりにくいな…。ま、まぁ店員のお姉さんが必ず話しかけてくるとは限らないか!
「いらっしゃいませ~!あ、先ほどの!」
…はい!さっそく声かけられましたよ~!
「ど、どうも…」
「他にもまだ何か買われるんですか?」
「あ~…えっと…」
「ちょっと見てもらえるかしら?」
店内を見回っていた桜が気になる服を見つけたらしい。
「お、おう!」
「…あれ?あちらの方は…」
「と、友達です。今日は皆で出かけてるので!」
「あっ、そうなんですね!彼女さんも可愛い方でしたけどお友達の方もスゴくおキレイですねっ!」
「…えぇ、本当にそう思います」
…今の会話が桜に聞かれてない事を祈りたい。
「では何かございましたら声かけて下さいね~!」
そう言うと店員のお姉さんは他の客の所へ向かっていった。
「店員さんと何話してたの?」
「え~っと…どんな服があるのかとかな…」
「さっき、咲さんと一緒にこのお店に来たんでしょ?」
「え?」
「会話全部聞こえてたわよ」
「ま、マジか…。ハハッ…」
「一つ聞きたいのだけれど、あなた咲さんとは付き合っていないのよね?」
「付き合ってないぞ」
「なら何であの店員さんは彼女さんとか言ってたのかしら?
…私の事は友達って言ったくせに」
「あ、あれは咲が急に言い出したから流れでそうなっただけだからな」
「ふ~ん」
「と、とりあえず服見ていこうぜ」
「試着してみるから少し待っててくれるかしら?」
「おう」
「ちょっと見てもらえるかしら?」
桜が試着室から顔を出している。
「おう。どんな感じだ?」
「こんな感じになったのだけれど…」
「おぉ…スゲー似合ってるじゃん」
桜は落ち着いた色合いの服を着ている印象があったが、今試着している服は普段咲が着ているような感じのモノだ。
「いつもは着ないタイプの服なのだけれど…」
「スゲー似合ってるからそういう明るいカラーの服もどんどん着たらいいんじゃねぇか」
「何着か試着してみるから見てくれる?」
「おう」
その後、他の店にも行ったりして色々見て回ったが、最初に見たお店の服が気に入ったとの事で戻ってきた。
「買って来るから少し待っててもらえるかしら」
「ちょっとその服貸してくれるか?」
「え?ち、ちょっと!」
桜が持っていた服を手にした俺はそのままレジまでダッシュした。
「ありがとうございました~」
「何してるのよ、あなたは」
「桜には勉強だけでなく色々世話になってるからな。何かお礼したかったんだよ」
俺はそう言って桜に服が入った袋を渡した。
「…ありがとう。大切に着るわね。それと前に言ってた話忘れてないわよね?」
「話?」
「ふ、二人でどこか出かけようって言ってたでしょ!…もしかして忘れてたの?」
「忘れてないぞ。どこに行くかまた一緒に考えようぜ!」
「うん!楽しみにしてるわよ♪」
笑顔でそう言った桜に俺は思わず見とれてしまうのだった。
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