第23話 放課後

そして放課後。


咲は友達と約束があるらしい。桜は委員会。

正人も友達に引っ張られていった。


なので俺は珍しく一人になっている。


「まっすぐ帰るとするか」


帰ろうと玄関までやってきた時だった。

「お~い!後輩くん♪」


心愛先輩が後ろから抱きついてきた。

「ちょっ…なにやってるですか。ココア…心愛先輩」

「ム~!飲み物みたいに私の名前を呼ぶな~!」

「す、すいません!心愛先輩っ!」

「うんっ!分かればよろしい!」

そう言うと心愛先輩は俺の体を解放してくれた。


「先輩もテストだったんですよね?」

「うん!…っていうか全学年そうだよ?」

「…あ、ですよね。それで俺に何か用ですか?」


「うんっ!テストも終わったしこの前のお礼何かしたいなと思って!」

「いや別に…」

「何かさせてよっ!」


「あ~…じゃあ缶ジュースでもおごって頂けたら…」

「オッケー♪」


心愛先輩は俺の腕を引っ張ってきた。

「ちょっ…先輩!自分で歩けますからっ!」

「レッツゴー♪」

「どこに!?」


心愛先輩に引っ張られながら歩く事十数分。


「ここだよ~♪」

おしゃれなカフェに到着した。


「えっと…ここは?」

「入るよ~♪」


店内に入ると、店員のお姉さんに席に案内された。


「あの~先輩?ここ何のお店なんですか?」

「パンケーキがとっても美味しいから食べてみて!」

「…パンケーキですか?」

「そう!甘い物苦手だったりする?」

「いえ!好きですよ!」

「良かった~!じゃあ私のおすすめ食べてみて!」

「はい」

先輩のおすすめのパンケーキ二つと俺はオレンジジュース、先輩はアイスコーヒーを注文した。


「噂は聞いてるよ~」

先輩がニヤニヤしながら言ってきた。


「噂?」

「美少女二人といつも一緒にいるんでしょ~?」

…おそらく咲と桜の事だろう。

「まぁ、いますね」

「お!どっちかと付き合ってたりするの?」

「いえ…そういうのはまだ考えてなくて」

「…ふ~ん」

「そういう先輩こそ誰かと付き合ったりしてないんですか?」

「付き合ってるようにみえる?」


「ええ。先輩可愛いてすし」

「…さすがいつも美少女二人と一緒にいるだけの事はあるね」

そう言いながら先輩はほんのり頬が赤くなっていた。


そんな話をしているとパンケーキが到着した。

「食べよ食べよ~♪」

「「いただきます」」


「ん~!!相変わらず美味し~♪」

「本当だ、めちゃくちゃ美味いっすね!

いくらでも食べられそうです!」


あまりの美味しさにあっという間に完食した。

「で、結局先輩は誰かと付き合ってるんですか?」

「またそこに話が戻るんだね!誰とも付き合ってないよっ!」


「へー」

「もー!聞いたんだからもうちょっと何か反応してよっ!」

「ごちそうさまでした!」

「ちょっと~!」


先輩はパンケーキとドリンクの代金を払おうとしてくれていたが、割り勘にした。


「も~!奢ってあげたかったのに~」

「また機会があれば缶ジュースでも奢って下さい。今日は素敵なお店に連れてきて頂いてありがとうございました。それじゃまた!」


「なんでもう帰ろうとしてるの?」

「え…」

「まだ行きたい所あるからっ!」


…まだ先輩との放課後の時間は終わらないらしい。

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