第19話 日曜日

昨日は家に帰って来てからすぐに眠りについたので朝早くに目覚めた。


今日は桜と出かける予定がある。どこに行くか桜と話した結果、映画に行く事になった。


今日の集合場所も朝十時に駅前だ。

早く行って、先に待ってないとな。


三十分前に駅前にやってきた。

…よし、まだいないな。スマホでも見ながら待ってるか。そう思いながらスマホを見ていると、後ろから肩を軽く叩かれた。


「え?」

「え?じゃないわよ。なんで居るのに無視してスマホ見てるのよ…」

「すまん!まだ来てないと思ってたからさ。

っていうか来る時間早くないか?まだ三十分前だぞ」

「あなただって早いじゃない」

「あ~…まぁ俺は一応早く来とこうと思ったんだよ。デートだしな」

「で、で、デート!?」

「ん?違ったか?二人で出かけるし一応デートって言うんじゃねぇ?」


(なんか昨日も咲とこんな感じの会話してたよなぁ)


「そ、そうね…」

「ま、とりあえず映画館行こうぜ!」

「ええ」


「あ、桜!」

「ど、どうしたの?」

「今日の服似合っててめっちゃ可愛いな!」

昨日、咲と出かけた時は余裕がなくて言えなかったが、やっぱりオシャレしてきてくれている女の子にはちゃんと伝えないとな。


「…ありがとう」

桜は顔を真っ赤にして俯きながらもそう言った。


昨日も来たショッピングモールにやってきた。この中に入っている大きな映画館が今日の目的地だ。

「えーっと…今の時間だとやっている映画は…」

俺達は観る映画をあえて決めず、その時間にやっている映画を観ようという事にしていた。

「キミとワタシの記憶ってやつか、モグちゃんの大冒険ってやつだな。どっち観たい?」

「そうね…モグちゃんの大冒険かしら」

「そうか。じゃあそれ観るか」


俺達はチケット売り場にいった。

「モグちゃんの大冒険 高校生二枚で」

「かしこまりました。本日はカップルサービスデーとなっております。」


カップルサービスデー…。この響きに俺は以前の出来事を思い出していた。

…まさかまた何かやらされたりするのか?

「あ、あの~…」

「はい?」

「カップルサービスデーってカップルで何かやったりしないといけないんですか?」

「?特に何もございませんよ」

…普通そうだよな、あれがおかしかっただけだよな!

「カップルサービスご利用で良かったですか?」

「はい!お願いします!」


映画の料金が割引になるだけでなく、ポップコーンとドリンクもついてくるようだ。


「ポップコーンとドリンクもついてくるみたいだぜ!」

そう言って桜の方を見ると顔を真っ赤にしながら何かブツブツ言っている。


「か、か、カップルってだ、だ、誰と誰の事を言ってるのかしらね!?あの人は…」

「…お~い。何ブツブツ言ってんだ~?」

「…い、行きましょう」

「おう…」


入場時間になったので劇場に入ったのだが、俺はチケットと座席表を交互に見て固まった。

…これ、ペアシートになってるんじゃね?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る