第17話 土曜日

咲と桜、それぞれと出かける約束をしてから数日が経過した。

正人も加わって四人で勉強会を行ったが、何事もなく過ぎていった。


…俺はゲームを最後までプレイしていないので全く分からないが、咲や桜が正人と恋愛関係になったりする事もあるのだろうか?

まぁ今の段階では微塵も可能性がなさそうだが。そもそも正人のヒロイン候補って誰だったっけ?あー…マジでちゃんとゲームプレイしておけばよかったなー。


まぁ考えても仕方ないか!なるようになるよな!それよりも今日は咲と出かける日だ。


朝十時に駅前で待ち合わせをしている。

咲の家に迎えに行くと言ったのだが、咲曰く

「デートは待ち合わせするのも楽しいんだよ~♪」との事なのでそうする事にした。


咲より早く到着しておこうと思って三十分前に駅前にやってきた。


「あ!和樹~♪」

咲がこちらに向かって手を振っている。


「悪い、待たせたな!」

「全然待ってないよ~!」

「咲より早く着いてようと思ってたんだけどな…」

「楽しみすぎて早く来ちゃったんだ♪」

「そうか。次は咲より早く着いてねぇとな!」

「和樹ってばもう次のデートの時の話~?」

「なぁ、咲?そういえばこれってデートなのか?前はお出かけって言ってたような気がするんだが…」


「フフフ♪デートだよ~!」

「了解。じゃあ行くか?」

たまには俺からやってみようと思い、咲の左手をそっと握った。


「ど、どうしたの、和樹っ!?」

いつも自分から腕を組んだりしてきているが

こっちからやるとは思わなかったのだろう。

顔を真っ赤にして驚いている。」


「いや、デートだって言ったからやったんだが…急にやって悪かった」

そう言って咲の左手を離そうとしたのだが、

ぎゅっと俺の右手を握ってきた。


「…このまま歩きたい」

「お、おう。分かった」

お互い顔を真っ赤にしながら歩きだしたのは言うまでもない。


とりあえずショッピングモールを歩いていた。

「和樹!あの店行きたいんだけど♪」

「おう。…ん?ムリムリムリ!俺は外で待ってるわ!」

「何でよ~!和樹に選んでほしいの~♪」


咲が行きたいと言った店は女性用下着の専門店だったのだ。


結局、咲に引っ張られる形で入店してしまった。

「い、いらっしゃいませ…」

…ほら~!店員さんもなんでこの金髪ここに居るんだ…みたいな顔してるよ~!

周りの視線が痛いよ~!


「和樹の好きな色教えてよ~♪」

咲は俺をぐいぐい引っ張って色々みせてくる。

「あ、あのさぁ、咲」

「どうしたの?」

「…周りの視線がヤバいから俺は外で待っててもいいか?」

「え~?あ、じゃあ和樹の好きな色教えてくれたらいいよ?」

咲のやつ、ニヤニヤしやがって。仕方ない、答えて早く解放してもらおう。


「そうだな、赤と黒かな…」

「和樹ってばエッチ~♪」

おそらく何を答えてもこう言われただろう。


「…可愛いやつ買うから今度見てね♪」

咲は俺の耳元で囁いたかと思うと、やっと腕を解放してくれた。…よし、さっさと店から出よう。


しばらく待っていると、咲が店から出てきた。紙袋を持っているので何か買ったのだろう。

「お待たせ~♪」

「おう。そろそろ軽く何か食べるか?」

「そうだねっ♪」


俺達は昼食をとるためにフードコートに向かうのだった。

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