第16話 二人との約束

「…私の事はな、名前で呼んでくれないのかしら?」

「え?」


以前委員長の家におじゃました時に、委員長のお母さんに喜ぶから名前で呼んであげてと言われた。でも、結局委員長って呼び方をしてたんだよな。


「…咲さんの事は名前で呼んでいるんだから私の事も名前で呼んでもいいんじゃないかしら!?」


「お、おう。分かった」


「じ、じゃあ名前で呼んでみて!」

「…桜」

「もう一回…」

「桜」

「もう一回」

「桜…って何回言わせるんだ!?」


「これで今度から自然に私の名前呼べるわよね?」

「…ああ。なら俺の事も和樹って呼んでくれ。森本君呼びは距離感じるしな」


「わ、分かった…和樹君」

「…お、おう」


「あ、あともう一ついいかしら?」

「なんだ?」

「連絡先交換してもらえないかしら?」

「おう、もちろん!」


それから桜を家に送り、俺も自宅へと帰ってきた時、メッセージが届いた。


(あ、咲からだ)


「やっほ~!和樹♪委員長ちゃんとお家まで送ってあげた?」

「ちゃんと送ったよ!」

「よしよし♪あ、今電話大丈夫?」

「大丈夫だぞ」

あ、電話かかってきた。


「もしも~し!」

「おう。どうかしたか?」

「うん!実はね、今度の週末どこか一緒にお出かけしたいんだけど予定空いてない?」

「予定は空いてるが…テスト勉強しないとだしな~。テスト終わってから行けばいいんじゃねぇか?」


「和樹!」

「ん?」

「息抜きって大切だと思うんだよね♪」

「…まぁそうだな」

「というわけでお出かけに行こうよー♪」

まぁ確かに勉強ばっかりはきついしな…。

「…分かったよ。じゃあ土曜日に出かけようか?」

「うん♪じゃあ土曜日約束だよ!」

「おう」

「じゃあまた明日ね!おやすみ~♪」

「おやすみ~」


咲との電話が終わった後、メッセージが来ていた事に気付いた。


(あ、桜からもメッセージ来てる)


「さっきは家まで送ってくれてありがとう。少し話せるかしら?」


「大丈夫だぞ」

メッセージを送るとすぐに電話がかかってきた。

「急にごめんなさい」

「全然大丈夫だが…どうかしたか?」


「…そ、その週末は空いているかしら?」

「土曜日は予定が入っちまってるが、日曜日なら空いてるぞ」

「そ、そう…。なら日曜日私に付き合ってもらえないかしら?」

「え?」

「…だ、ダメかしら?」


正直、テスト勉強をしたいが咲の誘いは受けて、桜の誘いは断るなんて出来ないしな。


「大丈夫だぞ」

「そ、そう!良かった…。日曜日忘れないでよ」

「おう」

「用件はそれだけ!それじゃあまた明日。

おやすみなさい」

「おやすみ~」


その後、正人からも一緒に遊ばない?というメッセージがきたがそれは丁寧にお断りしたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る