第14話 先輩と話した

咲を教室まで見送った後、小腹が減ったので

購買でパンでも買おうと思って向かっていた時だった。

「ん~…後少し…う~ん!」

ポスターを貼ろうと背伸びをしている女の子が目に入った。届きそうで届かない。


「ここに貼ればいいのか?」

「あっ、すみません!」

「全然大丈夫だ。…これでよし!」 

「ありがとうございます!助かりました!

…あなたもしかして森本和樹君?」

「あぁ、そうだが。あんたは?」

「私は斉藤心愛よろしくね!」

「…ココア…ここあ…よろしくな!」


「…なんか最初飲み物みたいな感じで

呼んだでしょ?」

心愛はジト目でこちらを見てきた。


「…いや、どういう発音が正しいのかと思ってな」

「そもそも名前呼びを許可してないよ!」

「ダメなのか?」

「良いけどさ!っていうか私あなたの先輩なんだけど!?」

「あ、そうなのか」

「そうだよっ!二年生だよ!」

「ソレハシツレイシマシタ。センパイ」


「なんでロボットみたいになってるのかな!も~バカにしてるの?」

「わりぃわりぃ、ちょっとふざけちまった」

「私は先輩だから許してあげるよ!」

「…あ、ありがとうございます」


…ピンク髪の委員長を初めて見た時もかなり驚いたが、今回もすげぇな。

この先輩、髪の毛青いんだが!森本和樹の、金髪なんて大したことないだろと思わず思っちまったぜ!


「あ~…心愛先輩?聞きたい事があるんですがいいですか?」

「な~に?後輩君?」

「何で俺の事を知ってたんですか?」

「君すごい噂になってるじゃん!一人で数十人を病院送りにしたとか、女の子取っ替え引っ替えしてるとかね!」


…マジかよ。どうりでクラスメイトが近づいてこないわけだ。まぁ森本和樹の噂が本当なのかどうか俺には分からんけど。


「でも噂とはだいぶん違うみたいだね♪」

「…どうだかな」

「困ってる私を助けてくれたじゃん!

噂通りの人ならそんな事はしないと思うな~!今度お礼させてね~!」


「いや、別に礼なんて…」

「またね~!」

心愛先輩は風のように走り抜けていった。

…いや、廊下走るなよ。


その後、購買に行ったが目当てのパンがなかったのでそのまま教室へと戻った。


「おはよう!和樹~!」

正人が朝からハイテンションで俺の席へやってきた。

「おはよう。朝からテンション高いな」

「これが僕の通常モードだよ!そういえば、あれから委員長とはちゃんと話せた?」

「まぁな。あ、咲も勉強会に参加する事になったから」

「咲?」

「昨日ファミレスで会っただろ」

「あぁ!隣のクラスの彼女だね!」


「だから今日は四人で…」

「ごめん!今日は用事があって参加出来なくなったんだ!明日からまた参加させて!」

「…あぁ、分かった」

…うわぁ~!出来れば正人には居てほしかったぞ!マジで!


「おはよう、二人とも」

「「おはよう」」

「勉強会に咲も参加する事になったわ」

「そう」

「ごめん!委員長!僕は今日勉強会に参加出来ないんだ!」

「分かったわ」


…あれ?委員長、俺の顔を全く見ないんだが。

頬もほんのり赤いし。


今日の勉強会ちゃんと出来るのか若干不安に思いつつ朝礼を迎えたのだった。

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