第13話 まさかの誘い

「さっきの事で少し話がしたいの」


俺達は委員長の家の近くの公園のブランコに並んで座った。


「…そ、その、ファミレスで言っていた事なのだけれど…」

「…お、おう」


「か、勘違いしないでほしいのだけれど、あなたの事が好きって言ったのは恋愛対象としてって意味ではなくて…い、今の段階では自分でもよく分からないのだけれど…と、とにかく!私はあなたの事が人間として好きって事!それだけ分かっておいて!」


…早口選手権があったら間違いなく優勝だろうなと思うくらいには早口だった。


「お、おう…分かった。ありがとう。委員長みたいな美人にそう言ってもらえるのは素直に嬉しいぜ」


「…もう。あなたってこっちが聞いていて恥ずかしくなるような事を平気で言うのね…」


「別に誰にでも言うわけじゃねぇぞ」

「…そう。とりあえず言いたかった事は言えたわ。聞いてくれてありがとう。」

「お、おう」


「…一つ聞いていいかしら?」

「なんだ?」

「咲さんとは本当にお付き合いしていないの?」

「あー…付き合ってはいないな。」

「でも彼女あなたの事好きって言ってたわよね。あなたはどうなのよ?」


「咲の事は可愛くて素敵な娘だと思ってる。でも今すぐに付き合う…とかは考えてないかな。」


「…そうなのね」

「でもいずれはっきりしようと思ってる」


「そう…。良かったら咲さんも勉強会に誘ってみたらどうかしら?」


「え?咲も?」

「…ライバルの事色々知っておきたいしね」


「え?」

「なんでもないわよ。とにかく咲さんの事、誘ってみてね」

「あぁ、分かった」


「明日はしっかり勉強教えるから覚悟しておいてね」

「…お手柔らかにお願いします」


「じゃあおやすみなさい」

「家まで送るよ」

「すぐそこだから大丈夫よ。それより今日の授業の復習もしっかりやるのよ。」

「…分かってるって」

「フフ…じゃあまた明日ね」

「おう」


それから自宅に帰って来て、咲にメッセージを送ろうとした時俺はある事に気づいた。


(…咲の連絡先知らね~!!)


スマホは持っているのだが、連絡先がほとんど登録されていない。ダメだ、こりゃ。


メッセージで咲を勉強会に誘おうとしたのだが、連絡先を知らないという致命的なミスをしてしまったので風呂に入ってそのまま寝る事にした。


「和樹~♪おはよう!」

「おはよう、咲」


「あぁ、咲ちょっといいか?」

「どうしたの?」


「連絡先教えてくれないか?」


「聞くの遅すぎ~♪和樹スマホ持ってないのかと思ってたよ~!」

「ははは…」


無事に咲と連絡先を交換した俺は、本題に入る事にした。


「咲、勉強会に参加しないか?」

「え?」

「委員長が咲も誘ってみたらって言ってたんだよ。良かったらどうだ?」


「ふ~ん。ま、ライバルの事は知っておかなきゃ…かな♪」

「ん?」

「なんでもないよ~♪じゃあ私も今日から、参加させてもらうね!」


「おう、よろしくな」

「うん!よろしく~♪」


その後、咲はいつもの様に腕を組んできて、

俺は引っ張られながら学校に向かったのだった。

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