第7話 委員長との勉強会の約束
カップルサービスデーという謎イベントを体験してから数日が経過した。
「おはよう~和樹♪」
「おはよう、咲」
咲とは家が近い事もあり、毎日一緒に登校するようになっていた。相変わらず周りの生徒達からはチラチラ視線を感じる。
「なぁ、咲」
「どうしたの~?」
「登校する時はこれやめないか?」
そう言って俺は自分の右腕と咲の左腕の方に視線をやった。
「え~!やだ~!」
咲は俺と歩く時は当然の様に腕を組んでくる。まぁそれが視線を浴びる原因の一つでもあるだろう。
なのでやめないかと言ってみたのだが…。
「和樹がどうしてもイヤだって言うならやめる…」
咲があからさまにしょんぼりしてしまっている。…ま、まぁ腕組んでも組まなくても周りからの視線は変わらないか。
「あ~…ちょい恥ずかしいだけだから別にやめなくていいぞ」
「ほ、本当に!?やめなくていい?」
「おう」
「良かった~!」
そう言うと、咲はさらに密着してきた。
「さ、咲さ~ん。くっつきすぎじゃ…」
「そんな事ないよ~♪」
学校に着くまでそんな調子だったので周りからの視線がスゴかったのは言うまでもない。
「じゃあまた後でね~♪」
「おう」
咲が自分のクラスに入っていったのを確認してから俺も自分のクラスに入り席に座った。
「おはよう。森本君」
「ああ、おはよう委員長。課題ならやってあるぞ」
「そう。ちゃんとやってるのね」
「委員長が気にかけてくれてるからな」
「き、気にかけてなんていないわよ。それよりあなたテストは大丈夫なの?」
「…え?テスト?」
「もうすぐじゃない。結構範囲広いわよ。」
「…マジか」
転生する前の俺の成績は平均そのものだった。なのでテストに自信があるかというとない!…どうすっかなー。
「そ、そのもし良かったら…」
「ま、なんとかするよ!教えてくれてありがとう委員長!ん?今何か言おうとしてた?」
「…別に何も言ってないわよ。じゃあ」
委員長は自分の席に戻っていった。
そして昼休み。俺と咲は定位置になりつつある中庭でお昼を食べていた。
「今日も美味いわ!ありがとうな咲!」
「美味しいなら良かった~♪」
咲の美味しいお弁当を食べながら俺は今朝の事を思い出した。
「なぁ、咲。もうすぐテストだよな?」
「ん?そうだねー。」
「大丈夫なのか?勉強」
「うーん。まぁ赤点はないかなぐらいの感じかな。それより和樹こそ大丈夫なの?」
「え?俺?…ま、まぁなんとかする」
「ごめんね。和樹に勉強教えたり出来たら良かったんだけど…」
「咲が気にする事じゃねぇよ。まぁお互い頑張ろうぜ!」
「だね!」
そして午後の授業が始まり俺は考えていた。
俺一人では勉強しても限界がある。
友達と一緒に…ってどこに友達がいるんだ。
俺に話しかけにきてくれるのなんて咲ぐらいだ。…いや、待てよ。一人だけ話しかけてくれる人がいるじゃないか!ダメ元で頼んでみるか!
そして放課後。
「和樹ー!帰ろ!」
咲が教室まで来てくれた。
「悪い。ちょっと用事があってよ。今日は一緒に帰れねぇ」
「そっか。なら今日は友達と帰るね!」
「ごめんな」
「全然大丈夫だよ!じゃあね!」
咲は友達の所へ向かっていった。
俺は自分の席で話しかけるタイミングを伺っていた。自分から話しかけた事なんてないからな。
よし!周りに人がいない!今だ!
「あ、あの~、委員長ちょっといいか?」
「森本君。どうかしたの?」
「実はさ、ちょっと委員長にお願いがあって…」
「お願い?」
「勉強教えてくれねぇか!頼れそうなのが委員長だけなんだ!」
「…私だけなんだ?」
うん?心なしか嬉しそうにしてないか?
そんな訳ないか!
「いいわよ。最近のあなたちゃんと真面目に頑張ってるしね」
「マジで助かる!ありがとう!
いつ都合良さそうかな?」
「今日はこれから用事があるから出来ないけれど…明日からは大丈夫よ」
「ん?明日からは?…もしかしてテストまで毎日なのか?」
「当然。それでも足りないぐらいよ。」
「…うん。明日からよろしくお願いします。」
「うん。じゃあまた。森本君」
…委員長があんまりスパルタじゃないと嬉しいな~と思いながら俺も下校したのだった。
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