第4話 変わっていく関係

放課後を迎えた。昼休みにギャルっぽい子に

告白的な事をしてしまったのだが、俺は彼女の名前もまだ分かっていない。

名前を知るためにも俺はこっそり隣のクラスにやってきていた。

…まぁめっちゃ周りから注目されてるんだが!全くこっそり出来ていない。

ギャルっぽい子はまだクラスにいるのかな…。あ、いた。なんとか名前を知りたい所だ。

友達と話しているっぽいのでそこからなんとか情報を聞き取れないかと思い、そ~っと

見ていたつもりだったのだが…。


「あ…!和樹ー!」

俺に気付いたギャルっぽい子が少し顔を赤くしながらこちらに向かって手を振っている。


俺も笑顔で手を振り返したのだが、ギャルっぽい子の周りの子達はギョっとした目でこちらを見ていた。…違和感スゴいんだろうな。


「じゃあ私行くね!」

ギャルっぽい子が友達との会話を終わらせてこちらに来ようとしているようだ。

「ち、ちょっと!大丈夫なの、咲!?」

ギャルっぽい子を心配している友達の声が俺の耳にも聴こえてきた。

…っていうか咲って名前なのか。分かってよかったぜ。本人に向かって「名前なんていうの?」とか聞けないからなぁ。


「全然大丈夫だよ♪むしろウチら通じあってるから♪ねぇ~♪」

そう言って咲はこちらにウインクしてきた。

「は、ははは…」

…やめてくれーー!!周りからの視線が色々キツイから~~!!


だが実際、森本和樹の評判はよく知らないが悪いのだろう。咲を心配してくれている友達を安心させるために俺は声をかける事にした。

「ど、どうも」

「なにか用ですか?咲からいつも話は聞いてます。咲が話しかけても無視したりしてたんですよね?そんな態度とってた人が急にどういう風の吹きまわしですか?」


…なんて答えるのが正解か分からないけど、誠実にいかないとな。


「確かに今までの俺は咲に対して不誠実な態度ばかりとってたと思う。でもこれからは絶対にそんな事はしないって約束するよ」


…うわ~~!!めっっちゃ恥ずかしい~!!

約束するよって何言ってんだよ、俺マジで!!

言葉のチョイス間違えたな、こりゃ…。


「そこまで言ったならちゃんと咲を幸せにしてあげて下さいね!もし不幸にしたら許しませんよ!!」

「ああ」


…あれ~~。なんか話のスケールでかくなっちゃったよ!アッハッハッハ。


「では私はこれで。またね咲!」

「うん!またねー!」


周りの人達も俺達がやり取りしている間に帰ったようでクラスには俺と咲の二人だけになっていた。

「咲は今から何か用事あるのか?」

「何もないよー!」

「じゃあ一緒に帰ろうぜ」

「うんっ!」


そう言って俺達は歩きだしたのだが…。

「えいっ!」

咲はまたしても俺の右腕に腕を絡めてきたのだった。しばらくその状態で歩いていたのだが、俺は気になる事があったので咲に尋ねる事にした。

「あのさ、咲」

「ん?どうしたの?」

「自分で言うのもどうかと思うんだけどさ。俺なんかと仲良くしていると余計な事言われるかもしれないのに、なんで話しかけにきてくれるんだ?」


そう言って咲の顔を見ると咲は微笑んでいた。

「私が和樹と仲良くしたいから話しかけてるだけだよ♪まぁ昨日まではずっと無視されてたけど!」

「そ、それは…」

「だからね、今日話しかけた時に反応してくれてスッゴくびっくりしたんだから!」

咲は楽しそうに笑ったかと思うと、急にモジモジしだした。

「それにす、好きって言ってくれたし!

今まで無視してたのは許してあげるっ!」

顔を真っ赤にしながら咲がそう伝えてくれたので、俺も改めて伝える事にした。


「ありがとう。態度を改めて悪い噂がなくなるように頑張るよ。人前でももっと咲と仲良くしたいしな!」

そう言うと咲は再び顔を真っ赤にして俯いてしまったが、こくんと頷いてくれた。


それからしばらく歩いていたのだが咲の家と俺の家は意外に近いという事が判明した。

咲の家の前に着くと咲は名残惜しそうに俺の腕から離れた。


「送ってくれてありがとうね!」

「構わないよ。俺の家もすぐそこだし」

「じ、じゃあまたね!」

「おう、またな」

「あ!和樹!」

「ん?」

「言い忘れてたけど咲って私の名前呼ぶ時、

顔赤くなってるよ~♪」

「ま、まじか!」

…女の子を名前呼びなんてほとんどした事ないからな~。やっぱり顔に出てたか。


「ウソだよ~♪赤くなってないよ♪」

「からかうな~!」

咲はケタケタ笑いながら家の中に入って行った。


…にしても今日一日で色々あったなー。

疲れたよ、本当に……。


色々考えなくてはいけないのだが、帰宅して自分の部屋に入った途端ベッドにダイブして夢の世界へ旅立つのだった。

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