第3話 森本について考えてみた
どうやら転生先は以前俺がプレイしていた恋愛ゲームのようだ。
このゲームはプレイヤーが桜田正人というキャラを操作して自分のお気に入りのヒロインと絆を深めていくという内容だったはずだ。
…うん。俺が転生したこの金髪男子はマジで誰なんだ?プレイしていた時に一回も見かけた事がないんだが。
俺が桜田正人じゃない以上、これからどう行動していけばいいのかさっぱり分からんな!
そもそもこのゲーム最後までプレイしてないからなぁ。登場人物の名前も主人公以外ほぼ覚えてない。
主人公に転生出来なかったのは残念だけどまぁいいか。どうせイベントとかも覚えてなかったし。
問題はこれからどうするか。
この森本って金髪男子がどんな人物像なのか
さっぱり分かってない。
怖がられてるってのはさっき分かったが。
確かに見た目怖いしな~。
なんて考えていると朝のホームルームが始まった。担任も森本が朝から学校に来ている事に驚いていたな。
マジでこいつどんな学校生活送ってるんだよ。で、授業がいくつか終わったのだが…。
…あれ?もしかしなくてもなんだが俺、ぼっちなんじゃね?周りに人が全く来ないし。
森本はどう思ってたか知らないが俺としては結構キツイぜ、この状況。
なんとか友達は作りたいところだ。
…友達ってどうやって作ればいいんだ?
話しかけただけで怖がられてるようじゃまずムリだよなー。
よし!時間かけてゆっくりやるしかないな!
そして迎えた昼休み。…ぼっちです。
教室にいるとやりづらいのでどこか移動しようとした時だった。
「お~い!来てあげたよ~♪」
朝のギャルっぽい子が手を振りながらこちらにやってきた。
「お、おう」
俺は手を振り返した。
クラス中から視線を感じる。俺にではなく
ギャルっぽい子にだ。主に男子からの。
やっぱり可愛いもんな~。納得だ!
「どうしたんだ?」
「お昼一緒に食べよー!」
「お、おう。どっか人の居なさそうな所で食べようぜ」
「え~♪人の居ない所に行こうなんてエッチのお誘いかな~?」
「やめい!」
ギャルっぽい子の頭に軽くチョップを食らわした。
クラス中の視線がさらに鋭くなった所で俺達は移動を開始した。
「お、おい」
「んー?どうしたの?」
「腕を組むのやめないか?」
「あれれ~?もしかして恥ずかしいの~?」
「恥ずかしいわけあるか!」
…恥ずかしいです、はい。
朝と同様歩く度に柔らかいモノが腕に押し付けられるので、俺としては嬉し恥ずかしなのだが森本の人物像が把握出来てない以上、
下手なリアクションは出来ない。
なのでギャルっぽい子に腕を組まれたまま歩いていると中庭に到着した。
「ここね以外と誰も来ないんだよ~♪」
「へ~」
「さ、食べよー♪」
そう言うとギャルっぽい子はお弁当箱を広げたした。
「たくさん作りすぎちゃったから良かったら一緒に食べて♪」
一応休み時間の時にパンを買っていたのだがせっかくそう言ってくれたのでいくつかおかずを頂く事にした。
「お!どれも美味しいな!」
「本当?なら良かった~!」
ギャルっぽい子は嬉しそうにはにかんでいた。
「あのさ。ちょっと聞きたいんだけど。
何で今日お昼一緒に食べてくれたの?」
…うん?あれれー!森本っていつも一緒に食べてないのか?
「俺っていつも一緒に食べてないよな」
…何言ってんだ俺ーー!!
「うん。誘ってもいつも断られちゃうし。
なんか朝から普段と雰囲気違うよね」
転生してるからね!とか言えるわけもないので返事に困るなー…。
「そ、それは…お、お前の可愛さに気付いちゃったからさ!」
「ふ、ふぇっ!?な、何急に?」
「そ、そのさ今まで意識しちゃって変に冷たくしちゃってたけどさ。き、今日からは素直になろうと思ってさ!」
ギャルっぽい子は顔を真っ赤にしてあたふたしている。
「そ、そうなんだ…。意識してくれてたんだ…。」
「い、いつもお昼断っててごめんな。明日から一緒に食べてくれると嬉しい」
「う、うん!一緒に食べようねっ!」
…な、なんとか話がまとまったか。
「あ、あのさっ!」
「ん?」
ギャルっぽい子が顔を赤くしながらモジモジしている。
「わ、私の事意識してくれてるっていうのはす、好きって事なの?」
ギャルっぽい子は非常に魅力的な女の子だと思う。だから俺はストレートに言った。
「あぁ!大好きだぞ!!」
「そ、そ、そっか!あ、ありがと…。私もだから…。じ、じゃあ次移動教室だからもう行くねっ…!」
「あ、待ってくれ」
「な、何?」
「これからは俺の事名前で呼んでくれないか?」
「わ、分かった。か、和樹」
「ありがとう。あ!お弁当美味しかったよ」
「じ、じゃあねっ!」
そう言うとギャルっぽい子は顔を真っ赤にしながら走って行った。
なるほど。森本和樹か。やっとフルネームが分かったな。
とにかく俺は真っ先にやらなくてはいけない事がある。
…ギャルっぽい子の名前調べないと!!
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