第17話
布団で、揺れるモビールを見ながら、思考を整理する。
寝る前に考えると、必ずあの夢を見る。起きた時の気持ち悪さは何度も経験しているから、私は意識的に考えないようにしていた。しかしもはやそんなことは言っていられない。
まず、夏目さんは生きているのか亡くなっているのか。あの時、私には頭から落ちて、絶命しているように見えた。もし絶命していなかったとしてもあのケガでは病院に行かなくては助からないだろう。病院に行ったのなら、何かしらの記録が残っているはずだ。捜査が雑だったとはいえ、行方不明者情報はメイのように流れていただろうから、病院側が気づかないのはおかしい。よって夏目さんは亡くなっていると私は考える。
ではあの骨は夏目さんのものなのか。
人間の骨が白骨化するのに有する時間は、7年から8年。あの日亡くなって、地中に埋められたとするならば、ちょうど辻褄が合う。
夏目さんの死因は、事故なのか自殺なのか他殺なのか。
私が見た時、既に夏目さんの体は空中にあった。どのようにして落ちたのか私は分からない。
あの時あの場にいたのは夏目さんと私だけだったのだろうか。もしそうだとすれば埋められていることの説明がつかない。無残な、私が見た姿で発見されるはずだ。どういったものであれ、なんらかの意思のある人間が存在し、埋めたことは確かだ。
亡くなったことも、人間の意志かもしれない。
夏目さんは誰かに殺された。
謎と、そしてヒントを与えた出来事はもう一つ。
翔が脚の骨を見つけた後、先輩たちが掘り返すまでに骨は移動されているのだ。
どこに?目的は?誰が?
私はベッドから起き上がり、入学時に配られた教職員の自己紹介シートを探した。
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