第14話
私が話し終わると、文芸部はしんと静まり返った。
「それで、夏目さん、が最後にいたと思われる文芸部に入ったのか…」
空気の漏れる音が小さく響く。文樹先輩の言葉に、全員が息をするのを思い出したようだ。
「当時県内では連続強盗事件が騒がれていて、夏目さんが行方不明になったことはろくに捜査もせず、高校生の家出として片づけられたようです。ご家族は幼い頃に事故で亡くなっており、養護施設で育っています」
「忘れ去られた事件。か」
「私しか証明できないんです」
全員が頷いた。わけではなかった。
「え、いやいや。え?何言ってるの?」
星名が声をあげた。
「ちょっと待ってよ。じゃあこの骨は七年前に亡くなった夏目さんのものかもしれなくて、その事件の真相を暴くってこと?残りの骨を探すの?ヤギじゃないんだよ。死体、人間の死体だよ?警察に言えばいいじゃん。探偵ごっこがそんなに好きなの?」
「警察には七歳の頃に言った。でも真面目に取り合ってくれなかった」
「今もう一回やればいいじゃん!!それこそ骨もあるんだし!!」
「…でも」
「いやいや、何を言っても合理的な理由はないでしょ。
糸だけじゃない、みんなちょっとヤバいよ?ていうかヤギの時点で私は怖かったよ。みんな楽しんでたよね?なんで?困ってる人、悲しんでる人が目の前にいるんだよ?」
星名は全員を睨んだ。
「でも…俺は、助けたよ」
木暮先輩が呟いた。
「助けた、って。私たちがやったのは解いたですよ。助けたのは黒木先輩です」
星名はそう言うと、リュックサックを乱暴にとって、出て行ってしまった。
木暮先輩と文樹先輩、世羅も出て行った。
私は骨を見つめていた。
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