第7話

翌日、私たちは世羅が本当に持ってきた目だし帽を試しに被ったりしていた。オカ研に行く、合法か違法か、人の道を歩むか外れるかは行き当たりばったりという感じらしい。いくら怒られてもいいが、退学になっては非常に困るので目だし帽は有難く使わせていただく。


「それにしても、文樹先輩と春崎先輩はいつ来るんでしょうか」


居候の春崎先輩にまでいつ来るのか、なんて言うのはおかしな話かもしれないが、いないのがおかしなぐらいいるのだから仕方がない。


「クラス一緒だから春崎なら見たけど、授業終わるなりでっかいなんか持って出て行ったんだよな…ここに行ったんだと思ってたんだけど」


木暮先輩は目だし帽の上からヘッドホンをつけている、それは聞こえるんだろうか。

一時間ほど経ったころ、廊下からバタバタと走る音が聞こえ、扉が開け放たれた。


「何もなかった!!」

「桜の木の下には何もなかった!!」


木暮先輩は足音は聞こえなかったようで、二人の叫び声が最初の衝撃となり、ヘッドホンを目だし帽ごと脱ぎ捨てた。


「メイはあそこには埋められていない」


メイはあそこには埋められていない、泥まみれのジャージを着てそう叫ぶ先輩二人は、みんなの不安と恐怖を取り除いてくれた。


「昨日春崎と帰りながら、俺たちで掘ろうって話したんだよ」

「シャベル持って、ジャージに着替えて、こそこそ掘って。マジで俺高2で何やってんだよって思ったわ」


ジャージ以上に汚いシャベルを廊下に投げ出し、二人はソファーにダイブした。


「マジでメイ出てこなくて良かったよ。言い出したの俺だけど掘るのめっちゃやだったもん」

「土硬くなった瞬間の安心感ヤバかったわ」


世羅がマッサージのジェスチャーをしながら二人に近づいたので、二人は礼をしながら世羅に背中を向けた。


「私も誘ってくれればやったのに…」


私は二人の疲労困憊している姿を見て、掘り返された部分を思い出し、いくら男子高校生とはいえ二人でやるには大変すぎる作業だと思った。


「いいのいいの。こういうのは先輩がやればいいの…ぐぁあっ!?ちょ待って?何?なんかヤバいツボに入った気がするんだけど今」

「カッコつけておいて貧弱だな…うがっ!?やめてちょ、やめて!?」


世羅は叫び声が聞けてご満悦らしい。構わず続けている。


「じゃあ次は、オカ研に行きますか」


私は目だし帽を深く被った。






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