第3話

その後は彼女と一緒にもう一度学校を探した。

メイはもちろん見つからなかったし、その痕跡すらも見つからなかった。ということにした。


「雲瀬、世羅、ちょっと来て」


校舎裏を探している最中、木暮先輩が近くにいた私たちを呼び寄せた。


「これ、見て」


木暮先輩が指をさした先は、一見ただの地面だった。しかしよく見ると土の質感が違う。いや、


「これ、一度掘られてますね」


木暮先輩は頷いた。


「大きさ的に人ぐらいは入りそうだね」

「出ました世羅のサイコパス発言」


私は笑いながらつっこんだが、頭の中は嫌な予感でいっぱいだった。

人が入るなら、当然ヤギも入る。


「このことは日下部さんには内緒にしておこう」


私たちは木暮先輩の言葉にうなずいた。

程なくして下校時間となり、みんなで下駄箱に向かっていった。

途中で文樹先輩は少し立ち止まり、日下部先輩を先に行かせた。そして声のトーンを落とし、木暮先輩に話しかけた。


「木暮、引き返すなら今だと思う。俺はこの謎を解きたい。だけどお前を付き合わせるつもりはない。好きにしてくれ」

「…俺は、決めてたんだ。次はちゃんと救うって」

「そうか」


盗み聞いた断片的な情報に、なんの話だろうと考えていると、先に下駄箱に着いた日下部先輩の叫び声が聞こえた。


「どうしたんですか!?」


全員が駆け寄った。下駄箱の扉を開けたまま放置されている。日下部先輩は何かを持って、震えていた。


「メイが…」


日下部先輩はその何か、一枚の紙を私たちに見せた。


『お前のヤギは生贄となった』


黒い、魔法陣などの描かれた紙に、ただ一言そう書かれていた。



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