第26話 遺跡の奥深くでの対決⑥

アレックスたちは遺跡の奥深くへと進み、やがて広間に辿り着いた。そこには古びた祭壇があり、その中央にはアーサーが立っていた。アーサーは魔女の遺産を手にして、それを解読している最中だった。


アーサーの姿を見たアレックスたちは驚きと警戒心を募らせた。アレックスは一歩前に出て、声をかけた。「アーサー、君がここにいるなんて思わなかった。いったい何を企んでいるんだ?」


アーサーはゆっくりと顔を上げ、冷静な表情でアレックスたちを見つめた。「アレックス、リサ、イーサン、ソフィア。君たちがここに来るとは思わなかった。」


リサは緊張した声で問いかけた。「アーサー、その手に持っているのは…」


「そう、これが魔女の遺産だ。」アーサーは遺産を手に持ち上げ、光を浴びせた。「この遺産には、古代の強力な魔法が封じ込められている。この祭壇でしか使えないが、その力を解放すれば、全てを変えることができる。」


イーサンは眉をひそめた。「でも、なぜその力を使おうとしているんだ?孤児の暗殺とどう関係している?」


アーサーは冷笑を浮かべた。「孤児の暗殺、それは組織の上層部の失態を隠すためだった。上司の失態を隠すために、多くの罪なき孤児たちが犠牲になったんだ。しかし、この遺産の力を使えば、過去を取り消し、上司の失態を世間に知らしめることができる。そして、私がその地位に取って代わる。」


ソフィアは驚きと怒りが混じった声で叫んだ。「君は、ただ自分の昇進のためにそんなことをしようとしているのか?」


アーサーは静かに頷いた。「そうだ。この力を使えば、私が組織を掌握し、未来を築くことができる。君たちがここに来たのは不運だったが、私の計画を止めることはできない。」


アレックスは一歩前に出て、アーサーを見つめた。「アーサー、君の計画を理解した。でも、そのやり方では過去の過ちを正すことにはならない。君の上司の失態を暴露するために無関係な人々がさらに犠牲になることは許されない。」


アーサーは冷たく笑った。「犠牲は避けられない。しかし、結果がすべてを正当化する。君たちがここにいることも、私の計画を前にしては無力だ。」


リサは険しい表情でアーサーを見つめた。「その力を使えば、何が起こるか分からない。君自身も危険にさらされることになる。」


アレックスは強い決意を込めて言った。「アーサー、私たちも過去の過ちを正すためにここに来たんだ。でも、その方法は君のやり方ではない。魔女の遺産の力を正しい目的のために使わなければ、さらに多くの人々が傷つくだけだ。」


アーサーは遺産を見つめながら答えた。「君たちが何をしようとしているのか分からないが、私はこの力を使って自分の目的を果たす。」


イーサンは決意を込めて言った。「それでも、私たちは君の計画を止める。過去の過ちを正し、未来を守るために。」


アレックスは頷き、アーサーに向かって歩み寄った。「君の話を聞いて、君の計画を止めることが必要だとわかった。私たちは君を許さない。君が私利私欲のために魔女の遺産を使おうとしているなら、その力を渡すわけにはいかない。」


アーサーは一瞬の沈黙の後、冷たい目でアレックスたちを見つめた。「そうか。ならば、君たちをここで終わらせるまでだ。」


その時、遺跡の奥でかすかに崩れる音が響き、全員が一斉に警戒した。未知の危険がまだ待ち受けていることを示唆していた。アレックスたちは互いに頷き合い、未来のために共に戦う決意を新たにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る