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芽衣にとってはどうでも良いのだが、最近玲が手術から帰ってきたことが耳に入った
久しぶりに見た玲は特に何かが変わる様子もなく、普段通りに本を読んでいた
何か変わったことと言えば帽子を帽子を被っている事くらい
頭に傷口があるのだろう
手術は脳に関与するものなのだから
クラスメイトは玲の周りに集まってチラチラと見ている
ただ、玲には話しかけることもせずにコソコソと噂を話すようにして玲を囲っていた
「おはよー」
「おはよ。今日玲ちゃんが帰ってきたらしいよ」
「知ってる」
芽衣はそんな状況が面白くなかった
芽衣は玲があまり好きじゃない
彼女を見ているとまるで自分が庶民で、下民で、雑魚で、弱い
そう思えてしまうからだ
芽衣は玲のことを気にせずに席に座った
しばらくしてその日の授業が始まる
その日の玲は異常だった
「答えはAです」
全ての授業で挙手をし、答えを1秒も満たない間で答えることができていた
彼女が所属している将棋や囲碁、チェスなどをするボードゲーム部では運任せのゲーム以外で全て勝利をしていた
今までは本を読む時にはスマホで調べながら読んでいたのが、
調べ物なんて一切せずにスラスラと本を読んでいた
「……なーんか、気味悪い」
「もしかして、玲さんのこと?」
「そ。なんかさ、機械見てるみたい」
どうやら頭の中には機械とAIがあるみたいだ
計算なんてすぐに求めることができ、問題解決にはその最短ルートが手に入る
調べ物になんてスマホは使わない
脳からインターネットに接続ができるからだ
「だってさ、ただでさえ笑わないし怒らないし感情が無い機械みたいなのにさ、もう機械そのものになっちゃってさ……それに不公平じゃない?私達が数分かけて考えるような問題も秒で解けちゃう。求め方、計算、翻訳、分からないところを調べる。お金があるからそれができる頭が手に入るってわけ?はー、やだやだ。これだから金持ちは。金持ってればカンニングが許されるわけ?」
「芽衣、声が大きいよ」
「知らない。だって私あのお嬢様嫌いだもん。見てよあの澄まし顔。聞こえるように話してるのにどうでも良いように知らないふり。気持ち悪い」
ただ、芽衣が言っていることも間違いではなかった
学校にはテストがあり、学校に入学するためには入学試験が存在する
そこで金の有無で、手術をしているかどうかで進路が分けられるということだ
もし人類の大半が脳にAIを搭載し始めたらどうなる
搭載できなかった人間は?
無職の道を辿れと?
馬鹿みたいだ
そして今からその未来の第一歩を進む
手術をしていない人からはふざけるなと言いたいところだろう
「AIが進歩してるだとか、身近の店とかじゃほとんど機械しか見なくなっただとか、そんな次元じゃなくてついに身近に機械が同級生として一緒に授業を受けるだなんてね。最悪」
芽衣はそう言ってカバンを持って帰って行った
玲は本から視線を外してその様子をじっと見ていた
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