四 侵攻
ダリウス・デス・ダイナスの脳裏に、デロス帝国の皇帝ホイヘウスが現われた。
デロス帝国の首都オータホルの、デロス帝国立法議会の演壇で、皇帝ホイヘウスは拳を振り上げて演壇を叩いて喚いた。
「我がデロス帝国は、メテオライトが落下して被害を受けたリブラン王国に棲むディノス緊急援助に、デロス帝国軍を派遣し、リブラン王国(散開惑星リブラン、リブラン2、リブラン3、リブラン小惑星帯)全域を救済した!
現在、デロス帝国軍は今後の災害復興のため、現地に駐留している!」
皇帝ホイヘウスは、なおも拳を振り上げて演壇を叩き喚く。
「これに対し、グリーゼ国家連邦共和国は、デロス帝国が軍事侵攻してリブラン王国を支配していると主張し、我々帝国軍を生物兵器攻撃する事を画策している!
共和国が生物兵器で攻撃したら、帝国軍は生物兵器で応戦する!」
演説しながら皇帝ホイヘウスは、
『だが、リブラン王国を生物兵器攻撃した場合、住民のラプトも、駐留している我帝国軍兵士も死に至らしめるため使用できない』
と判断し、話の矛先を変えて拳を振り上げて演壇で喚く。
「グリーゼ国家連邦共和国からの核攻撃もありうる!
共和国が、デロス帝国のいかなる惑星をも核攻撃したら、帝国軍は共和国の主惑星グリーゼを核攻撃する!
しかしながら、そのような攻撃を避ける方法がある!
リブラン王国の住民投票で、住民のラプトとディノスが、デロス帝国に帰属するか否か、決定させれば良い!」
『これら占領地域や侵攻地域で、デロス帝国軍が銃を構えて地域住民のラプトとディノスに住民投票させれば、確実に帝国に帰属する結果になる。茶番劇だが住民の意向でリブラン王国はデロス帝国に帰属するのだ、と言い分は通る・・・。
リブラン王国の侵攻が完了したら、次はグリーゼ国家連邦共和国の惑星グリーゼ13への侵攻だ。リブラン王国同様、リブラン小惑星帯の小惑星を使って惑星グリーゼ13をメテオライト攻撃し、復興援助目的で軍事侵攻して徐々にグリーゼ国家連邦共和国に侵攻すればいい』
さらに、皇帝ホイヘウスは演壇で拳を振り上げて喚く。
「軍人だけでなく国民を軍に招集する!国家が一丸となって軍事進攻する!」
だが、その後の軍事侵攻で軍の士気は上がらず、リブラン王国の占領地は増えていない。
『軍は何をしてる?なぜ士気が上がらんのだ?』
皇帝ホイヘウスは苛立った。
軍事侵攻は、かつて小国だった時代の旧体制を打開して大国にしたいと願う皇帝ホイヘウスの一存だ。その事を理解している国民は、デロス帝国軍に招集される前にグリーゼ国家連邦共和国へ逃げようと、デロス帝国とグリーゼ国家連邦共和国の国境宙域に殺到した。
兵士の不足を補うため、デロス帝国軍は、収監されている犯罪者を、刑務所からリブラン王国のリブラン2、リブラン3、リブラン小惑星帯の戦地へ移送し、兵士にした。
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