十三 銀鈴、雲表の古都で川下りを楽しむのこと
【ご注意!】
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・本作は、「鉄道が存在する中華風ファンタジー世界」がどう表現できるか? との実験作です。中華風ファンタジーと鉄道(特に、豊田巧氏の『RAIL WARS』『信長鉄道』、内田百閒氏の『阿呆列車』、大和田健樹氏の『鉄道唱歌』)がお好きでないと、好みに合わないかもしれません。あらかじめ、ご承知おきください。お好みに合わぬ場合には、無理に読まれる必要もなく、感想を書かれる必要もありません。あくまでも【趣味】で、「書きたいもの」を「書きたいように」書いた作品です。その点は十二分にご理解ください!
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長洛出発の十二日目。朝餉(あさげ)前の時間。
銀鈴は、いつものお団子頭ではなく、雲表族の少女風に何本もの細い三つ編みにしていた。彼女は、光明宮十二階の屋上で、遠眼鏡を当てて眼下を見下ろした。
光明宮の十二階は、北、東、西の三方に、二階建ての寄棟屋根の楼閣が建っていた。まさに、“屋上屋を重ねる”だ。その屋上は、ちょうど空中の中庭になっていた。
「すごい! 白い街!」
「天陽って、こんな街だったのね。着いたのが日暮れぐらいだったし、よく分からなかったわ」
銀鈴と同じく、香々も遠眼鏡を当てて眼下を見下ろしていた。香々も、雲表族の若奥様風に、長い赤毛を一本の太い三つ編みにしていた。
眼下には、朝日を浴びた、白い漆喰の壁の建物が建ち並んでいた。ほとんどの建物は、屋上になっている平屋根。切妻屋根、入母屋根――寄棟屋根に次ぐ格式の屋根――、寄棟屋根といった、瓦を載せた斜めに傾いた屋根の建物は、寺院や役所などの重要な建物。
天陽は、北と南が山、東から西へと流れる天陽川(てんようがわ)が市街地を二分していた。
銀鈴たちはこの日は休息日として、光明宮の中を散策したり、空州の地理・産業をはじめ統治一般、雲表族、天陽教、奉納舞などについて、法王や空州牧からの説明をうけたりして、過ごした。
長洛出発の十三日目の朝餉の後。
銀鈴たちは、天陽の街を散策するために、光明宮のある光明丘のふもとに立っていた。おしのびでの外出とのことで、皆、雲表族の民俗衣裳を身にまとっていた。銀鈴、香々、茘娘、棗児、秋水の五人の上衣は、普段着として最も一般的な小豆色でお揃いだ。
女性の雲表族の民族衣装は、ゆったりと仕立てられており、太めの筒袖で、靴が隠れるぐらいの長い交領(こうりょう)の上衣――左右の見ごろもを前で重ねる上衣――に、帯を締めていた。右腕は袖に通さず、右肩を出して着ている。腕を通さなかった右の袖は腰に巻き付けていた。中衣は、古馬族の民族衣装と同じ、立ち襟、喉元から、肩、脇にかけての鉤状の合わせ目が特徴。ただし、秋水だけは男性の雲表族衣装だ。とはいえ、男性の衣裳も基本的には、女性と同じ。ただ、上衣を膝丈に短く着て、膝丈の皮の長靴を履く。
「こちらをご覧ください」
案内役のルンラグにうながされて、振り返った。
「ほんと、黄金の宮殿よね。長洛の宮城(きゅうじょう)よりも、すごいんじゃないの?」
銀鈴は、息をのんだ。
「……確かにな」
「左様ですね」
仁瑜と忠元も苦笑いで応じた。二人とも、雲表族衣装を着ていた。
振り返った先には、光明宮がそびえていた。屋上に載った楼閣の黄金の瓦が朝日を浴びて輝いていた。
光明丘全体を使った、「山」字型の光明宮のうち、他の棟よりも頭一つ高い、中央棟の上三分の一は小豆色、中央棟の下三分の二と、東棟、西棟の全体は白色。
「おっとと袖がほどけてしまった。結構長いな」
仁瑜の左袖がほどけて、伸びていた。腕を垂らすと、袖口が膝に達するほどだ。
「もう何やってのよ」
銀鈴は、仁瑜の袖口を折り返した。
「お袖の長さは、お手がギリギリ外に出るか出ないかぐらいが適当でございます。袖が長いのは、寒さ対策でございますので」
ルンラグが説明した。
「銀鈴、これは初めてだろ? そのわりには慣れてるな」
仁瑜は腕を軽く挙げた。
「筒袖の踊りの衣裳なら、もっと袖が長いのがあるわよ。それこそ、床に付くぐらいのがね」
銀鈴は、自分の袖を伸ばし、袖を飾り帯のように振って、軽く回った。
光明宮の正面広場では、敬虔な信者が光明宮に向かって、敷物の上で五体投地の礼を繰り返していた。五体投地の礼とは、起立して頭上で合掌して、合掌のまま手を口元、胸に下ろして、膝を地面について、うつぶせになり前身を伸ばす、最上位の礼。
(聖地巡礼の旅に出てから何度も見ているけど、五体投地をする人の動きって、本当に早いわよね。それこそ目にも止まらぬぐらいに)
銀鈴は、光明宮へ向かって五体投地で拝礼する人々を眺めた。
中には、皮の胸当て付きの前掛けを着け、手には突っ掛け状の板をはめ、膝当てをして、三歩進むたびに、五体投地の礼をする信者の姿もあった。尺取り虫のような感じだ。
「光明宮を五体投地で拝礼される方は、信心深い方です。その中でも、特に信心深い方は、あのように五体投地の礼をされながら、光明丘のふもとを一周されます」
「えっ、普通に歩くんじゃなくて? いったいどれくらい時間がかかるのよ⁉」
銀鈴は、ルンラグの説明を聴き、眼を見開いた。
「一日では終わりません。ですので、日が暮れると、その日進んだ最後の場所に目印の石を置き、翌日はその場所から再開します。この正面広場から始めて、西、北、東へと時計回りに回るのが作法です。まだ朝のうちですので、これから回られる方のほうが多いのですが、回り終えられた方もちらほらいらっしゃるようですね」
ルンラグは正面広場の東の方角を見た。
東側には、衣はボロボロ、額は血が滲み傷だらけになりながら、五体投地の礼をしながら、回ってきた信者の姿があった。
「あんなになりながら、わざわざ五体投地してまで回るものなの⁉」
銀鈴は声を上げた。
「あくまで、特別信心深い方です。もっとも他の方も信心が薄いわけでもないのですが。棒の先に経文が入った筒が付いた小型の摩尼車(マニぐるま)を回しながら、光明丘のふもとを一周される方のほうが多いですね」
でんでん太鼓を鳴らすように小型の摩尼車(マニぐるま)を手に持ち、振りながら光明丘回りをする人が見えた。
銀鈴たちは、ルンラグの案内で天陽の東側にある天陽側の皮舟乗り場へと着き、皮舟に乗った。
皮舟は、天陽川の流れに沿って川を下っていく。川幅は広く、流れは穏やかだ。北岸には、深り輝いた光明丘の光明宮と、そのふもとの白い街が広がっていた。
「みんなで乗るのにちょうどいい大きさね。窮屈ってこともないし。それにしても、皮て舟を造ってだいじょうぶ?」
銀鈴がつぶやいた。皮舟には、銀鈴を含めて一行八人、船頭が一人の計九人が乗っている。
「ご心配には及びません。釐牛(ヤク)の皮で造られておりますから、水中の岩にぶつかっても、衝撃や摩擦に強いんです。むしろ木の舟よりも丈夫です。皆さまも、雲表本線の車窓からお気付きかとは存じますが、森が少なくて、空州では木が貴重でございます。まあ、南東部の標高の低い所には森もございますが。ですので、木造の舟は少ないです」
ルンラグが説明した。
「確かに、汽車の窓からは森どころか、林も見なかったわね。草、土、砂の茶色か、雪の白ばっかりだったわ」
「その土地に合わせたものがあるものだ」
銀鈴、仁瑜の順にうなずいた。
「あれ、川を上る舟はいないのね?」
香々があたりを見回した。
「はい。皮舟は川を上れません。ですので、川の渡し舟なら『之』の字に動いて、ある程度川を下ったところで、あのように船頭が担いで上流にもどります」
ルンラグは川岸を指差した。そこには皮舟を頭にすっぽりかぶるようにして担いで上流に向かう船頭がいた。
「舟を担げるの!?」
銀鈴はルンラグに尋ねた。
「はい。この軽さも、皮舟の良さございます。大きさにもよりますが、大人の男性ひとりで担げるぐらいの軽さです。もっとも、川から引き上げた直後は水を吸って重たいので、船底を上にして天日に干します。乾く軽くなりますので」
舟は、船頭の竿さばきによって、そうこうするうちに、雲表本線の大鉄橋をくぐり、大仏が彫られた岩壁前に着いた。
お昼過ぎ。
銀鈴たちは、皮舟での川下りを終えて、繁華街の食堂街へ来ていた。窓枠が小豆色に塗られた三階建ての石造り、日干しの磚(レンガ)造りの建物が建ち並んでいた。
行き交う人々のうち、雲表族衣装を着た人の多くは、肩肌脱ぎで右肩を出していた。上衣は小豆色をはじめ、紺色、黒色、灰色、焦げ茶色といった暗い色が多い。対して、中衣は青色、緑色、橙色、白色、白茶色、赤色など明るく華やかな色が多い。
前面玻璃(ガラス)張りのある食堂では、店先に大鍋が据えてあった。厨師が大きな生地の塊に小刀を当てて、削ぎ落した。削ぎ落された短く平べったい麺は、宙を飛び、次々に鍋へと落ちていった。ゆで上がった麺は、ざるでどんぶりに上げられた。
「刀削麺(とうしょうめん)ね。ここにしましょう?」
銀鈴が、一同に尋ねた。
「いいんじゃないですか。わりと混んでいますから、ハズレではないでしょう」
忠元が賛同した。
「私は構わぬが」
「店選びは任せるわ」
仁瑜と香々も、銀鈴に賛成した。
「茘娘、棗児、秋水もここでいいわよね?」
「いいわよ」
「わたしも構わないわ」
「それがしも異存はない」
銀鈴たちは、食堂へ入り、女性給仕に案内されて席に着いた。女性給仕も、小豆色の長着で、白の前掛けをしていた。縁取りは五色の横縞だった。
「結構暑いわね」
銀鈴は、そう言いながら長袍の左袖から腕を抜き、諸肌脱ぎになった。
「そうよね。火も入っていないのに、暑いわね」
香々は食堂中央の炉を見た。
「よそからいらっしゃる皆さまは、『冬の空州は寒い』とお考えですが、昼間は案外そうでもないんですよ。旅行案内書に書かれている気温は、太史局(たいしきょく)が日陰で測ったものですから。空州は、天に近いので、日差しの熱量が多いです。ですので、今日のようにお天気が良くて、日差しがたっぷり入る部屋なら、火をたかなくても、十分温かいですよ。腕まくりをしても良いぐらいで。逆に、日陰だと旅行案内書通りの気温でございますから、日向に比べると、ずいぶん寒うございます。お気を付けください。夏・冬通じて、毛皮や毛織物、皮衣を着ております。低地のように衣替えはなく、暑ければ上衣を諸肌脱ぎにして、中衣だけになれば済みます。夏は、『一日の中に四季がある』と言うぐらいに、朝・夕は冬、日中は夏と気温差が大きいです」
ルンラグが気候について注意を促した。
太史局とは、天文・気象を司る役所。
銀鈴は、天井や壁を見回してつぶやいた。
「外は地味でも、中が華やかなのはお寺だけじゃないのね」
銀鈴が指摘した通り、外観の白壁、小豆色の窓枠と異なり、屋内の天井や壁は、各種吉祥紋様が鮮やかな極彩色で描かれていた
「空州の建物は、どこもそうです。建物にしても、衣にしても、外は控えめ、内は華やか、なことが多いです」
「あれ、この『とうがらしの乾酪(チーズ)煮』『馬鈴薯(じゃがいも)ときのこの乾酪(チーズ)煮』って、何?」
銀鈴は品書きを指差した。
「それは、お品書きの通りで、乾酪(チーズ)でとうがらしを煮たものと、馬鈴薯(じゃがいも)ときのこを乾酪(チーズ)で煮たものです。ここ天陽よりも、南の地方で食べられているお料理です。ですが、馬鈴薯(じゃがいも)、きのこの乾酪(チーズ)煮はともかく、とうがらしの乾酪(チーズ)煮は、『世界一辛い』お料理でして、おやめになったほうが良いかと……」
ルンラグが説明した。
「面白そうじゃない、銀鈴。頼んでみたら?」
「じゃそうしましょうか、大おばさま」
銀鈴と香々が面白がっていた。
「頼まれるのでしたら、お味見程度で、ひと皿を皆さまで分けられたほうが良いでしょう。もしお口に合えば、追加で頼めば良いので」
「そうしますね、ルンラグさん」
そうこうするうちに、銀鈴たちは刀削麺(とうさくめん)、野菜炒め、蒸し餃子(ギョウザ)、とうがらしの乾酪(チーズ)煮、馬鈴薯(じゃがいも)ときのこの乾酪(チーズ)煮を注文した。
注文した料理が出てきた。
銀鈴は、平べったくて、不規則にデコボコしている刀削麺をかき混ぜて、口に運んだ。ごく短い麺にたれを絡めて食べる汁なし麺だ。
(モチモチで、デコボコの麺にたれが絡んでおいしいわ)
「とうがらしって、香辛料よね? 野菜だったっけ?」
銀鈴はとうがらしの乾酪(チーズ)煮の皿を見て目を丸くした。そこには白の乾酪(チーズ)で煮られた赤いとうがらしがあった。あたかも“野菜の煮物”だった。
銀鈴と香々は、とうがらしの乾酪(チーズ)煮を口にした。
「辛い! 豆腐の代わりに乾酪(チーズ)を使った、超激辛麻婆豆腐⁉ 羊肉の串焼きにとうがらし粉をかけ過ぎて、辛くなったことはあるけど、その比じゃないわよ! 口がヒリヒリする!」
「ほんと辛いわね。でも花椒(ホアジャオ)の香りがいいわね」
花椒(ホアジャオ)とは、辛味と香りが特徴の香辛料。和国の山椒よりも辛い。
「ですので、最初に『世界一辛いお料理』と申し上げたのですが。とうがらしの乾酪(チーズ)煮は、“野菜”扱いのとうがらしを、大量の花椒(ホアジャオ)を入れ、乾酪(チーズ)で煮込んだものですから。南のほうでは、お米を作っていますので、三食このとうがらしの乾酪(チーズ)煮も珍しくありません」
「そうなんですか、ルンラグさん⁉」
驚きの声を上げた銀鈴は、ぬるくなっていた乳酪(バター)茶を飲んだ。
(乳酪(バター)茶おかげで助かったわ。ただのお水や緑茶よりもヒリヒリがやわらいででる?)
「はい。南では、標高の低い所でお米を作っていますので、少量の辛いおかずで、たくさんのご飯をいただく習慣です」
ルンラグが答えた。
「大おばさまは平気なんですか?」
銀鈴は、あきれた感じで香々を見た。
「辛いのは平気よ」
香々は、平然とした表情でとうがらしの乾酪(チーズ)煮を口に運んだ。
「馬鈴薯(じゃがいも)が乾酪(チーズ)と合うわね。とうがらしと花椒(ホアジャオ)の風味があって、少しヒリってするけど、これぐらいならそんなに辛くないわね。馬鈴薯(じゃがいも)と乾酪(チーズ)の組み合わせって、泰西のものと思ってたけど、案外こっちにもあるのね」
「そうよね。普段食べている麻婆豆腐と、辛さはそんなに変わらないんじゃい? こっちだけにしておけば良かったんじゃないの、銀鈴?」
茘娘と棗児は、馬鈴薯(じゃがいも)ときのこの乾酪(チーズ)煮をつついていた。
「だって、『世界一』なんて聞いたら、試してみたいじゃない」
銀鈴は、むくれながらも、馬鈴薯(じゃがいも)ときのこの乾酪(チーズ)煮を食べた。
「馬鈴薯(じゃがいも)ときのこの乾酪(チーズ)煮は、とうがらしと花椒(ホアジャオ)が控えめの“甘口”です」
ルンラグが説明した。
昼餉を終え、銀鈴たちは食堂を出て、土産物を買いに来た。
銀鈴は、前面が玻璃(ガラス)窓越しにじゅうたん屋の中をのぞいた。そこには、虎や龍、吉祥紋様のじゅうたんが飾られていた。
「せっかく来たんだし、何枚か買って帰らない?」
銀鈴が声を上げた。
「あした、じゅうたん工房へ見学に行く予定だぞ」
「このお店も、明日(あす)ご案内する工房から仕入れていますので、明日にされては? 即売所もありますので」
銀鈴は、仁瑜とルンラグにたしなめられた。
「それもそうね。じゃ、次行きましょ」
「いらっしゃい、いらっしゃい。そこのお嬢さんたち、見ていってよ」
店主の呼び込みの声に魅かれて、ぬいぐるみの屋台をのぞいた。
銀鈴は、並んでいたぬいぐるみを手に取った。
「釐牛(ヤク)ね」
「こちらを見てください」
銀鈴は、店主から指にはめる釐牛(ヤク)のぬいぐるみを見せられた。
「鶴もありますよ」
「それじゃ、これとあれをください」
「銀鈴、ぬいぐるみはたくさんあるだろ?」
「まあいいじゃない、秋水。釐牛(ヤク)のは持ってないし。それより秋水、隣で首飾りや耳飾りでも買ったら? ほとんど持ってないでしょ」
銀鈴は隣の装飾品の屋台を指差した。その装飾品屋では、赤い珊瑚、青緑色の貴石、黄色の琥珀の珠を数珠つなぎにした首飾り、耳飾りが売られていた。
「色気より食い気の銀鈴には言われたくないのだが」
銀鈴たちは、市内観光を終えて、光明宮の客間に戻ってきた。
銀鈴は、客間の居間の炉に、乾燥した釐牛(ヤク)のフンを投入した。
「燃料は、釐牛(ヤク)のフンだったよな、銀鈴? 動物のフンが燃料になるのも不思議なものだ」
「そうよ、仁瑜。石炭よりも、臭くないんじゃないの?」
「失礼いたします。フンは足りておりますでしょうか?」
ルンラグが入ってきて、フンを銀鈴に渡した。
「ええ。フンが燃料なのに、臭くないんですね。お香とまではいきませんが、草を燃やした感じですね」
「左様でございます。きちんと乾かしていない物だと、臭い煙ばかり出て火がつきませんので、とても使えたものではありません」
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