五 銀鈴、氷結湖を散策するのこと
【ご注意!】
・本作の「目的」は【趣味で執筆】、作者要望は【長所を教えてください!】です。お間違えないようにお願いします。
・本作は、予告なく削除することがあります。あらかじめご了承ください。ですので、もしも「まだ読みかけ」という方は、ご自身でWordやテキストエデッタなどにコピペして保存されることをお勧めします。
・「作者を成長させよう」などとのお考えは不要です。執筆はあくまでも【趣味】です。執筆で金銭的利益を得るつもりは全くありません。「善意」であっても、【新人賞受賞のため】【なろうからの書籍化のため】の助言は不必要です。
・ご自身の感想姿勢・信念が、本作に「少しでも求められていない」とお感じなら、感想はご遠慮ください。
・本作は、「鉄道が存在する中華風ファンタジー世界」がどう表現できるか? との実験作です。中華風ファンタジーと鉄道(特に、豊田巧氏の『RAIL WARS』『信長鉄道』、内田百閒氏の『阿呆列車』、大和田健樹氏の『鉄道唱歌』)がお好きでないと、好みに合わないかもしれません。あらかじめ、ご承知おきください。お好みに合わぬ場合には、無理に読まれる必要もなく、感想を書かれる必要もありません。あくまでも【趣味】で、「書きたいもの」を「書きたいように」書いた作品です。その点は十二分にご理解ください!
・あらすじで興味が持てなければ、本文を読まれる必要はありません。無理に感想を書かれる必要もありません。私も、感想返しが必ずしもできるわけではありません。また、感想返しはご随意に願います。なお、ひと言でも良い点を指摘できる作品に限り、感想を書くようにしています。
・攻撃的、挑発的態度などのご感想は、「非表示」「ブロック」の措置を取りますことを、あらかじめご承知おきください。
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長洛出発の三日目。
銀鈴たちは、午前は城市内――都市内――を視察し、寺院を参拝した。昼餉を挟んで、午後になって蒼州牧夫妻の案内で、蒼塩湖へと来ていた。
蒼塩湖は、荘厳に凍り付いていた。
銀鈴たちは、蒼州牧夫妻の先導で、氷結した蒼塩湖湖上に立った。
「さあ、こちらです。足元をお気を付けください。ここは、既に蒼塩湖の上でございます。蒼塩湖は塩の湖です。ですので、ここの水は海と同じく、しょっぱいです」
蒼州牧が説明した。
銀鈴は、手にしていた杖で氷の地面をつついた。しゃがんで、できた氷の破片をつまんで口に入れた。
「しょっぱい!」
香々も、銀鈴の隣にしゃがんで、氷の欠片を口にした。
「ほんとしょっぱいわね。海ってどんなの? 銀鈴は見たことある?」
「わたしも、本で読んだだけで、まだないんですよ」
「せっかくですから、氷すべり(スケート)してみます?」
銀鈴は、忠元から竹下駄を見せられながら、声をかけられた。
竹下駄(たけげた)とは、二つ割にした竹に靴を載せてひもで縛ったもの。竹の丸いほう――外側――を上にする。
「氷すべり(スケート)?」
香々が怪訝な顔をした。
「大おばさまは、すべったことはまだでしたっけ?」
「この冬は、長洛では雪はまだ薄っすらと積もる程度で、雪かきもほうきで掃けば済むぐらいでしたからね。竹下駄ですべるなら、厚く雪が積もって、踏み固めれてカチカチになっていないといけませんので。口でご説明するよりも、実際にご覧になったほうが早いでしょう。銀后、すべります?」
忠元が口を挟んだ。
「はい」
銀鈴はうなずき、竹下駄をはいた。
「おっとっとと! 久しぶりだから、感が戻ってないわ!」
すべり出した銀鈴は、体勢を崩して、転びかけた。その瞬間、仁瑜に抱きとめられた。だが、勢いがつき過ぎていたので、仁瑜を押し倒した。押し倒された仁瑜は尻もちをついた。
「気を付けろ、銀鈴。危ないぞ」
「ごめんなさい。ありがとう」
銀鈴は、仁瑜の胸の上でばつの悪そうな顔になった。
「こうやって遊ぶのね。面白そうね」
香々が竹草履を履き出した。
「香后さま、失礼します。初めてだと、ひもの結び方が悪いと危ないので」
茘娘が、しゃがんで香々の竹下駄を結んだ。
「そうなの? ありがとうね」
香々が滑り出した。速度がついて、飛び上がり、一回転し、着地した。
「大おばさま、すごい! ほんとに初めて?」
銀鈴が声を上げ、拍手をした。それに続いて周りの者たちからも拍手がわき上がった。「結構楽しいわね。玉乗りのように、不安定な足場で踊ることもあるからね。さあ銀鈴、いらっしゃい」
「はい」
銀鈴は、香々に手をつながれて、一緒にすべり出した。
周りでは、茘娘、棗児をはじめ、随行の女官・宮女たちも、思い思いに氷滑り(スケート)をしていた。
「お寒いなか、お疲れさまでございました。こちらでおくつろぎください」
銀鈴たちは蒼州牧夫人に湖畔の茶屋の一室へと案内された。茶屋は貸し切りとなっていた。白壁で落ち着いた店内だ。
「外套をお預かりします」
茘娘が銀鈴の、棗児が香々の釣り鐘型外套(マント)を脱がせた。
席に着くや、蓋椀が出された。
「あっ、八宝茶(はっぽうちゃ)! 温まるわね」
蓋碗の蓋を取った銀鈴が歓声を上げた。そして、蓋で中の茶葉や具をよけながら茶をすすった。
八宝茶とは、紅なつめ、龍眼、枸杞(こく)、干しぶどう、白胡麻、白砂糖、氷砂糖が入った緑茶。紅なつめ、龍眼、枸杞は、生薬にも用いられる果実。
「冷えた体にはやっぱり八宝茶よね、銀鈴。この甘さがいいわよね」
香々は添えられた匙(さじ)で、蓋碗の中から具をすくって食べた。
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