第5話 夏やすみ グランド

7月29日 学校中庭の朝顔から空間移動。

僕の画面が切り替わる。

生徒のいないグランドは広い。

君を探す。もちろんいない。

なおさらグランドが広い。

僕は時間操作する。

6月29日 グランドに走る君。

野球部。サッカー部。

顔は見えない。

手前の鉄棒が暑さで溶け出した。

地球の沸騰。

『まずいぞ。急げ。』

声がする。

思わず僕は『黙れ!』

意味のないイラだちを口にする。

次の瞬間、君が大きなストライド。

僕の目の前、駆け抜けた。

心に風が抜けた。

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