第13話 森の襲撃

エレナを見送ったアゼルたちは、新たな目的地へと進んでいた。森の中は薄暗く、木々の間から差し込む光が幻想的な雰囲気を醸し出していた。風が木の葉を揺らし、鳥のさえずりが静けさを破っている。


「エレナがいないと少し寂しいな」とカイルがつぶやいた。


「でも、彼女の安全が最優先だ。私たちは自分たちの使命に集中しなければならない」とアゼルが答えた。


ソリテールも同意し、「これからの戦いはさらに厳しくなるだろう。私たちは強くならなければならない」と言った。


その時、突然周囲の木々が不自然に揺れ始めた。アゼルたちは警戒し、周囲を見回した。


「この感じ、何かがおかしい」とアゼルが警告した。


カイルが剣を抜き、「気をつけろ。何かが近づいている」と叫んだ。


その瞬間、森の中から黒い影が飛び出し、アゼルたちに襲いかかってきた。影の教団の残党が、彼らを待ち伏せていたのだ。


「またお前たちか!」アゼルはすぐに反応し、炎の魔法で影を吹き飛ばした。


「奴らは諦めが悪いな」とカイルが剣を振るいながら言った。


「全力で戦うしかないわ」とソリテールが闇の魔法を放ちながら応戦した。


戦いは激しくなり、影の教団の魔族たちは次々と攻撃を仕掛けてきた。アゼルはそのすべての攻撃を防ぎながら、仲間たちと連携して反撃を続けた。


「ここで倒れるわけにはいかない。みんな、力を合わせて戦おう!」とアゼルが叫んだ。


カイルは風と雷の魔法で敵を次々に倒し、ソリテールは幻影を駆使して敵を混乱させた。アゼルは炎と氷の魔法を操り、敵の攻撃を無力化していった。


しかし、影の教団のリーダーが現れ、強力な魔法を放った。アゼルたちはその攻撃に圧倒され、一時的に劣勢に立たされた。


「くそ、奴の力はやはり強大だ!」とカイルが歯を食いしばった。


「でも、私たちにはまだ希望がある。アゼル、あの力を使って!」とソリテールが叫んだ。


アゼルは頷き、再び魔王の側近としての力を呼び覚ました。彼の体から強烈な光が放たれ、周囲の空気が震えた。


「お前たちには、この力を扱う資格はない!」とアゼルは叫び、全身の魔力を解放した。


アゼルの魔力が爆発し、影の教団の魔族たちを一瞬で吹き飛ばした。リーダーもまた、その力に圧倒され、地面に倒れ込んだ。


「終わった…」とアゼルは静かに言った。


カイルとソリテールはその力に圧倒されながらも、アゼルのもとに駆け寄った。


「さすがだ、アゼル。やっぱりお前は頼りになる」とカイルが感嘆の声を上げた。


ソリテールも冷静な表情で頷いた。「これで少しは進む道が開けたわね。でも、まだ気を緩めるわけにはいかない。」


アゼルは疲れた表情を見せながらも微笑み、「そうだな。次の目的地に向かおう」と言った。


三人は再び肩を並べて、未知の未来に向かって歩みを進めた。彼らの旅は続き、新たな試練が待ち受けているが、彼らの決意は揺るがなかった。

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