第8話 バトル!!!

ウィンストン・チャーチルは3歳の時からここの裏カジノへ来ていた。この裏カジノは近衛文麿が1910年に作ったと言われている。誰にだって?それは分からなかった。とにかく裏カジノは地下666メートルに作られた東京都1個分の広さがあると思わしき!(それはさすがに言い過ぎだが)広さで、どんな遊具もある場所だった。ウィンストンは3歳の時、ここで石原裕次郎と買ったばかりのポケモンBWでポケモンバトルで500万をかけて争ったことがある。そこで買ったことが初めての彼のギャンブルの勝負だった。

そうそう、言い忘れていたが我らが主人公、ウィンストン・チャーチルの特技は絵画とギャンブルと射撃だった。セックスはあまりに下手だった。

ギャンブルと言っても様々あるが、何か金がかけられるとなると絶対勝利してくれるのが我らが主人公だった。彼の金の出処は本人にも分からなかった、彼の誕生日になると毎回665枚の金貨がジャックスパロウという名前でパック郵便でキューバから送られてきていた。

彼はカジノに入るとパチンコの前に座りパチンコを打たず、トルストイの『アンナ・カレーニナ』を読み始めた結婚することの愚かさとキリスト教について考えたかったからだ。

「おい、何をしている」

ランボーが今度はiQOSを吸いながら平然と歩いてきた。

「お前、その格好アメリカでしてたら捕まるぞ……。」

「ここは日本だろう?アメリカではない」

「いいや、アメリカだね、ここの裏カジノだって今やGHQが運営してるんだ。」

「早く探せ」

「嫌なこった、ここで100万は儲けてから探しに行くよ」

「好きにしろ」

ランボーは今度は東京が空襲を受けたのかと錯覚するほどのiQOSの煙と共に姿を消した。

「畜生!卑怯だぜ!わかったよ!いくよ!」

煙だらけになりながらウィンストン・チャーチルは仕方なく裏カジノを出た。彼が座っていたパチンコの台はその後1000万の儲けを出したらしい。儲けた男の名前は山岡三四郎、田舎生まれの文学青年だった。高校を出て、大学に行こうとしたが金がなかった。彼は東京に出てくるのが夢だった。母親のおにぎりと、地元の彼女のお守りを持ってカジノで一発逆転しに来ていた。そう、ウィンストンが読んだアンナ・カレーニナも彼がここに置いて言ったものだった。チャーチルが出ていった後に彼は1000万を儲け、その金で慈善団体と会社を作った。その会社は後に世界を支配する大企業へと進歩したらしい。ウィンストンと彼が交わることは永遠にないが、ウィンストンは世界を支配する手がかりを作ったのは間違いがないだろう。鉄のカーテンはない。今やマクルーハンの唱えた地球村はリゾーム状に広がり、グーテンベルクの銀河系はウィンストンの銀河系へと脱構築を遂げていた。しかし、なんということだ、ウィンストンはそのことを知らなかった!心貧しきものは幸いかな。

ウィンストンは今や真にランボーの花嫁を探しに行くことになる。一体彼はなんのためにマグナムリボルバーを引下げているのやら、誰にも分からなかった。彼の下手なセックスに使われるバカに無駄にでかい男性器と同じくらい意味がない。新しいアエネイド(アエネーイス)の主人公となって普通の人の尺度ではなく英雄的詩人の視点では無いと捉えられない存在になった彼の両親に聞く他がない。

裏カジノを出て七里ヶ浜へ歩き始める彼はこう思った、久しぶりにハイデガーを読みたいな、と。

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