第215話 ヘルプ!


ジェシー?

誰?


「初対面なのにそんな気がしません。

パパから沢山お話しを聞いていましたから。」


はぁ、あの、あーっと、はい。


「お優しいのね、喉が渇いているのを察してくれるなんて。

もう、メイドさん、さっきみたいな話をしちゃったら、ラルフ様を怖がらせてしまうでしょう。


大丈夫ですよ、みなさん愛しているから離れないだけですから、ね?」


え、あ、はい。

…誰だ?

誰の娘さんだ?


こんなに誰だっけに頭を働かせるのなんて、前世で飲み会の翌日に、知らない女の子に親しく話しかけられた時と、病院内で明らかに偉いっぽい人に話しかけられた時以来だ。


後者は偉くもなんともない、ただ痴呆症の患者さんが、スーツを着ていただけだったのだが、前者はいまだに謎だ。

聞けないよ、誰?なんてさ。


話から推測出来るように持っていかないと。


まずこの娘さんは育ちが良い。

それは間違いない。

話し方も綺麗だし、座ってる姿からも教養を感じられる。


偉い人の娘…。

いや、前世ならともかく今世はまぁまぁ出会ってるからなぁ。

治療に行った家がバカデカい事もあったし。


歳は僕の少し上だろうか。


と言うことは20歳前くらい?

となると親は45歳前後?


…いやー無限に居るわ。

探るしかないね、こりゃ。


…教会の中って凄く綺麗ですね。


「ええ、そうね。

生まれ育った街だしパパもここで働いていたから、当然来た事はあったけど、こんなところに入ったのは初めてですから…少し緊張しますね。」


サンキュー神様、かろうじて出身が聞けましたよ!


…いや、ガナーに知り合いなんていないから、その時点で詰んだよね。


言っちゃなんだが、お父さんには可愛がられているし、教皇さんにも可愛がられている。


その2人を説得してのこの状況なのだろうから、多分偉い人の娘さんかなと思う。


なら兄マジュクが親の可能性があるんだけど、年齢が丁度合わない55歳前後の実年齢のお父さんの兄って事は還暦近いので、孫の可能性はあるが、子供の可能性はないだろう。


平民だったらあり得るかもしれないが、お偉いさんだ。

結婚も色々の兼ね合いで早い事だろうからね。


お孫さん?

ならパパさんを知らないと思うんだけどなぁ。


「パパからはあいつは俺の飯をよく食べるし、片付けも手伝ってくれるとしか聞いていないけど、おじいちゃんがファンになっちゃってね。ウチにいっぱい貴方の話をまとめた物が沢山ありますのよ。」


あ、誰の娘さんかは分かった。

ぺぺさんか。


前はここにいたんだもんね。


え!

娘さんおったん!


おじいちゃんってだれだ…?

それはいいか、聞いてしまって。


「おじいちゃん?

あぁ、ここに来て間もないのですものね。


貴方のお父様のお父様、サシュマジュクの兄のトランブレーです。」


あ!

謎が解けたぞ!

偉いお爺さん涙でぐちゃぐちゃ事件の!


自分のアイドルと孫娘の結婚だったのか!

なら仕方ないね!


なるか!

なんだこの流れ!


なんで?

何にも知らない間になんでこんな事になってんの?


一つも分かってないって。


嘘でしょ?マジで始まるの?

外から鐘の音が聞こえる


誰か助けて!

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