旅の終わり
第213話 ヤァヤァヤァ!
酔っ払いによる強制エレクトリカルパレードで登場した神の子は、なんかちょっとおかしいくらい歓迎されている。
もうほんと、ヤァヤァヤァ!って感じ。
慣れてない。
先に人前に出る事に慣れてる人だからいいのであって、ぽやっと到着した僕には荷が重い
あくまで神聖な修行としての旅だったので、粛々と来てパッと帰る予定だったのに、何故こうなっているのか。
馬鹿みたいなウェルカム帽子を被っている教皇も責任を担っているとは思うけど、見えちゃったなぁ。
なにあのデカすぎるのぼり。
教会からぶら下がってるんだけど。
祝、全国大会出場!
みたいなやつは誰の仕業だ?
唯一その辺の困りごとに理解がありそうな人はベロベロに酔っ払ってしまっている。
リンキーは知ってる?
あののぼりは誰プロデュースなの?
「んー?
いや、しらねっす。
旅してたし。
でも教会にかけられる権限なんて教皇様くらいしか持ってないでしょ。」
いやぁ、トップが弾けすぎでしょ。
「よくそんなピッカピカに光りながら冷静っすね。」
言うなよー。
目を逸らしていたんだから。
でもなんか教皇はプロデューサーじゃない気がする。
自らハジけるタイプの爺さんの仕事にみえないのだ。
あの教皇は前もって準備万端にする人じゃない。
そんな人は闘技大会に無理矢理来ないだろう。
教皇の後ろをよく見ると、4人のおっさんが並んで熱心に祈っていて、1人のおばちゃんが無表情で立っている。
もう1人のおっさんは死ぬほど泣いているのが怖い。
リンキーに訊ねるとその6人は枢機卿らしく、要は教皇の次に偉い人らしい。
なんでおっさんはあんな真剣で、おばちゃんはあんな引いてんだ…?
「なんすかね。
…あ!
あー…。
仕方ねぇっすわ。
枢機卿のおっさん方みんなハゲてたから…。」
髪よ…!
ってなってんのね。
いや、べしょべしょに泣いてるおじさんは?
流石にあそこまでにはならないでしょ。
大人がオイオイ泣いてるの初めて見たよ。
オエってなってるよ?
「えっ?
知らないんすか?
あれ、サシュマジュク様の兄貴っすよ。」
あ、なんかちょろっと聞いたことがあるかも。
兄がいてガナーに居るって。
枢機卿だったんだ。
すっごい偉い人じゃない。
いや、結局解決してない。
なんですっごい泣いてるのさ。
「さあ。
オレが知るわけないっすよ。」
そっすね。
「でも絵姿の旗とか、歓迎ラルフの鉢巻とか、ハデハデな羽織とか見たら、知らない人ならヤバめのファンなんだなぁって思うっすわ。
多分早口で語ってくれますよ、愛を。」
あぁー。
そう言う話聞くのは嫌いじゃないんだけどねぇ。
自分のことじゃなければ。
でも大丈夫なのかな、枢機卿があんなにハデハデで、ピッカピカな羽織とか着ちゃって。
「あっちもラルフ様には言われたくないと思いますけどね。
分かってます?
自分の光り輝きを。」
主導してないし。
偉い人って事だよね、ならさ、この騒ぎの主導者の可能性もあるんじゃない?
「枢機卿の仕事まではわからねーす。
本部長なら…分かるかもしれないけどなぁ、アレっしょ、今は。
あの…襟の後ろ掴んでる女の人いるじゃないっすか。
あの人が副部長なんで聞いてみたらいいんじゃないっすか。」
おぉ!そうなのね。
…なんで襟の後ろギュッてしてんの?
先にそっちが気になるわ…。
「これはですね!」
あ、聞こえてた?
「はい!この襟をギュッとしてるのはですね!
この酔っ払いがさっき裸になろうとしたので脱げない様にしています!」
おぉ!
ファインプレーじゃん!
「光栄です!
よりによって中から脱ぎやがって、このローブが最後の砦なんです!」
後半アディショナルタイムじゃん…。
「うす!
あ、トランブレー枢機卿は広報の長なので!
間違いなくこの騒ぎの元凶です!
止めきれなかったです!
すんません!」
あ、いや、逆にすんません。
うちの叔父が…。
じゃあこの女の人は大はしゃぎしている超お偉いさんの暴走を止めようと尽力した後、せめてと現場に出てみたら上司が全裸になりそうなのを止めてるってこと?
「完璧にそれです!
過労死しそう!
あ!うちの妹のことも申し訳なかったです!
すんません!」
妹さん…?
女の人に迷惑かけられたっけか…?
あ、ウィメイラさん?
「違います!
アンの姉です!
初対面の相手はぶん殴るなってぶん殴っておきました!」
…教育に問題があるんじゃない?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます