第198話 前世の死に際に、またな!って言われたっけ
「サシュマジュク先生に孫が居たなんてなぁ。
っていうか、孫がいるって事は息子もいるんだ。
なんて人?
会った事ないわ俺。」
シッ!
その話題を出すな!
シスター服にスリットをばっこし入れてるやさぐれ酒焼け聖女を義母と呼んでたまるかよ!
お父さんはこういう、なんかグイグイ来るタイプに弱そうなんだ。
タナもそんな感じだし、我が姉もそんな感じだ。
多分押し切られる。
押し切られたが最期、義母の完成だ。
…なんか我が家に馴染みそうな感すらあるけど。
「…おお、なんか事情があるなら深堀はしねぇよ。
まぁ、先生の息子さんならそこそこ偉いだろうに知られてないって事はなんかあんだろ。」
助かるよ。
…?
ねえ、あの緑色の煙ってなに?
「お?
あぁ、客だわな。
辺りに散ってる奴からの連絡さ。
緑は見知った来客だ。
お前が来た時は赤だったんだぜ。
…誰だろう。
なんか聞いてるか?」
「うす。
聞いてないっす。」
「ウィメイラ様の通販ももう少し後の予定っすね。」
通販とかあるんだ…!
あ、もう一本上がった。
また緑だね。
「嘘だろ?
…めちゃくちゃ速いやつだ。
じゃあ騎士の誰かが馬に乗ってやってきてんだろ。
もしかしたらラルフが来てるのを誰かが見て迎え寄越したのかもな。
お前のこと知ってるやつ結構いるだろ。」
あー、そうかもね。
じゃあ迎えの可能性…。
ねえ、例えばだけど、闘技場から寄り道なしなら、本山までどのくらいかかるの?
「馬を潰す覚悟なら7日。
徒歩なら20日、教皇の鳥なら4日ってとこかしらね。」
…じゃあ来てる可能性はあるんだね。
「あ?
誰がよ。」
闘技大会に飛び入りしようとしたけど、周りに止められてストレスマッハな妖怪が。
「ジジイはこねぇだろ。
…え?
来ないよな?」
「…。」
僕はね、アンヌの件の真意を想像した事があるんだ。
シャルルさんにとって、最高の伴侶って何だと思う?
「それは俺も聞いた事あるぜ。
剣聖の後継だ。
つまり剣の天才だな。
まぁ、ラルフは当てはまると思うぜ。」
なんで、剣聖の後継が欲しいんだと思う?
「あ?
いや、ジジイは教え魔だし、単純に才能を伸ばすのが楽しいんだろ?」
孫娘を生贄に捧げてまでの趣味だと思う?
あの爺さんが孫娘よりこよなく愛してる物があるよね。
「んなもんあるわけ…剣か。
決闘だ。
あの爺さんの生き甲斐は決闘だわ。」
そう、みんな誤解しているんだよ。
教え魔なんかじゃないんだあの人は。
強い奴と戦うのに全てを捧げる変態なんだ。
「…じゃあ剣聖の後継って、そのレベルのヤツが家にいたら毎日毎日高強度の対戦が出来るからってことか?」
僕はそう思うよ。
違和感があったんだよ。
後継って、生涯現役剣士が溺愛してる孫娘を捧げてまで欲するかってね。
剣聖の名に固執してるならあんな馬鹿みたいな飛び入りとか、お父さんとの喧嘩騒ぎなんか起こさない。
だから教えて才能があれば、いつかいい対戦相手になるかも知れないって部分に興奮してたんだよ。
そして、僕が選ばれた。
ウーブか僕は。
それでも王国じゃ無茶をしなかったんだ。
お父さんとブランドさんがいるから。
無茶といえば無茶だけど、シャルルさんなりに抑えていたんだよ。
でも僕が闘技大会に出て、旧友のペリンと戦っているのを観たので、我慢ができなくなって、それで闘技場で飛び入り参加しようとしたけど、止められて今は破裂寸前だと思うんだよ。
そんな人、先回りするに決まっているよね。
「…あぁ、見えてきたわ。
親父だ。
はぁ、まじかよ。
あ?
2人いるぞ?
あれは…。」
「きゃー!!!
ジェマ様〜!!!」
最悪だよ。
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