第180話 リンキー
チャラ男はなんて名前なの?
「俺?
リンキー。
よろ。」
はい、よろ。
んじゃ殴り合いでもする?
「ガチ?
何でそんなことしなきゃなんねーのよ。」
え?
アンがやりたがってたから護衛の人はとりあえずブン殴るもんだと思ってたけど。
「アンちゃんは、ほら、ガチ系だから。
俺はそんなノリじゃないって。
ビビってるとかじゃないよ?
ダリーって。」
護衛の人がみんなあんな感じじゃないのね。
「役目も違うっしょ。
俺はアンタの行動を盛って文章にする人だから。
なんだっけ。
編纂員ってやつ?」
コイツが編纂員だったのかよ。
しれっと盛ってやがったのを白状しやがった。
ところで遺跡探検とかも報告するの?
「やるやる。
えーとね。
神子様は勇気を振り絞り、未知の遺跡へと足を踏み出した。
人類に役立つ未知をその理知で得ようとしたのだ。
私にその思慮の深淵は見通すことはできなかったが、おそらく近く、福音となるなにかを得、我らの元へ届けてくれる事だろう。
導入はこんな感じっすね。」
…えぇ!
誰?
誰が誰のことを書いたらそうなるの?
あぁ…変な崇拝を感じる事がある訳だよ。
「イケてる?
こっからは寝る前に書くし、今日は直接話したから筆も乗っちゃうって。」
…リンキーは絶対に撒きたくなってきた。
やっぱりブン殴っていい?
戦えるんでしょ?
「アンよりはやれるけど、アンタとやんのは無理。
地元の先輩よりつえーもん。
王者でしょ?
ガチ中のガチじゃん?
ちっちゃいのに、こえーもん。」
くそー。
手っ取り早いのに。
「まぁ、あんま気にしても仕方ないって。
俺も仕事だしさ、有名人なんだからしゃーねーって。
有名になって良い思いをすることもあるし、嫌な気持ちになる事も、どっちもあるって!」
…良い思い…?
今のところ望んでいないトレカ化と使わないシグネチャー木剣くらいしかされてないし、あとは謎の祈りと崇拝者。
あとはリンキーみたいな追跡者が出来た。
良かったところを無理やり絞りだせば、この歳で信頼されないであろうところを無理を通して子供の治療に当たれたところくらいだ。
「マジか。
ドンマイとしか言いようがねーわ。
パーティ開こっか?
ほら、地元の先輩にチケットはけさせる天才いるから、俺も手伝うし。」
…いや、いいよ。
そういえば有名になんてならなければこんな意味不明な旅に出る必要なんて無かったんだ…。
腹たってきた。
「でもあと街2つっスよ。
ガチでスゲーわ。」
ようやっと街2つだよ。
次の街ってなんか有名なところある?
「あー、そろそろ教会が近いっしょ…。
だから美術館とか、画家とかが集まってる街って感じ。
あんま興味なかったんだけど、最近裸の女を描く人がいてさー、エロいってかかっちょいいんすよ。
あとは…。
あ!そういや、神子の絵も飾られてるところあるはずよ?」
うわ、出たよ。
死ぬほど自分の絵を見ているよ、今世。
どれが飾られているんだろう。
無難にアンヌを抱えてる奴かな。
一番見るし。
「いや、そうじゃなくて、新設の教会の天井に全面バチっと描くらしいっすよ。
すんげー偉い有名な画家とその弟子とで。」
うっわ…!
今から急げば中止させられるかな?
「竣工されてから3週間くらいっしょ?
中止は無理めだけど、あんまり派手にしない様にくらいは間に合うんじゃね?
でもあと歩いて5日くらいかかっからなぁ…。」
仕方ない。
猫の手も借りたいのだから借りよう。
猫ではないけどね。
ヤイシャー!
助けてヤイシャー!
遠くからワオンワオン聞こえる。
伝わったはずだ。
「なんすかなんすか。
狼寄って来ちゃうって。」
まぁ、少し待ってよ。
…来た。
大きな魔力を感じる!
「うわー!
でっけー狼!
食われる?
マジで?
排除するのにここまでする?」
ちげーよバカ、落ち着け。
「どうした我の力が必要か、ラルフよ。」
うん、人生に関わるんだ。
次の街の近くまで、僕とリンキーを乗せていって欲しい。
「あ、喋るんすね…。
リンキーっす。」
「承った。
我は神獣ヤイシャ。
残念ながらお前は乗せられないが、このカカシャが乗せて行く。
急いでいるのだろう、行くぞ。」
ありがとうヤイシャ、カカシャ!
「いや、神獣って…。
こんなんで登場したら伝説増えるだけでしょ。」
なんか言った?
風切音で聞こえなかった!
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本日17時別作品を投稿します。
「リリアン」
です。
大切な話なのでぜひそちらもよろしくお願いします。
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