第174話 鍛錬について

起きたサラに色々教えてもらうと、やっぱり自分の魔法が力技なのがよく分かった。


「ラルフ様くらい魔力が多ければそれで良いのかも知れませんが、やはり勿体なく感じますね。


分かるよ。

自覚もあるし、理由もわかる。

急に魔力が増えたから、少ない時の技術のまま注ぎ込んでしまっているんだと思う。


良い練習方法があれば良いんだけどね。

ピリルルやお父さんもどっちかと言うと量で質を有耶無耶にしているところがあるからなぁ。


「そんなに魔力があるなら、私なら…。」


ん?なに?

教えて欲しいな。


「常時使い続ける魔法を増やしますかね…。

例えば手足を土魔法で重くしたり、逆に少し浮き続けたり、水と風を合わせて歩きにくくしたり、負荷を増やすのに使うと思います。


鍛錬にもなりますしね。


私なんかがそうしたら15分で気を失うでしょうが、ラルフ様なら次に寝るまで耐えられるのでは?」


パッシブね!

考えた事もなかったよ。


強くなるのは、実はあんまり興味ないんだけど、上手くなるのは好きなので、足首に中空のリング作り中に玉を入れ、中で玉を水と風で回転させ続けることにした。


あ、キツイかも。

遠心力でかなり重く感じるし、いいかも。

やっぱ辛い思いをしてなんぼよ!


いや、待てよ!

一つにする必要もないな。

リングを3つ並べてそれを両足、計6本。

その中で玉を3つずつ回転させたら18個をコントロール出来る!


これは辛い!

あはは。

辛い!


一歩踏み出すのも辛いぜ!


「…なんでその歳でそんなに強いのかちょっとわかった気がします。

そんなことばかりして来たのですね。」


え?

いや、怪我なんて魔法で治せるし、朝起きて筋肉痛がなかったら不安な気持ちならない?


「え、ならないです。

剣もかなり振っていらっしゃるんでしょう?」


普段?

かなりではないけど振ってはいるよ。


手がボロボロになるのは流石に最近は治しているけどね。

その日に出来た傷でなんとなく何が悪かったか分かるようになって来たし。


「…毎日手が裂けるまで振っていると?」


裂けるまでって言うか、何となくキリが良いところまでやったら手が剥がれてるだけだよ、ベジェリン。


いやぁまだまだだよねぇ。

上手く振れるなら手が綺麗なまま1日を終わらせられると思うし。


「そうですか…。」


わかるよ。

非効率だよね。


でも単純に一回振って今のがダメだとか良かったとか考えるのが好きなんだよ。


土魔法だけ伸びているのも、成果が目に見えて分かりやすいからかもしれないね。

ほら、こうやって…。


ね?

動物なんかを綺麗に早く作る練習とかわかりやすいし。


「…猫ですか?」


えっ!

どう見ても犬でしょ。


もっかいやるね!

…ほら、これなら分かるよね!


「…上手だと思います。」


…!

何に見える?


「え!

あの、動物です…。」


あ。

下手なのか…。

ここの羽の所とか上手く出来てると思ったのに…。


「あ、それ羽だったんですね。

立髪かと思いました。」


うっ…。

いや、立体は難しいしね!

絵なら描けるのに、ほら、地面に魔法で表せられるから!


「あはは。

…これは蝶々ですね!

分かりましたよ!」


うさぎだ。

うさぎなんだ。


…!

馬なら自信あるよ!

前にリナリーン戦で作ったんだから。


…ほら!

馬!


白馬!


「私の弟が2歳くらいのころ、紙で作った木馬より上手ですよ。」


…ありがと。

ごめんね、気を遣わせて。

完璧に作れたと思ってたけど、ヘタなのか。

よくリナリーンは納得したなぁ。


あ、あの時と、テディベアを作った時は大人の姿だったから、そうなればまだマシなのかもしれないな。


死魔法を発動して大人になり、もう一度馬を作った。


「素敵です!」


サクラレビューは置いておいて、ベジェリンはどう思う。


「はっ。

…高熱を出した時に夢でみた馬は丁度そんな感じでした。」


サラ、もっかい見てみて。

どう?


「最高です!」


良かった。

心が保たれた。


ありがとう。

もう動物を模すのやめよう。

よくリナリーンは納得したなぁ。


乙女フィルターでもかかって居たのだろうか。

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