第168話 コレクション考察

これがコレクションか。

…知らない文字だね。


何かわかってる事あるの?


「噂程度ならね。

でも、砂漠の図書館の初めの蔵書だったらしい事くらいかな、はっきり聞いたことあるのは。」


ピリルルは取っ掛かりを見つけたりした?


「普通は神様の名前とか、長期間変わらないものを基準に訳していくんだけど、ラルフが言ってたことが本当なら、おそらく神様も違うから難しい。


この世界に残っていないものを表されても分からないんだよね。


ほら、この図案も見たことない鉱石で、それの解説っぽいんだけど、それが何かわからない。」


んー。

たしかに。


なんか光を集めるような図だけどね。

それしか分からないね。


「そうなんだ。

もしかしたら世界の成り立ちとかも違う可能性があるからね。


お手上げ。

ヒントゼロ。」


いや、一つだけあるはず。

ラルフィードって名前は絶対にある。


教会の位置から北周りで旅をしたのは前の世界のはずなんだ。


「…主神の名前だね。

なるほど。

ならやっぱり宗教のコレクションを探さなきゃだめか。」


違う。

前の世界では神様じゃなかったはず。

鎮魂をし続けた霊が死と安らぎの神様になった様に、運命の神様になった理由があるはず。


運命…。


人の不幸と幸せがラルフィード様のせいで大きく動いたって事?


「ならまず探すのは、戦記だね。」


そうなるよねぇ。

人の運命が大きく変わることを頻発させる現象なんてそうそうない。


…でもあのゆるい神様が戦争を起こしまくっていたなんて考えにくいなぁ…。


本人に聞いても素直に教えてくれることは無いだろうしなぁ。


「ま、今はどうしようもないってのは変わりないね。

そう言えばラルフのいた世界の文字ってどんなのだったの?」


んー。

僕の国は表語文字、表意文字、表音文字が組み合わさっているヤバ言語だったよ。


文字数だけで1万文字越えるからね。


「1万文字?

ふざけてるの?

必要かな、そんなに。」


仕方ないじゃない、生まれた時には完成されていたんだから。


まぁダントツで多い表意文字を消した100文字ちょっとだけどね。


「なんで表意文字消しただけで9900文字も消えるの。

いらなくない?

表意文字。」


いや、だから僕に言われても困るよ。


でも例えば、ピリルルの種族はこの世界の言語では5文字の言葉だけど、僕のいた所だと龍一文字で済んだりメリットがあるにはあるよ。


他の国では表音文字だけで組み合わせられてる言語とかもあったし、そっちは30文字ないくらいか。


だから僕の国の言語話者でも全ての文字を把握してる人なんていなかったんじゃないかな。


「…もし、コレクションの文字が表意文字だったらやばいかもね。


大前提の世界が壊れてるから、意味があっても繋がらなさそう。」


そうだね。

だからまず頻出文字だけでもまとめておこうか。

それくらいしかできることないし。


あ、でも頻出してるところは表音で節目に表意文字パターンもあるしなぁ。


「そうだね。

とりあえず同じ文字だけまとめておこうか。



…僕の紋章、これにしようかな。

龍ってやつ。」


いいけど…あとから僕と同じ世界から人が来たらぶっ飛ぶだろうね。


なにせ痕跡がカードゲームと龍のみなんだから、今の所。


マジで意味わからないだろう

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