第150話 大怪我の後に
気づくとベッドの上だった。
…どのくらい経ったんだ?
「まだ2時間くらいじゃない?
今日は一戦だけだから、ゆっくり寝ても大丈夫だよ。
…あんな戦い方したらダメだよ。
いつか死んじゃうよ。」
うん、ピリルル。
ごめん。
ところでさ、その落ちてる人誰?
「え?あぁ、忘れてた。
ラルフの暗殺者みたいだね。
よくあの戦いを見てそんなこと出来るよね。
龍は戦いというものに誇りを持っているし、汚すようなことは絶対にしないから、凄く軽蔑するよ。
心配はしたけど、尊敬もしたよ。
良い試合だった。
家族は気絶しそうだったろうけど、戦士は皆認めたと思う。」
褒められた試合じゃないけどね。
完全に負けてたと思う。
剣の性能だよ、やっぱり。
もっと訓練しないとなぁ。
手札も基本性能も全然だ。
「訓練は頑張るだけだけど、剣の性能だってこれまで君が頑張って来たから手に入れたものでしょ?
それは実力に入れて良いよ。
ラルフは友達が多いやつにズルいなんて言わないでしょ。
良いやつだからそうなった。
戦士だって一緒だよ。
頑張ったから強くなった、に武器も含まれるだけさ。
そんな事言ったら死ぬ思いをして手に入れた剣で、その辺にある剣を使ってる人に勝ったらずるいって事になるよ。」
そうかな。
そうかもなぁ。
僕も他人が使っているのを見るとそう思うかも。
でも、自分だとなぁ。
「自分で納得できないなら頑張るしかないね。」
そりゃそうだね。
難しいなぁ、強くなっても仕方ないと思う部分もあるんだけどね。
そんなことより、ピリルルとか、周りのみんなと仲良くする方が大事なんだけどさ。
でもこうやって手合わせも好きだし、苦戦したり負けたりすると悔しいしね。
「なんでもそうなんじゃない。
自分が頑張るのと人を頼るのは両立するし、両方必要だもの。
なんだかんだ戦うのが好きなんだから、楽しければ良いんじゃない。」
ピリルルは大人だなぁ。
「疲れてるなら休みなよ。
僕らが守っているから。
今考えてもあんまり良いことにならないと思うよ。」
そうだね。
お願いするよ。
次に目が覚めると、お父さんが僕に聖魔法を当てていた。
「おお、起きたか。
怪我はもう良さそうだぞ。
少し動いて確認してくれ。」
おぉ!
確かにもう平気そう。
「そうか。
肝を冷やしたがもう大丈夫だな。
明日…もう今日か。
次も頑張れよ。」
…てっきり怒られるかと思ったよ。
「何をだ?
無茶はしたが、男が自分で頑張って何かをしようとすることに罰なんてない。
誰かに迷惑をかけたら一緒に謝るだけだ。」
そっか。
ありがとね。
お父さんに拾われて良かったよ。
「お前が何を思って行動していたかは、ティナとピリルルから聞いた。
もし、その子達に行き場がなかったら私が何とかするからな。」
それは相談しなくても疑ってなかったよ。
受け入れてくれると思ってた。
「そうか。
それは嬉しいな。
ラルフ、あの子達の着地点は決めているのか?
無責任な事はするなよ。」
うん。
でも多分頼る事になると思う。
「当たり前だろ。
お前のお父さんなんだから。」
…なんだか泣きそうだ。
「ラルフ起きた?
あら、ラルフ目が赤いわね、ダメよパパ、あんまり厳しいこと言っちゃ。
正しいか間違ってるかは何年も経たないとわからないと思うけど、ラルフが決めた事でそれを頑張ってるんだから。」
「あぁ、ほとんど同じことを言った。
ティナもラルフももう少し親を頼ってくれていいんだぞ。」
「十分頼ってるわよ、私もラルフも。
だからラルフは変な事に首突っ込んでメチャクチャにするし、私は自由にやってるんだから。
ねー。」
ねー。
本当にそうだ。
絶対に味方が居るってならないと、今回こんなに首突っ込んでないかもしんないな。
2人ともここで話していてよ。
すっごい疲れたからまた寝るけど、それまでは。
「いいわよ。
あ、あのねパパ、カードの第三弾はパパ出るからね。
剣聖、賢者、龍王ってタイトルだから、後で姿絵描かせてね。
今の主人公カードのサポートパックで、それぞれの親が出るから。
ボロボロで寝てるラルフも珍しいから、今から呼んで描いてもらっちゃおうかしら。」
いや、やっぱり外でして欲しいな、その話。
心労がちょっと…。
試合に響いちゃう。
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